【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪｜リアクション

【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪

「ＥＭＩさんプロデビューしたからもう参加されないかと思いましたよ！」
　サークルＥＭＩのブースで、伊藤恵美はファンの子達にそう声をかけられました。
　最近第二子を出産した恵美は、久しぶりの子育てに戸惑ったり男の子の重さに苦戦したりしながら、高校女子剣道部を描いた日常系４コマ、『こてめん！』の商業連載をするという目が回るようでした。
　赤ちゃんは可愛くてたまらないけど、子育てだけで一日が終わってしまうことには焦りもあって。
「確かに忙しいけど、同人誌とコスプレは私のアイデンティティだからね！」
　そう答える恵美は今回テーマがアヤカシという事でミャウミャウ白書の人気キャラ、クラニャのコスプレをしています。
　ニャンター×ニャンター等を描いている作者の連載２作目で、アニメ化もされたこの作品は、この度動画配信サイトで実写化も決まっていました。
「新刊もミャウミャウ白書本なんですね！」
　ちなみに一般向けなのでファンの子に見せても問題ありません。
「私の青春時代を彩った作品だからね。まさか今になって実写化されるとは思わなかったけど。でも若い子は知らないかな？」
　そういう恵美に、ファンの子達はにこやかに答えました。
「知ってますよ～。確かクラニャの中の人は人型決戦兵器のアレの主人公もやってますよね」
「そうなのよ～」
　自分の娘のような年頃のファンの子達との交流は、連載の活力にもつながります。
「そう言えば今日は娘さんは来てないんですか？」
　前回は娘と一緒に来ていたので、ファンにも覚えてもらえていたようです。
「受験だからさすがにね」
「それじゃ次回は女子大生として参加ですね。応援してます！」
「ありがとう。伝えておくわね」
　子育ても娘の手助けがなかったら、とても執筆との両立はできなかった、と恵美はしみじみ感謝しているのでした。

　ファンの子が去ると、新規のお客様がやってきました。
「コレ、クダサイ……」
　いやにリアルなお化けや妖怪の姿をした人達がぞくぞく現れます。
「最近技術が上がっているのかしら？　私も負けてられないわね！」
　子育てのグッズやおもちゃにしても１０年前とは様変わり、日進月歩を痛感している恵美。
　お客を見送りながら、それがコスプレでなく本物だとは夢にも思わないのでした。

　空いた時間で、気になる同人誌を買いに来たまゆらは、お化けや妖怪の列に息を呑んでいました。
（……なんか、作り物には見えないんだけど？）
　しかしサークル主が気にしていないなら、こちらがどうこう言うことでもないでしょう。
「ミャウミャウ白書本、一冊ください」
　実写化であっても、演技やコスプレの参考になりそうですし、研究を怠るまいとまゆらは思うのでした。
　もちろん、趣味としても読みたいのも正直なところです。