怪人セブンの歌劇｜リアクション

怪人セブンの歌劇

【ダイ　ジュウイチマク】

　小ホール調査班とセブン対応班は、小ホールへ向かい、七男のいる場所へ向かうための手掛かりを探す。
　そして、桜庭と御剣は意を決して互いに拳銃のグリップを握り締めた。
「それじゃ、１、２の３、で引き金引くよ」
「……本当にいいんだな？」
　桜庭に御剣は問い掛ける。
『まどかちゃん　むちゃはしないで』
　小山内も心配そうに見詰める。
「ボクのろっこんは危険な目に遭えば遭うほど運が上がるんだ。だからボクは信じる。自分の可能性を信じる」
　桜庭は撃鉄を下ろす。
　そして、そのまま自分のこめかみに押し当てた
　御剣も同様に下げ、桜庭のこめかみに押し当てた。
　これでひとりロシアンルーレットの完成だ。
「それじゃ、いくよー」
「いつでもいいぞ、桜庭」
　森も小山内もただ見守る他ない。
　ロゼッタ組も２人に注目している。
「１、２の、３！」
　２つの拳銃の撃鉄が同時に音を立てて上がる。
　セーフだ。
「続けていくよ、１、２の３！」
　シリンダーが回る。
　セーフ。
　残り、４分の１。
　２人は撃鉄を下げる。
「１、２の３！」
（彼と話す為の覚悟をボクは示す！）
　撃鉄は空のシリンダーを叩いた。
　セーフ。
「１、２の３！」
（自分のエゴを我が侭を通すだけの覚悟を示す！）
　２つの金属音が同時に鳴り響く。
　セーフ。
「これで残り２発だ……。どうするんだ？」
　御剣が尋ねる。
「ここまで来たらやるよ、勿論」
　桜庭に迷いはない。
「分かった。俺は桜庭を信じる」
「ボクもボク自身を信じる」
　２人同時に撃鉄を下ろす。
（命を賭けて何かを成せる覚悟を――）
　桜庭は引き金に力を篭める。
（ボクはナナオに示す！）
　シリンダーが回る！
　撃鉄が上がる音が同時に鳴った！

　響く大音量。

『まどかちゃん？』
　小山内が呆然としている。
　桜庭は……拳銃を握り締めたまま仁王立ちしていた。
　こめかみに穴は空いていない。血も吹き出していない。
　ロシアンルーレット、パーフェクトでクリア！
「すごいです……！　２丁とも５発連続クリアなんて……」
　森は心底ハラハラしました、と胸をなで下ろしていた。
「相変わらず無茶するよな、桜庭……」
「刀くん、ありがとうー。これ、開演ブザーだよね？」
　先程からけたたましく鳴り響く開演ブザー。
　桜庭は課題をクリアしたと悟ったのだ。
『まさか、本当にクリアするとはね……』
　ボイスチャットから七男の声が聞こえてきた。
『監視カメラで不正がないかチェックさせてもらったよ。正真正銘、イカサマなしだった。おめでとう、円ちゃんはぼくに覚悟を示した』
　七男は桜庭のろっこんの実態を掴んでいない。
　傍から見れば、恐ろしい激運に守られたと思うのも無理はない。
『その行為に敬意を評して、ぼくが居る大ホールへの道を示しておいた。君達が来るのを、ぼくは待っているよ……』
　再び伝えることだけいうと、七男は一方的に回線を切った。
「よし、いくか」
　御剣が霧切が明けた透明壁の穴を潜り、西館経由で大ホールを目指す。
　桜庭と小山内もともに行動する。
「私もセブンさんに会いに行きます」
　森は小ホールへ向かい、セブン対応班と合流することにした。

　大ホールへの道が開かれた！