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寝子島高校
星降る夜に見た夢は
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朝鳥 さゆる
が消えた。
思いのほか自分が動揺しているらしいことを、
姫木 じゅん
は熱い褐色が満ちるカップを床へ落とし飛沫のかかった腿の一部を火傷するに至り悟った。それほどに当たり前の光景となっていたらしい。この部屋にあの虚ろめいてぼんやりとした顔のあることが。
起き抜けに確かめたベッドのぬくもりは一つ分。じゅんの眠りの深いうちに抜け出したのだろう。昨夜は疲れていて肌を合わせなかったが、手をつないで眠った。特に兆候など見い出すことはなかった。
以前は、こう深く触れ合う間柄となる前には、時にこうしたこともあった。気まぐれな猫のよう。優しく腕に抱いてやっても容易く飛び出し、盛りづいて外をうろめいて、しばらく後に姿を見せては縋るようにじゅんを見上げるのだ。
このところはしばし、その気まぐれも鳴りを潜めていたのだが。外へ出るにも遠出をするにも、じゅんへひと言告げる習慣がついた、というよりつけさせた。そんなことも知らなかったのだ、あの一回りも年下の恋人は。
「あンの野良猫め……」
無性に腹が立ってきて、肌着に一枚羽織ると外へ飛び出した。何だというのだ。近頃はすっかり懐いていたと思ったのに。信頼を寄せられているという自覚、自負もあった。何だというのだ。何か不満でもあったのか。口にせずとも胸にわだかまる鬱屈を抱えていたのか。
「言いたいことがあるなら、言えってのよ!」
道端に転がる空き缶を蹴とばすと、人気の無い早朝にやかましく響く。そのまま去りかけて、肩をいからせたまま来た道を戻りへこんだ缶を拾い上げ、コンビニ前のゴミ箱へ放り込んだ。
シーサイドタウンを歩きながら、さゆるが寝物語にたどたどしく語った言葉を回顧する。伴う衝撃をも。凄絶の一語だった。血と死にまみれ、性愛が上塗り、ぬかるみに足を取られ続けるような人生を彼女が歩んできたことを、今ではじゅんも知っている。
さりとてじゅん自身も語るに憚る体験に人生を彩られてきた口だ。だからと不幸自慢をするつもりはないし、傷の舐め合いに終始するつもりもない。ただ、共鳴した。それだけで救われる思いもある。
共鳴したから愛着が湧き、愛おしく思うようになった。共に暮らすことになろうなどとはじめは思わなかったし想像もしなかったが、二人の生活は不思議な程上手く回っている。ともすれば破綻と紙一重にも思えたはずが、今はこんなにも彼女が恋しい。恋しく愛おしいが故に、何も言わず失せたぬくもりに腹が立った。彼女の穴や渇望を満たせない自身に腹が立った。
「……くそ」
汚い言葉が口をついた。夜を司るじゅんの仕事には厳禁でありながら裏へ回れば何かとついて回るワードで、しかし昨今はそれも上手く隠せていたはずなのに。荒れていたじゅんも近頃は丸くなった。恋人の存在はその一助ともなっていただろうか。
朝のキャットロードはこんなにも明るいというのに、がらんどうだ。何と寒々しいのだろう。せめてもう一枚着込んでくるべきだった。寒風がじゅんの身と心を削り取ってゆく。キャットロードを抜け、寝子島街道を出てしばし歩き、もしやと思って寝子島高校のほうへ足を延ばし、そのまま星ヶ丘へ。この街にはどうも少し気後れしてしまう。夜の煌びやかを浴びるのは慣れた身だが、少なくとも表向きには俗的な輝きを見せない星ヶ丘はじゅんを拒んでいるように思えた。
あえて裏通りを歩く。どこも綺麗に片付けられていて、都会の夜明けにつきまとうすえた匂いも漂わず、光を落としたネオン管もどこか上品だ。
そうと意識して足を向けたわけではなかったが、ふと星ヶ丘にはさゆるの自宅があることを思い出した。豪邸らしい。場所は……どこだったか。いつか聞いた覚えがある。じゅんは表通りへ出ると、記憶を頼りに歩んだ。
やがて前方、呆けたような泣き顔が目に入った瞬間、じゅんは駆け出していた。
「さゆる……!」
とぼとぼと歩んでいた。倒れそうに、汚れたまま、きっと悪辣な男にでも目をつけられたなら誘われ、彼女は拒むこともなくその腕へ抱かれるだろう。そう思えてカッとなり、しかし頬を引っぱたくでもなく罵倒するでもなく、じゅんはさゆるを抱きとめた。
「……じゅん?」
「さゆる。やっと見つけた」
「ああ……そう。そうね。何も言わなかったものね。ごめん」
昨夜に寝付いた時のままの格好で、さゆるは彷徨っていたらしい。じゅんを見つめ、目を反らし、空のまぶしさにまぶたを伏せる。
「急に、ね。いてもたってもいられなくなって。ほら、誰にでもあるものじゃない? 何て言うか。何だかいたたまれなくて、沸き上がるものを押えられなくて、頭が真っ白になって」
「それで。家に帰ったの?」
「たまには片付けようかと思ったのよ。じゅんの部屋をどうにかするのと同じで。片付けなきゃって思ったの。でも、おかしいわね。入れなかったの」
「入れなかった? 鍵でも忘れた?」
「あたし、どうしても……扉を開けられなくて。あたし、あたしは。思い出なんて何もないと思ってた。残ってないって、知ったことじゃないって、でも、でも、あたしは……内側から、膨れ上がってきて。どうにもならなくて」
「さゆる!」
震えるさゆるを力まかせに引っ張り唇を押し付け、舌を割り入れた。それだけでさゆるは弛緩し身を任せ、うっとりと瞳をとろかせた。
腕の中にいるのは紛れもなく、十代の少女だった。彼女を例えるなら薄氷か。容易く踏み散らされ割られてしまうが、大切に拾い上げようとすれば冷たく、時に縁の鋭利に手指を裂かれることもある。
そんな存在が、じゅんにはたまらなく愛おしかった。共鳴するから。きっと同種の存在なのだろう。共にあたたまれば氷は溶け合い、やがて一つに固まることもある。
願うまま、しばしそのまま抱きすくめた。彼女が未だ胸に抱く刃を残らず溶かしつくすように。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月27日
参加申し込みの期限
2023年10月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年10月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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