【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪｜リアクション

【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪

　月原想花は、冬のネコミケへ行きました。
　今回も好きなラノベ作家さんと絵師さんがやってるサークルが参加しているので、そこの同人誌を何冊か買おうと思ったのです。
　さっそく目当てのサークルにつくと、
「あっ、いつもありがとう。髪型変えたんだね」　
　作家さんは想花のことを覚えていてくれたようで、嬉しそうに声をかけてくれました。
「よく見たら君は結構綺麗めの顔立ちしてるんだね、コスプレしたら似合うんじゃない」
「……えっ？」
　思わぬ言葉に当惑し、恥ずかしくなった想花。
（ぼくは正直平凡極まりないと思うんだけど……）
　髪を切りに行く途中、たまたま級友の川上紗櫻都と会ったばかりに実家の星ヶ丘のヘアサロンに連れていかれ、柄にもなくクールなベリーショートにされてしまったのです。
　おかげでどこへ行くにも二度見されるようなありさまで、評判は上々なのにも関わらず想花はその魅力が実感できず、寒い上に落ち着かないのでした。
「ともかくもこれでミッションコンプリート。……でもこれだけじゃなんか寂しいかな」

　夏休みの時のバイト代はもう厳しいのですが適当に他のサークルやフリースペースを見て回ることにしました。
（本当に見て回るだけど、それでも雰囲気だけは満喫できるし）
　ふと前回のことを思い出します。
　神魂の暴走があったらしく、突然現れたゴブリンに押し倒された想花は、あわや同人誌さながらな目にあうところだったのでした。
「前回は結構ひどい目に遭ったけど、今回さすがに大丈夫、だよね？」
　周囲を見ると妖怪や幽霊のコスプレ（？）が多いのですが、敵意は感じず、皆ネコミケを楽しんでいる様子でした。
（よかった、どうやら何事もなさそうだ）

　胸を撫でおろした想花ですが、人波が途切れたところでふと気づきました。
「あれ、こんなところにブースがある」
　行ってみると、サークルの名前に見覚えがありました。
（あ、ここ最近見なくなった作家さんだ……懐かしいな）
「新刊ください」
「ありがとうございます。サインつけますよ」
「えっ、ありがとうございます」
　サインをもらい、満足した想花はネコミケを後にしました。

　後日。
「え？　うそ……」
　想花はネットで、あの作家さんの信じられない情報を目にしたのでした。
「半年前に亡くなってたの……？　だって、じゃあ、あの人は……」
　どことなく影の薄かった作者さんの姿を思い起こしながら、全身に鳥肌が立つのを感じていました。

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