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心をこめて、詰めこんで
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【たからさがし】
ウォルター情報のふたつ目、いわく、メアリは児童文学を自分でも書きたいと思っている。っぽい? 曖昧に過ぎるが、ここに糸口を見い出そうと思う。
たとえば『オズの魔法使い』。たとえば『星の王子さま』。ディケンズの『クリスマス・キャロル』。言わずもがなの宮沢 賢治『注文の多い料理店』、『風の又三郎』に『銀河鉄道の夜』も。手の空いた折、そうした児童文学へ触れるのがメアリの楽しみだという。子ども向けといってもれっきとした文学作品であり、ジャンルとして確立され大人にだってファンは少なくない。成人してから読み返すとそこに新しい発見を見い出したり、著者の盛り込んだ意図に初めて気がついたりする。余計な記号をもたず素朴な装いだからこそ、輝きを秘めた原石のようにその美しさもまた際立って映るのだろう。素敵な趣味だ、と柚春はメアリへの好ましい印象を新たにしたものだ。
格別の人格者であるメアリがしたためるならば、それはもう透きとおるような純粋が形となった物語が生まれることだろう。彼女の文才を柚春は詳しく知らないが、日々のやりとりからも理知的な思考や柔軟性、合理性、言語の巧みが読み取れる。彼女に託された
レシピノート
からもそれはつぶさに伝わってくるから、きっと書くほうの才能にも過不足ないはずだ。
それを踏まえ、ボクシング・デーに贈るプレゼントという観点からすればどうだろう。メアリが物語を書きたいと考えている、という前提からして不確実だから、それのみでなく幅広い用途があるような普遍的な品物が良いだろう。
「それで、ペン? どんなのだい」
「メアリさん、パソコンは使わないんだよね。手書き原稿の味、ってあると思うんだ。メアリさんが書くことを楽しめるような……だから、つけペンとインクポットのセットはどう?」
「ははあ。なるほどねえ」
ウォルターもうなずいた。
「ペンなら普段使いもできるし、手紙を書くのにも、なにか書類を書くときにも、ワットへメッセージを送る時にだって使えるよ」
「うん、いいかも。うん、それは悪くないねぇ」
どうやら柚春の提案を気にいってくれたようだ。
不意に彼は助手席の柚春の頭に手を伸ばし、くしゃくしゃとかきまぜた。
「わ、わ! ちょっと、ワット!」
「いやいや、さすが僕の生徒は気が利くねぇ」
からかいまじりながら、彼なりの柚春への感謝の所作なのだろう。照れ隠しであったかもしれない、と気づくと乱れた髪も悪い気はせず、なんだか口元がにやけてしまった。
『Cuore mio』。クオーレ・ミオ、私の大切なあなた、といった意味らしい。情熱的なイタリア人は恋人や伴侶へしょっちゅう口にするそうだが、まあなかなかに大仰な言い回しだ。そんな言葉は手紙で記すくらいがちょうどいい、と慎ましやかな日本人なら思うだろう。つまり星ヶ丘のちょっと高級な文房具店を飾るに、これ以上ふさわしい名前はなかろう。
もっとも小市民、柚春などはその店構えにいささか気後れてしまうくらいだが。
「だ、大丈夫? けっこうお高そうなお店だけど……」
「そんなに高いものを買うつもりはないよぉ。メアリも高級すぎるものは喜ばないだろうからねぇ」
とは言うが、彼とて星ヶ丘住まいでイギリスの名家の出身だから、柚春の金銭感覚とは少々ずれがないとは言えまい。ここは柚春がしっかり手綱を握っておかなければ……なんてちょっぴり、彼に寄り添う良妻っぽい?
「? なに、嬉しそうな顔して」
「なぁんでも♪ さ、メアリさんにぴったりのペンを見つけよう!」
彼の袖を握りくいくいと引いて、足取りも心も軽く弾んだ。
探すのはつけペンと、それに合うインクポット。アンティーク風の彫金が施されているものなどいいだろう。きっとメアリの手に馴染むはずだ。
店内はさほど広くもなくこじんまりとして、上品で落ち着いている。ガラスケースには多様な文房具が並ぶが、メインは万年筆で、ほかにつけペン、ニブ(ペン先)、インク類。革のカバーをかけられた手帳なども目をひく。
「わあ……」
品揃えと、その価格設定にも驚く。柚春の知る文房具の値段より一段、二段は高級だ。しかしそれに違わぬ品格の高さや趣き深さも感じる。
「ああ。値段が気になるかい」
「う、うん。少し……」
「いいことだねぇ」
怪訝な面持ちで見上げると、彼は教壇に立つときの顔になって言った。
「大人は持ち物や身の回りの物に気を使うものだよ。かといって、やたらに高ければいいわけでもない。いいものを見分ける目を養うべきだよ」
なるほど。ウォルターはイギリス生まれの紳士だし、その使用人に持たせる品が安かろう悪かろうでは、彼の品格までも問われるだろう。それを気にするたちではないが、誰にも恥をかかせたくはないのだろう。
そしてこれは、柚春への教育でもある。生徒と教師として? それはもちろんそうだ。
「ワットって、先生みたいだね」
「先生だからねぇ」
しかしそれ以上に、いずれ彼の伴侶として隣を歩むつもりならば、いくらか物の良し悪しにも通じて然るべきだ。ウォルター自身の個性や気質以上に、彼のつらなる家柄にもそろそろ目を向けるべきかもしれない。柚春だって彼へ恥をかかせたくはないのだ……ウォルターがそんなところまで考えてのことかは分からないが、ともかく柚春が彼との関係を思う上で、ひとつの気づきとなった。
だって、そうだ。ふと妄想がふくらむ。いつか彼に連れられて渡英し、家族に柚春を紹介する、なんてシーンも訪れるかもしれないではないか。
「なんだい、楽しそうだねぇ」
「ふっふっふー」
狭い店内に、彼の腰へとん、とお尻をぶつけてやった。
「さて、ワット。メアリさんに似合いそうなペンはあった?」
「そうだねぇ。これなんかどうかなぁ?」
彼が目をつけたらしいのは、透きとおる碧緑色のガラスペン軸にシルバーのアンティークニブが取り付けられた、なんとも美しい一本だった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年09月15日
参加申し込みの期限
2023年09月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年09月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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