this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
雪待ち、恋傘横丁
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
何もないのが最良だ。脈絡なく突然の驚きや嬉しいハプニング、心弾む予期せぬ出会いはなくたって、日々をつましくも着実に歩めたならそれでいい。平々と揺らがぬ日常こそが素晴らしい。
旧市街をゆくのはいつも通り。
天満 七星
の日常を切り取れば、和の趣きに満ちている。しかし今日はいささか勝手が違った。
「あら、皆さん着物をお召しなのですね」
恋傘横丁なるイベントが街全体にて開催中なのだという。そういえば先日、馴染みの呉服店『きじとら』を訪れた際に見たのだったか、店主より聞いたのだったか。ともかく今日は、特別な日であるのだそうだ。
七星にとっては慣れた装いだが、現代日本にあっては稀有な例だろう。道行く人々の多くは草履や下駄にも不慣れな様子で、しかしそれを楽しんでいるようである。
「ふむ。雪待ち、恋傘横丁ですか」
自然、七星の顔はほころんだ。今日の寝子島は普段よりもう少し日本、という感じだ。
「素敵なお散歩になりそうですわね♪」
まずは呉服屋のきじとらへ向かうことにした。せっかくの日和だ。いつもの二尺袖袴とは趣向を変えて、少々違った和を着こなしてみるのも悪くない。
冬らしくということで、袷の着物を選んでもらった。落ち着いた紫地、武家のお姫様のような御所解文様。袋帯も金糸銀糸でちょっとゴージャスに。花紋を散らした白の羽織と、西陣織の和装バッグも合わせてもらった。
「こんなお着物も、たまには悪くありませんね」
参道商店街の石畳を踏む足取りも軽やかに弾む。
すれ違う男女が手に提げている和傘が目について、七星も畳んでいたそれを広げてみた。繊細で軽い和日傘だ。黒竹の柄に、深みある青のグラデーションが美しい。特に七星が気に入ったのは、それを夜空に見立てて配された星座柄だった。
七星の名も示すように、夜の星とは何かと縁が深い。北斗七星や南斗六星を敬う星神信仰へ通じ、吉凶占いや指針をそこに求めることもある。己のアイデンティティーの一角を成す星の輝きに、七星はどうしても惹かれてしまう。そも、日本人は昔より天体を神格化して崇めてきたし、仏教に取り入れられた妙見信仰などは特に北斗七星への神聖視が顕著だ。
つまり七星にとっても星と和の趣きとの融合は実に自然で、心躍るのだった。
「あら。お写真を撮っていただけるのですか」
そんな折に、『カメラのニシムラ』の店先へ掲げられたのぼりが目についた。和装、和傘での記念写真撮影が無料だそうだ。七星は微笑み、ありがたく撮ってもらうことにする。
「やはり、傘の星たちを綺麗に収めたいですわね」
しばし角度なりを模索した後、出来上がった写真はセピア風の加工を施され、ウッドフレームに収められた。傘裏の星々がほんのりと浮かび上がるようで、満足ゆく一枚となった。
イベントのあれこれを健全に楽しみながら、七星は参道商店街を行く。
何もないのが最良だ。写真撮影に始まり、書店でユキヒョウの写真集を眺め、手芸店の軒先で巨大ぬいぐるみのふわふわを堪能し、そして今は和菓子店で限定商品の練りきりなどいただいているところだ。飛び跳ねるようなトラブルやら、目を剥くような神魂現象なども起こらず、星幽塔や霊界からの困った闖入者もない。通行人の中にはあやかしらしき面々もたまに混じり込んではいるものの、奇怪な現象やらバトルやらに慣れた七星が見てようやくにしてそれと分かる程度だし、彼らは分別よく真っすぐにイベントを楽しんでいるようだ。
「善哉、善哉♪」
銘菓と名高い折り鶴をぱくりと頬張る。甘すぎずちょうどよい甘味、とろけるような舌触りに破顔する。
本日は実に平坦、それでいて人波からは程よい刺激を得られる心地よい一日だ。
寝子島ではそうもいかぬ日も多々ある。異世界の出口が開き、悪辣な神の悪戯に呑みこまれたり。銀河を駆ける超特急に乗り、星々を巡ったり。繰り返す時の流れに囚われて、解法出口を探し七転八倒したり……まあそれらの全てが悪しき体験であったとは言い切れないあたり、寝子島の不思議でもあるのだが。思い出は今も七星の胸に燦然ときらめいている。
ともあれ今日ばかりはそんな非日常に巻き込まれることもなくのんびり悠々、闊達自由に過ごすことができている。何ら変わったところのない、平らかで滑らかで、平凡で素晴らしい一日。それだけで、七星の胸はすっかり満たされるのだった。
「私、大満足なのですわ……あらら?」
などとのたまったところで、それ見たことか。漆の皿に乗った折り鶴の一羽がふわりと飛び立ち、七星の眼前に飛び回るではないか。おまけに桜色の鶴は言葉まで発するではないか。
「たいへんたいへん! 鶴姫様がお忍び観光中、悪の忍者軍団にさらわれちゃった! 誰か助けてー!」
すっとんきょうな事件が勃発。どうやら結局、暮れまで平々とはいかなかったようである。
しかしながら、これもまた寝子島だ。
「ふふ。私の出番のようですわね♪」
肩を落とすでもため息を漏らすでもなく、七星は傘を広げて星々を瞬かせ揚々、微笑むのだった。
<< もどる
1
…
3
4
5
6
7
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
旧市街の和を楽しむお話でした。
一つお詫びを。ガイドの商品一覧にてカレーショップの商品名が、ユキヒョウ写真集になっていましたね。大変失礼いたしました。なんとかホワイトカレーなどと名付けたはずだったのですが。
和服に和傘スタイル、ときめくものがありますね。どちらも調べれば調べるほどに奥深く、柄の多様さ美麗さには圧倒されてしまいました。
今回のシナリオタイトル、イベント名としてもちょっと気に入っています。皆さんの心に残るものとなっていれば幸いです。
それでは、また次回に。
網でした。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
雪待ち、恋傘横丁
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年08月12日
参加申し込みの期限
2023年08月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!