【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪｜リアクション

【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪

「なんだか凄い人だけど、有名な人のライブでもあるのかな？」
　稲積柚春は、ぬい活は熱心ですが同人誌のことは知りませんでした。
「ネコミケだよ。稲積は行ったことない？」
　隣にいたウォルター・B先生が言いました。
「ああ、テレビでちらっと見たことある……今日とは知らなかったけど。グッズを沢山買って祭壇を作ったり痛バを作ったりする人がいるんだよね」
「痛バ？　……痛いバッグ？」
　首をひねったウォルターに柚春は頷く。
「うん。凄いね、服も本もみんな自分で作ってるんだ。そういえば僕も参考にしたいものがあって……勉強に行きたいな！」
「勉強ねえ……」
　というやり取りの後、二人は会場に足を向けたのでした。

「ちょっと圧倒されちゃうな」
　人ごみに驚きつつ、二人は企業ブースへ向かう。
「そういえばワット、覚えてる？　僕もワットのグッズを持っているわけだけど」
「えっ？」
「ここなら、立派な祭壇にする補助アイテムがあるかな」
「……何のことだい？」
「え、大事にとってあるよ？　ワットの雄っぱいマウスパッド！」
　爆弾発言にうろたえるウォルター。
「その言い方は誤解を招くよぉ。あれは、別に僕のマウスパッドじゃないよ？」
　柚春は『桐島先生のおっぱいマウスパッド』を桐島先生自身がマウスパッドになっていると勘違いし、最終的にワットのマウスパッドと思い込んだモノを購入したのでした。

　二人は展示スペースへと足を向けます。
「それにしても、こんなに凄い人だと知り合いもいそうだよね……あれ？」
　周囲を見回しそうつぶやいた柚春は、黒キャップ帽から覗く金髪の知人を見つけてしまいました。
（僕たちの関係がバレないようにしないと）
　ウォルターを引っ張って隠れようかと思ったが、次に目をやったとき彼の姿は消えていました。
「え？　見間違いじゃないよね……」
「どうかしたのかい？」
「ううん、気のせいだったかも。あ、あの人旅行カートに缶バッチやぬいぐるみまで……想いの強さが伝わってくるね」
　近くを通った人に目を転じると、コスプレのような恰好や妖怪姿の人たちもいて、金髪のウォルターも普段ほど目立っていない気がします。
「そういえばグッズを敷き詰めて鞄に飾る人もいるよね、本物は迫力が違って凄いな。僕も沢山のワットの写真を缶バッジに……」
「するの？」
　ちょっとギョッとした様子のウォルターに、柚春は笑います。
「しないよ」
「しないのか」
「だって本物がずっと傍にいてくれるんでしょ？」
「それもそうだねぇ」
　二人は顔を見合わせ微笑みあいました。