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雪待ち、恋傘横丁
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まぶたを伏せる。かすれたフィルムの古い映画のようだ。そこに映り込むのは過去であり思い出であり記憶であり、忘れたくも忘れがたく、紛れもなく
朝鳥 さゆる
を構成する欠くことのできない因子たちだ。さゆるという人格を形成したいくつもの夜に今となっては目をそむけたくなるが、未だそうはできなかった。覚めない夢のように、夜の浜辺に押し寄せる波のように繰り返し、繰り返し立ち現れてはさゆるの足元を危うく揺らがせた。
幸せに浸れば浸る程、追い立てる過去は早足となる。焦燥に煽られ、さゆるもまた早足となった。いつ追いつかれるか。今日か。明日か。もっと先であるならいいけれど。
「さゆるー? 準備できたー?」
「……あ、うん」
姫木 じゅん
の声が覚醒を促した。この瞬間が今日の本当の目覚めであったかもしれない。
恋人の声に、裏表なく接してくれる率直さに、甘い睦み合いに、どれほど救われているだろう。
「おっけー、んじゃ出よっか」
「ええ」
じゅんとて時にダウナーな顔も見せるし、彼女いわくそちらが素なのだそうだが、さゆるが少なからず過去に揺さぶられているなら鋭く悟るらしい。そして多くは口にせず、ただ長身のさゆるへ寄り添い腕を抱きこむにとどめた。
「着物を借りたら、まずは写真! ばっちり撮ってもらわなくっちゃね」
「急に和装がしたいだなんて。またアニメの影響でしょう?」
「そりゃもう、ね。だって『恋傘横丁』なんてイベント、もう乗っかるしかないじゃん!」
そんなにも無理をして笑ってくれなくていいのに、とさゆるは思う。同伴中の脂ぎった親父に見せるような……とまでは言わないが、仕事に際して浮かべるような笑みを自分に見せなくてもいい。自然で、そばにいてくれればそれでよかった。
「ん? なーによ、見つめちゃって」
それでも……救われるのだ。
雪待ち、恋傘横丁。参道商店街はいつになく賑わっている。
「この中の何割が、『あまいもん』ファンなのかしらね~」
「そんなにはいないと思うけど……」
どちらかといえばインドア派、休日は日がな一日寝ころびニャトフリでアニメを見倒すようなじゅんである。イベントに足を運んだのは彼女なりの理由あってのことで、和菓子を題材にしたアニメ『あまいもん』がそれだ。少し前に流行ったそうだが、あいにくとさゆるはまだ未視聴だった。まだ、というのはそのうちじゅんに付き合わされて、どっぷりと作品に浸るであろうから。
ともかく、そのあまいもんとやらの舞台である老舗和菓子店のモチーフとなったのが、この参道商店街に店を構えて百余年、『和菓子の大河』であるらしい。
「着付けをしてもらって、写真撮ったら、聖地巡礼といきましょ」
「分かった。付き合うわ」
まずは、呉服店の『きじとら』へ向かう。イベント中はレンタル着物が格安だ。
じゅんの動機はまずもってアニメの舞台へ訪れることなのだが、もう一つ重要なファクターがあると言う。
「おおお……」
「そ、そんなに?」
じゅんは食い入るように、和装へと変じたさゆるを見つめた。
「いいよ、すごくいい! さゆるってやっぱり、何着ても似合うわ」
「ゴスロリと部屋着以外のじゅんも新鮮よ」
に、と歯を見せたじゅんは黒地に(和服でもやっぱり黒だ)桜と菊柄。さゆるは白に藤と牡丹。どちらも二尺袖袴の華やかなものを選んだ。明治の女学生めいた小振袖姿には、着付けてくれた女性スタッフも太鼓判だ。
装いが変われば気分も変わる。今日の内は少なくとも、あの陰鬱を意識せずに済みそうだ。華やかな着物に身を包み、街へ繰り出す。
まずはカメラのニシムラで記念撮影をした。もちろんセピア加工とフォトフレームも付けてもらう。
「へえ……」
「な、何?」
出来上がった写真を覗き込み、じゅんは悪戯っぽく笑う。
「いつもの仏頂面がウソみたいな、やわらかくっていい顔ね」
「……あたし、いつもそんなに不機嫌そう?」
「ま、最近はそうでもないかな? たま~にね」
満を持して、和菓子店『大河』へ向かう。その道程にもじゅんは、寝子島にいかにアニメやらコミックやらで描かれる舞台のモチーフとなったいわゆる聖地が多いか、あの店はあのアニメのモデルになった洋菓子店で向こうのあの店はカレーバトルマンガで死闘を演じた舞台となり……などなど、とくとくと語ってくれるのだ。
「ああ。これがあまいもんの舞台、和菓子の落葉のモデル。大河の銘菓・折り鶴……!」
付き合ってみれば案外感動屋なじゅんの、甘味に打ち震える緩んで隙だらけな顔を眺めるのも、近頃お気に入りとなりつつあるさゆるである。
じゅんと在れば、心に余裕が生まれた。それが今のさゆるを成り立たせている。
和服に和傘を差し、店々を回り半額でのショッピングを楽しんだばかりでなく、寝子島映画村へまで足を運び、数々の名作に触れるのはかつての自分からはいささか縁遠く思えた行いだ。
「あの、すみません! サインください!」
「……は?」
女優と間違われ、サインを求められるなど稀有に過ぎる経験ではないか。深々とした夜の中をさまよった頃には思いもつかなかったことが、世にはあると知った。
「いえ、あたしは俳優じゃ……」
「いいじゃない、してあげましょ。サイン」
じゅんは十代の活力巡らせる少女が鼻息荒く掲げたノートのページへ、楽しそうにペンを走らせる。さゆるも一つ息をついてから、同じようにしてやった。
「後で戸惑うわよ、あの子。あたしたち、芸能人でもなんでもないのに」
「あら、でもいつかさゆるが有名にならないとも限らないじゃない? アイドルデビューしちゃうとかさ。そうしたらあのサインの価値も急上昇ってわけ」
「ありえないわよ……」
「分かんないわよー? あんたって背も高くてスタイルもいいし、スカウトされちゃうかも」
からからと全てを笑い飛ばす彼女とて、さゆるに負けず劣らずの重しを背負っている。それでいて、望んでさゆるへさらそうとはしない。じゅんの強さがまぶしかった。
「さて、この後はどうしよっか。寝子温泉も入浴費半額だっけ、行っちゃう?」
「ええ。いいわね、冷えてきたからあたたまりたい気分」
「決定!」
自分もそうありたい。さゆるは思う。自分のためだけでなく、彼女といつまでも並び立つために。
手を繋ぎ、温泉街のぬくい湯気を浴びながら歩んだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月12日
参加申し込みの期限
2023年08月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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