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雪待ち、恋傘横丁
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「ふみこう?」
「そう、文香」
二人、和装にて旧市街をそぞろ歩く。柚春は青の袷に緋色の番傘。ウォルターは焦げ茶に目を惹く草華柄、手には山吹の蛇の目傘だ。
柚春は帯をぽんと叩いて微笑した。そこに収めた和紙の折り紙から漂う香りに、ウォルターは気付いたようだった。
「香木とか、精油を染みこませたものなんかを和紙にはさんで持ち歩くの。ほんのり香って、周りの気をやわらげたり。好きな人の気を惹いたり、ね」
おかげでウォルターの興味を誘ったのだから、つまり、してやったりだ。
今日の香りはレモンにピーチ、ムスクを配合した。柑橘の清涼感に甘くフルーティーな香気、清潔感ある香りがさわやかだ。多少なり香りが着物にもついてしまうから、事前に呉服屋の店員にも確認しておいたが問題ないということだった。
「香りって、記憶と紐づいているものだから」
柚春は語る。
「この香りがあの二人にとっても、楽しい思い出を演出するものになればいいな、って」
「桜井と、あの子にとってかい。なるほどねぇ」
もちろんそれだけではあるまい。ちらと彼の横顔を仰ぎ見る。着慣れない、しかし新鮮な和服体験を共有し、良き思い出として紐づけば後々、思い返すたび柚春は悦に浸るだろう。
ウォルターにとっても、そうあってほしい。
「僕は今日、デートって思ってるけど……ワットは?」
「ん~?」
彼は過度に体面を気にするたちではないが、時に応じて必要な線引きならば決して踏み越えないタイプだ。少なくとも対外的には、例えばラッセルらなどを前にすれば、生徒の引率と語るだろう。まあ、少々苦しいが。
「さぁて、ね」
口に出すのも野暮かもしれない。大人は行間をこそ読むものだと、そう言っている気もする。
確かにそうかもしれない。ブラックウッド邸であけっぴろげに触れ合うはもちろん、人目はばかりながらつつましく、全てつまびらかにはせず密やかに通じ合うも、これがどうして悪くはないではないか。
「ま、今日はそういうことにしといてあげようかな」
「慮っていただき痛み入るよ。お嬢様」
「あはは、わざとらしい。あ、お菓子屋さん……限定商品のチョコレートラスクだって、美味しそう! 入ろうよ」
「いいよぉ、少し喉も乾いたしねぇ」
しばしのティータイム。目の前の菓子を手に、あ~ん、は止しておいた。かわりに幾度となく紡がれる目線は秘めやかに、それでいて熱を帯び、柚春はかつてなくその青い瞳の耽美なきらめきを楽しんだ。
ラッセルはうつむき加減のまま、ため息をつく。
「やっちまったなぁ……」
着付けを終えて現れた女性陣、ことに晴月の変貌ぶりに自身も思わぬほど感激してしまい、褒めちぎり、嘗め回すように見やり、しまいにはペンと紙はないかぜひともこの絵を描き残しておかねばといささかやかましく騒ぎ立ててしまった。思い返すだにみっともなく、顔から火が出るように火照った。
「稲積も呆れてたよな……」
「ねえラッセル、ほんとにヘンじゃない? 私、大丈夫?」
ともあれ、仕方がないとも言える。
晴月はうなじのあたりや着物の合わせ目、裾などしきりに気にして、頬を赤く染めている。内股にもじもじとして、畳んだ緋色の傘を胸に抱き込んだままだ。
本当かどうだか、彼女の語るに、生まれて半年程だという。その純粋無垢から真実味が伝わるが、であれば感情の未発達にもいくらか納得がいく。つまりいつものワンピースから慣れない和服を着飾ることで彼女の脳を駆けめぐった信号が、あらためてその心へ羞恥の情を生み出したのかもしれない。
「ああ。ヘンじゃない、可愛いぜ。すっげーいい!」
「ほんとのほんとに?」
「ほんとのほんと!」
「ほんとのほんとのほんとに?」
「ほんとだって!」
良い傾向だ。ラッセルは彼女の成長に思わず笑む。
何しろ晴月は、降り積もり一つの足跡も刻まれぬままの白雪の野のようだ。生まれたて、なるほどとうなずいてしまう程度には汚れない。純粋に過ぎるのだ……
危ういほどに
。揺れる天秤が介入する指先一つでどちらにでも振り切れるように、彼女は何色にでも容易く染まってしまうだろう。少なくとも子が育つうち自然と身に着けていくであろう、通俗的分別や安定した情緒を彼女が獲得するまでは。
この道行きは、その突端となるのかもしれない。
「ほんとのほんとのほんとのほんとの……」
「だー、もういいってそれは! それより俺、腹減っちまった。何か食おうぜ、奢ってやるから」
「! あれ! あれ食べたい!」
銘菓・折り鶴とやらの雅なのぼりを指差し一転、どこまでも弛緩した笑顔を浮かべる。
「分かった分かった、危ないから走るな……飛ぶのもダメ!」
「おおー、美味しそう! 私、おりづる、百個食べる!」
「百個は無理だろー、腹壊すぞ。つーか金、持たねーって!」
和菓子屋目がけて突撃、ぐいぐいと手を引かれてゆく間に、ほど近い洋菓子店の大きな窓の向こう、照明のゆったりとした明かりを透かして見える柚春と目が合った。ウォルターと談笑の合間、こちらへ微笑と会釈をよこした柚春へ、ラッセルは親指を立てて返す。
広げた若草色の傘を畳む。冬の陽光はまぶしく、風にそよぐ晴月のエメラルドが輝き、ラッセルの目を射った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月12日
参加申し込みの期限
2023年08月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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