喫茶Rainyの危機～謎のスイーツ消失編～｜リアクション

喫茶Rainyの危機～謎のスイーツ消失編～

（「いつか一緒に来られたらいいな……一緒にティータイムを楽しんで、堂々と寄り添いながら街を歩いて、プラネタリウムとか映画館とか行くのも楽しそう」）
　甘やかな紅茶とお菓子が、柚春の恋い焦がれてやまない心を膨らませ、頭の中で夢や願望が膨らんでいく。
　あの人とは、まだ、気持ちを確かめあっただけ。
　そこから先へ進むには、柚春が“高校生を卒業しなければ”――もどかしい距離感だが、独り善がりな振る舞いは子供のすること。
　――本当に大切に想う相手なら、相手の立場、将来を考えることが“真の愛情”だろう。

　そして、十分に試作のお菓子を堪能し、5人は満足げな顔をみせる。
「では、審査員の皆様。厳正なる審査の結果をお聞かせください」
　仰々しく畏まってみせる甘慈への審査は、満場一致。

「ぜっっったいに売れます！　人手が足りなかったら手伝いに来ますんで！」
「見た目もキレーだった！　映えが好きなおねーさんたちにも人気が出るんじゃねーか？」
　前のめりになる少年2人に対して、紫と柚春はしっかり腰を据えてレビューする。
「看板メニューのコーヒーとの、相性を考えた甘さが魅力的だったわ。お茶請けに買って帰りたいくらい」
「紅茶でも美味しくいただけましたよ！　周りの人達にも教えたくなるくらい、温かい味がしました」

　太鼓判を押してもらえて、甘慈もようやく笑顔をみせた。
「冬の新メニュー誕生です！　情報屋の源さん、この特ダネを広めにゃなりませんね！」
　いつ店に出すかも解らぬというのに、頼子は店を飛びだしてしまった。
　明日から新メニューを求め、こぞってお客さんが訪れてきそうだ。
「相変わらずだねぇ、あの子は……でも、頼もしい“助っ人”をいつも連れてくる。君達も、僕のワガママに付き合ってくれて、本当にありがとう」

　――数日後。
　冬の新作が出たと聞いて、常連客も、ご新規さんも訪れてくる。
　甘慈を伝手に、ダンキングも知られるようになったことで、店では一時流行ったそうだ。

　Fin．

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あとがき

担当マスター：木乃
ファンレターはマスターページから！

　マスターの木乃です！　この度は当シナリオにご参加いただき、誠にありがとうございました。
　推理モノのシナリオは出題側も、意外と頭を悩ませることが多かったりします。
『ヒントに気付いてもらえるか？』『これは脱線させてしまう表現ではないか？』
『ヒントを出し過ぎて、かえって退屈させてしまわないか？』
　そんな心配も全て無用でした。
　名推理、名考察によって無事に解決できたと言えます。

　また、後編についてもご要望が多くて嬉しかったです。
　日常パートは『かえって何をすればいいか解らない！』とお悩みになる方も多いと感じます。
　当シナリオは前編に比重を置いていたこともあり、短くまとめざるを得なかったかと存じますが、
　お菓子や紅茶、コーヒーのそれぞれの楽しみ方があって、個性豊かな内容にできたかと！
　紅茶やコーヒーの抽出法も以前から興味があって、調べていたこともあり、自分も楽しく執筆させていただきました。

　このシナリオが皆様の新しい交流のきっかけ、キャラクターの新しい側面に繋がったら幸いです。
　それでは、また次回のシナリオでお会いしましょう！

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