【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪｜リアクション

【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪

　夜も明けぬ時間のネコミケ会場前。
　遠巻きに見ればそこは既に混沌でした。
　並ぶ者たちの中には、体が透き通ったり人間とは思えない姿の者たちがいて。
　生者死者問わず悪いお友達と並ぶ魑魅魍魎ばかりか、さらに鬼までが。
『貴様ら今日は許さぬ』
　地獄から派遣された徹夜組絶許鬼が金棒片手に息巻き、戦争が勃発していたのです。
　まだ霊体のまま散歩に来たサークル参加幽霊の乱蘭・フローレンスは、そんな阿鼻叫喚を元気に眺め、スマホを器用に操ってねこったーに『徹夜駄目絶対』と書き込むのでした。

「サークル入場時間です！」
　揃ったスタッフ参加者が声を上げると同時に、乱蘭は実体化しました。
　スタッフたちが守る道をチケットを掲げて入場します。
「御苦労でござる！　良い祭にしようぞ！」
　そんな声を上げながら。

「テーマがあやかしなので拙者も１冊書いたでござる」
　霊体で持ち込んだ荷物は実体化するまで重くないので便利です。
　準備をしていると、あっという間に一般参加者の入場が始まりました。
　死者たちも鬼をうまく撒いて入場してきたようです。
「ゾンビ本ですか？」
　顔の青白い参加者が乱蘭の本を手に取りました。
「いらっしゃいでござる。この本は……」
　乱蘭は説明を始めます。
「なんやかんやで死んでしまった女の子がゾンビとしてハイテンションに復活！
　墓参りにきた親友を勢い襲ってゾンビ化！
　イチャイチャしながらゾンビ活！
　という腐った百合コメディ漫画です」
「ほうほう、いいですねえ……」
　目を輝かせるお客。
「これがほんとの腐女子でござる。あ、エロスはあります。ゾンビなのに。セリフがほぼア゛ーしかないのに何故か読める生者にもやさしい漫画です」
「ほう！」
　青い顔にあちこち血が通い始めた顔の参加者が興奮して財布の紐を緩めます。
「あ、おまけとしてこの年描いたえっちぃイラストをマトメターノのコピー紙あります。あと別サークルから頂いた『転売絶許』が込められた御札を裏表紙に。
以上のセットでお値段これだけ！　拙者に見せて此方の賽銭箱にお入れ下さい」
「ください！」
　現金、古銭、さまざま入り混じった通貨が賽銭箱に飛び込みます。
　この決済が一番早いと睨んだ通り、乱蘭の百合ゾンビ本は飛ぶように売れて行きました。

「献本がしたくて個人サークルにしては沢山刷ってきたでござる。余ったら委託なので問題ないでやんす」
　乱蘭はネコミケを満喫したのでした。

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