this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
君の忘れ物
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
「それでも、守りに徹したって勝てないかな」
互いにポーンを奪い合い24手目、とうとう柚春はキングを動かした。今まで頑なに動かさなかったそれを、キャスリングをして表に出してくる様子は、覚悟を決めたようにも見える。
――がむしゃらに動かさねばと駒を進めた結果がフールズメイトなんて、まさに愚の骨頂だ。
では何も動かさずにいれば勝てるのかと言えば、防戦どころか試合放棄だ。現状を変えるには恐れずキングを動かすことも求められる。
「僕はじっとしているなんて無理だよ」
例えいくつ駒を取られても、打つ手がなくなっても……終わりを突きつけられたって。
境界線の内側で呼びかけるだけでは、彼はいつまでも『先生』なのだ。
「僕を信じてくれるまで待ってるって言えないの。ワットのペースでいいよって大人になれないんだ」
それが歯痒いほど、自分の気持ちをぶつけてばかりの子供とわかってる。だから『生徒』でしかないのだとも理解している。
けれど、彼を愛する気持ちがその枠に捕らわれないように、彼にだって少なからず、何か。
「先生の前に大人の前に……ウォルターさんの心があるよね?」
「……そんなの、あの日に無くしたよ」
いつものように、笑っていなかった。
苦々しく呟くのは嫌悪でもなく、どこか――寂しそうで。
「ほら、もう少しゲームに集中したら?」
クイーンがポーンを取るのは、これで何度目だろう。そんなことを思いながら、柚春はきゅっと唇を噛みしめた。
「もし、あの日に無くしたなら……ウォルターさんは苦しんでないよ」
ビショップでナイトを奪いながら、柚春は努めて冷静に告げた。
心が無いというのなら、こんな顔をしないはずだ。何にでも割り切って全てを諦めたなら、こんな。
「へぇ?」
興味の無さそうな声音と共に、ルークはビショップに襲いかかる。けれどナイトで応戦してポーンを立て続けに奪って見せた。
「今は元気がないのかもしれない。でもそこにちゃんとあって動いてる」
「君には見えるとでも言うの?」
数々の駒を蹴散らしたクイーンが、チェックに入る。もう柚春には悪あがきの手しか浮かばない。
それでも立ち止まる訳にはいかなくて、キングを一歩動かした。
「僕に見せてくれているウォルターさんには、ちゃんと心があるんだ。それが偽りか本当かなんて関係ない、僕の知っているあなたは、ぜんぶひっくるめてウォルターさんだよ」
オズの魔法使いのブリキの木こりが、初めから心を持っていることを気付かなかったように。無くしたと言っている彼だって、気付いていないのではないか。
自分がどんな顔をして、そんなことを言っているのか……わかっていないのではないか。
「はい、これで――チェックメイト」
盤面ではクイーンがキングを捉えられる位置に動いていた。こうなっては、打つ手はない。
「……やっぱり勝てないかぁ」
勝利を収めたのは黒。けれどウォルターはくすりと笑みを零した。
「そうとも言えないんじゃないかなぁ?」
逸らしていた物から真っ向に立ち向かって、諦めもせず心を揺さぶって。堪えられないと叫びそうなのは、逃げていたのは他でもなくウォルターだ。
親友の不幸を嘆き、反面『彼のようにならない』と身の程を意識して。がんじがらめの世界で独り怯えていただけの自分から、目を逸らさずにいてくれた柚春が教えてくれた。
(あんな嘘みたいな笑い方をする僕に、心があるだってさ)
辛くて、痛くて、哀しみを感じるのも幸せを受け入れるのも嫌だった自分が捨てようとした物。あるフリだけが上手くなったと思っていた、感情。
「見える物だけが勝負じゃない、君が勝った物もあるよ」
失ってなどなかった。あの日に置き忘れてきた泣いている心を抱きしめた彼女は、忘れようとするばかりの情けない男も優しく包んで、ただ全てを認めてくれた。
(逃げない、か)
まるで天岩戸を開けてしまったような気もする。……でも、それも悪くない。
彼女が向けてくる感情と、自分がどう見守りたいかと出す答え。重なるかなんてわかるわけもない、僕らは生きていて、結末まで一本道なのか番狂わせがあるのかも、粗筋さえ知らない物語の途中なのだから。
(ごめんね獅子堂。もう君を理由にしない……君に、遠慮しない)
盤面とウォルターを見比べて、何に勝ったのだろうと考え込む柚春が、あと1年ほどは生徒であることは紛れもない事実だけれど。だからといって、何も起こらないとは限らない。
あんな事故だってあったし、それこそ先人にだって辞職をしてまで添い遂げた人もいる。
「僕が勝つときは、また言ってくれるんだよね?」
「それにはまだ、勝ってないんじゃないかなぁ」
くすくすと笑って、ただ噛みしめる。――己の時は、動いているのだと。
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
君の忘れ物
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年11月24日
参加申し込みの期限
2022年12月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年12月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!