【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪｜リアクション

【ネコミケ冬】ドキドキゾクゾク！つながれネコミケ♪

「すごい人ね……」
　初めてのネコミケにやってきた朝鳥さゆるは、人の多さに戸惑っていました。
　同行した恋人の姫木じゅんは慣れているようで、いつものゴスロリ姿であちこちのサークルの売り場に行ってはそこの売り子と話をしています。
　かなり濃厚な会話のようで、ついていけないさゆるが目を白黒させていると。
「その美人さん誰？　レイヤーさん？」
　と聞かれたじゅんがにんまりと、
「あたしのカノジョ」
　と答えて、
「えー！」
　とちょっとした騒ぎが起きました。
「えっ、アレのコスプレじゃないの？　アシンメトリー・ガールズ」
　耳慣れない単語も飛び交い、ますます戸惑うさゆる。
（恋人なのは事実だけど、こんなところで堂々と言われるのはちょっと恥ずかしいわ）
「アニメ化された百合漫画『アシンメトリー・ガールズ』っていうのがあってね。ちょうどキャラの服装があたしたちと一緒なのよ」
「ふうん……」
　普段通りのラフな服装で来たさゆるは、まさかそんなこととは知りませんでした。

　そんな話をしながら、じゅんは結構な数の「戦利品」をゲットしていました。
「どうやって持ち帰るの？」
　尋ねたさゆるにじゅんは、
「さすがに宅配便で送るわよ」
　と笑い、伝票を取り出し、発送手続きを始めました。
「それにしても、どうやってしまい込むの」
「トランクルームを別に借りているから大丈夫よ」
　一通り戦利品をゲットして満足したらしいじゅんは、
「そろそろ何か食べようか」
　と出店の方へ足を向けるのでした。

　途中、コスプレ広場へ差し掛かった時。
「あの、撮影させてもらえませんか？」
「えっ？」
　知らない人からの思いがけない求めに、さゆるは戸惑いましたが。
「いいわよ。綺麗に撮ってね」
　じゅんは何でもないように気安く受け、さゆるの手を取りました。
「ポーズはこんな感じ？」
　さゆるに抱き着いてくるじゅん。
「あまりに雰囲気がよく似ているので、リアルゆっきゅんとまみりんみたいです！」
　と騒ぎだすギャラリー。
「さゆるも手を回して」
「……こう？」
　よくわからないまま、それっぽく抱き合ったりして……
（何だかドキドキしてきた……）
　カメラのフラッシュとシャッター音を浴びながら、さゆるは今までにない不思議な気持ちになっていきました。