怪人セブンの歌劇｜リアクション

怪人セブンの歌劇

【ダイ　ジュウサンマク】

　東館にも変化が起きていた。
　開演ブザーが鳴り響いた直後、石像の間の台座に何かをはめられる突起物が出現したのだ。
　そこへ月居と鈴野が石像の間に足を踏み入れた。
　途端、苦無が弾け飛ぶ！
　やはり強度が足りなかった！
　と、その時！
「おらァッ！」
　扉の隙間に、白銀のロボが挟まり、扉が閉まるのを阻止した！

「待たせたな！　そろそろ頃合かと思って助けに来たぜ！」
　クロウディア・Wがろっこんでロボになっている間に、吉祥寺と恵御納がすり抜けていく。
　全員がすり抜けたのを確認すると、クロウディア自身も身体を滑り込ませて石像の間へ飛び込んだ。
　扉は完全に閉まり、閉じ込められてしまった。
　島野、セルゲイ、尾鎌、犬神もずっと調査していたため、一緒に閉じ込められてしまった。
「でも、多分このハンドルがあれば……」
　月居が台座にハンドルをはめ込むと、ぴったりはまりこんだ。
　そして力を入れて回すと、台座が反転して、下へ続く階段が出現した！
「いかにもって感じの階段っちゃね」
　鈴野の声の義憤の色が濃くなっている。
「アタシはここに残るわ。石像を倒した今、アタシは回復要員として待機するべきよね」
　尾鎌はそう言いながら脱ぎだし、ブーメランパンツ一丁で準備万端をアピールする。
　尾鎌のろっこんは肌と肌の触れ合うマッサージによって怪我や精神異常を回復させるのだ。
　ただし、絵面が非常に際どいので、人を選ぶのが難点だが。
（ナナオ、お前はこの下にいるのだな？）
　セルゲイはドス黒い野望を胸に秘め、顔は明るい笑顔を湛えていた。
（あの模写は確かにナナオの絵だ。待っていろ。この手で必ず絶望させてやる）
　対して犬神はとても上機嫌だ。
「ようやくご対面だな、ギャハハハ！　……これで狡い手法使ってくれなきゃ、もっと燃えたんだがなー」
　どうやら、この大仕掛けが犬神は気に入らないようだ。
「俺は、ただ無心にバトりてぇだけなんだよ！」
「あ、待った！　斥候は忍者の仕事だよね！」
　島野が注意深く先行して階段を下りていく。
　しばらくして、直ぐに戻ってくる島野。
「セブンがいる……。私が出来るのはここまでね」
　島野もこの部屋に残ることにしたようだ。
　尾鎌と島野以外のメンツは階段を下りて大ホールを目指す。

＜大ホール到達者＞
　犬神花梨
　恵御納夏朝
　吉祥寺黒子
　クロウディア・W
　鈴野海斗
　セルゲイ・ボスコフ
　月居歩

　小ホールでは、舞台装置の『奈落』があるかどうかが焦点となった。
　李を中心に、舞台袖などを片っ端から調べる。
「奈落自体はあったのだ。でもスイッチの電源が入っていないのだ……」
　ケーブルが切断されているのか、昇降機が作動しないのだ。
　そこへ鳴り出す開演ブザー。
　すると舞台の中央が勝手に下降していく！
「みんな、早く飛び乗れ！」
　八神が呼び掛ける。
「きっとこれが七男のいう大ホールに繋がっているはずだ！」
「芽森……」
　霧生はそっと菜々緒のハンカチを握り締める。
　そのすぐ近くで、霧切は懐に隠した布に巻かれた長物を大事そうに抱え、何やらブツブツと唱えている。
「先輩……。僕が傍で守りますから」
　新井の言葉に、笑みだけ返す霧切。
　その目は深淵のように暗く澱んでいた。

＜大ホール到達者＞
　雨寺凛
　新井米太郎
　伊予祐
　北原みゆき
　霧切翠子
　霧生深雪
　黒依アリーセ
　立井駒鳥
　常闇月
　風雲児轟
　森蓮
　八神修
　李小麗