【お正月】めでたや初春、猫の島の犬の年｜リアクション

【お正月】めでたや初春、猫の島の犬の年

☆猫鳴館鍋パーティ！

　あいお（姉）とあいお（妹）の2人組MewTuber『あいおシスターズ』。
　住んでいる場所は違うのですが、分離した存在である二人は仲良しでした。
　年末のある日。
「星幽塔の方で新年を迎えるから、お正月はネコジマには来れませんわ」
　ほしびとの姉ことアイオ・キャンドライトは、寝子高１年生の妹こと喜矢武あいおにそう言っていました。
「僕は特に帰る実家とかも無いから猫鳴館で年越しします。みんなで鍋パーティーして盛り上がることにします」
　あいおは寂しがるでもなくそう言ったので、なんだか少しアイオは物足りない気分になったのでした。

『年末に福引で鍋セットが当たったので、元日朝ぐらいから猫鳴館ラウンジで鍋やります
食べ物の持ち込み・新年の抱負発表・ステージ発表・書初め・凧あげなんでも歓迎です』
　あいおは猫鳴館に張り紙を貼りだして。
「猫鳴館の寮生以外も大歓迎です。宣伝してくださいね」
　と知り合いに周知しました。
　そんな噂を小耳に挟み。
　小学生の光村千恵はお母さんにお願いしていました。
「鍋パーティに行きたいの」
　お正月から？　と驚くお母さんに、
「あいおシスターズが、ステージがみれるかもしれないんだもん！」
　あいおシスターズのファンである千恵は懸命に訴えたのでした。

　隙間風が吹き込んで冷え込む元旦の朝、あいおがラウンジでステージの準備をしていると。
「わっほーい！　あけましておめでとう！」
　猫鳴館前自治会長、３年の橘明里がやってきました。
「わっほー！　ぱーてぃ！　あかりはご飯食べるの大好きなのよ！」
「それは良かったです。鍋の準備を手伝ってもらえますか？」
「もちろんなのよー、それじゃあ、人集めてくるね」

「お招きありがとう、あいおさん。これ少しだけど、デザートの差し入れよ」
　そう言って手土産のお菓子を差し出したのは３年の神野美野梨です。
「ありがとうございます！　鍋の準備を手伝ってもらってもいいですか？」
　嬉しそうにお菓子を受け取って尋ねるあいおに、
「わかったわ」
　答えた美野梨が、さっそく鍋のセッティングを始めます。

（ここにあいおシスターズが……どうしよう、入っていいのかなあ）
　お母さんからもらった具材を手に来てみたものの、千恵は玄関で勇気が出せず悩んでいました。
「あれ？　もしかして鍋パーティにきてくれたの？」
　人の気配に外を覗いた明里が、声をかけました。
「あの！　新年会やるってきいて、お鍋の具材もってきました！　私も入れてもらっていいですか？」
「どうぞどうぞ！　人が多い方が楽しいのよー」
「えへへ、ありがとう……」
　明里に案内されて、千恵は廊下を進みます。
　リビングにいるあいおを見て、千恵は目を輝かせました。
「あいおさんですか？　会いたかったです！　あの、鍋パーティをやってるって聞いて」
　千恵は持ってきたえのき茸や豆腐やお餅を差し出します。
「手土産にお母さんにわたされたんだけど……どうぞ。あ、お鍋私も準備したい！　あ……料理や手伝いを日頃からやってる訳じゃないんだけど、女の子だから」
「ありがとう！　助かります」　
　あいおが笑顔で受け取ったところで、
「遅れましたが、到着！　星幽塔産の食材持ってきましたわ」
　とアイオが飛び込んできました。
「……え、姉さん！？　星幽塔に帰ってたはずでは」
　驚くあいおに、
「やっぱりこっちでわいわいしたくて星幽塔のお店もほどほどに来ちゃいましたわー！　お店のおかみさんからたくさんもらった鍋用の魚介類や野菜があるので遠慮せずに食べてくださいませ」
　と笑顔でアイオは大きな荷物を広げるのでした。
（あいおシスターズだぁ……）
　二人そろったあいおたちを千恵はどきどきしながら眺め、
「鍋手伝ってくれるのはありがたいですぅー！」
　あいおが喜びの声を上げます。
「珍しい具材ね、興味深いわ」
　と美野梨が星幽塔の具材を覗き込みました。
「ぱっと見はネコジマ世界とちょっと違う具材ですけど味は保証しますわっ」
　楽しそうなアイオの様子に、少しずつ他の人も集まってきました。
　アイオはそんな寮生たちに声をかけます。
「他に具材持ってきた人もこちらへどうぞー。ここは寄せ鍋のだしで行きましょう。酒、みりん、砂糖、醤油……うん、具材もこれで煮れば出汁も出でいい感じにできますわ。あとはここに来る途中で買ったうどんもあるので鍋の〆に煮込んでください」
　料理上手なアイオはてきぱきと動き、的確な指示を出していきます。

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