this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
心をこめて、詰めこんで
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
【たからもの】
計画は入念に練り込んだ。サプライズが肝心だ。用意周到、準備に余念がなく隙もないのがメアリだから、彼女に隠れて事を進めるのには若干苦労したが、ウォルターとの共同作業と思えばこれも楽しい。
プレゼント選びに腐心しつつもデートを楽しんでからの数日後は、クリスマスだった。
ほんのり甘く、それでいてぴりりとスパイシーで、柚春の期待と破裂しそうな胸の高鳴りにするりと肩透かしをくわせる、彼の小ずるく巧みな一面を再確認した夜
を経て、その翌日に目覚めても心はいささか弾んだままだった。大人はずるい、と思う。そして己の未だ小娘であることを痛感する。想い伝え合ってなお彼の背を追いかけるばかりで、彼も彼でそう簡単に追いつかせてはくれない。彼との時の隔たりは容易に埋めがたいと理解しているし、それを理由にあきらめるつもりも毛頭ない。だってあんなふうにキスを……おあずけをくわせておいて。まだこんなにも、どきどきしてる。
「……ワットはずるいよ」
「え、なにが?」
ぷうと頬をふくらませ、彼の背中を突いた。なんとまあ、あんなことをしておいて彼ときたら、このなにくわぬ顔である。眉を寄せてつんつんと突いた。
「いやいや、茶葉がこぼれるから。ちょっと。稲積?」
「今日は教師のウォルター先生? それとも」
「……柚春。危ないから、ほら、ねぇ?」
イギリス人は日に何度も紅茶をいただく。柚春も最初は驚いたが、ウォルターも数時間ごとに湯気立つカップを口へ運ぶ。それを用意するのがメアリだが、今日はとっておきの茶葉が手に入ったとかなんとか、ウォルターが苦しい理由をつけてティータイムの準備を代わってもらった。手が空いた彼女は今、ウォルターの自室の掃除をしている。
柚春も彼を手伝う。用意したのは英国文化において伝統のクリームティー、すなわちイングリッシュスコーンと紅茶の組み合わせだ。スコーンは柚春が焼いてきた。メアリに習ってイギリス流の菓子作りも覚えているからお手のもので、今回もさっくりといい感じに仕上がった。これからメアリに供すると思うと少しばかり、緊張はあるが。
「ええと。茶葉はどのくらいだっけ?」
「ティースプーンで三杯でいいよ」
「OK」
ポットに茶葉を投入するのも、湯を注ぐのもたどたどしい彼の手つきだが、柚春はぐっとこらえて見守った。大切な人のため、ベストを尽くす心持ちこそ肝要だ。今日は彼が使用人を労う日、ボクシング・デーなのだから、彼が手ずからこなさねば意味がないのだ。
お茶とともに、メアリへプレゼントを贈る。その瞬間を想うと、あたたかい。ふと、ぱちり繋がれた目線の青さに、柚春はやっぱり高鳴った。
彼女の瞳に驚きの色が満ち、やがてやわらかく柔和に細められる。
「まあ。驚きました」
「へへへ」
柚春もメイドの格好をしようかと言ったら、なぜだかウォルターに止められてしまった。けっこう乗り気だったのだが。なんでも、己を留める自身が失せるから、だそうだ。どういう意味だろうか。
ともかく午後のティータイムに、広大なブラックウッド邸の庭の一角、緑に囲まれたサンルームへとメアリを招いた。白亜の宮殿めいたテーブルセットの上、揃えられたティーポットにカップ。スコーンにはたっぷりのクロテッドクリーム。ジャムはラズベリーにストロベリー、オレンジマーマレードと色とりどり。
それらに囲まれるように、中央へ鎮座するプレゼントボックス。つやのある黒のギフトボックスはリボンに飾られて、庭を吹き抜けてゆく風に小さく揺れていた。
ウォルターは頭をかき、普段よりもいくらか低姿勢に、
「あー、メアリ。いつも……」
「いつもありがとう、お疲れさま!」
柚春は満面の笑みで。
照れくさそうに、けれど微笑む主人と、その知己である少女の両手を掲げ親しみ深い様に、メアリの目元にはやさしい皺が深く刻まれた。
「そうですか、今日はボクシングデーでしたね。わたくしを労っていただける上、このように贈り物まで……」
「まあ、うん。世話になっているから。日頃の感謝を込めて、ってやつ」
若き主人のこういう殊勝なセリフは物珍しいのだろう、メアリの笑みが深まる。
「これで、ここ数日の疑問が解けました。おふたりがなにやら秘めていらっしゃるようで、わたくしも気になっておりましたので」
思わず顔を見あわせた。バレてるじゃん。まあ聡いメイドさんからボクシングデーのプレゼントとまでは悟られていなかったようだから、上手くいったほうだろうか。
「さあ、開けてみて、メアリさん!」
「気に入ってもらえるといいんだけどねぇ」
うなずいて、メアリの指先が優美な所作のままに、するりとリボンをほどく。
「まあ、綺麗……」
まずはウォルターの選んだ、美しいガラス軸のつけペンと、5色のインクポットのセットが顔を出す。思ったとおりだ、と柚春の心はほころんだ。メアリの佇まいや白い指先に、きらめくガラスのペンはなんと馴染むことだろう。
「こちらは、ノートでしょうか。ああ、とても素敵」
そして柚春のノートだ。アンティーク風のハードカバーが施されたもので、派手に過ぎず、落ち着いた風合いのものを選んだ。ルーズリーフ式でページを入れ替えることもできるから、手帳としても使えるし、書き物にもいい。幅広い用途で普段使いができるだろう。
メアリはそれらをひとしきり、言葉を呑んだまま見つめていたが、やがて大切そうに胸へ抱き込むとまぶたを伏せた。少し肩を震せながらに口を開き、
「……本当に……本当に嬉しい。こんなにも想っていただけて、わたくしは幸せ者です」
目じりにひとしずく。ガラスペンの色を映してか、虹を帯びてきらめいた。
そよぐ風にフリルをなびかせ、青い瞳をうるませ微笑んだ彼女は透きとおって美しく、
「大切に使わせていただきます。ありがとうございます、ウォルターさま。柚春さま」
柚春は思わず見とれた。
<< もどる
1
2
3
4
5
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
心をこめて、詰めこんで
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月15日
参加申し込みの期限
2023年09月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!