寝子島駅から徒歩五分。
そこには、大正レトロな雰囲気の『喫茶Rainy』が居を構えている。
助けを求める声を察知して、
源 頼子が姿を現すと、店主である
飴村 甘慈からある告白を受けた。
「えぇーっ!?
お店を閉めるって、急すぎやしやせんか!?」
「やっぱりメニューに変わり映えがないのかねぇ……客足が伸びなくってさ。夏場だってのに、涼みに来る人も少ないのなんの」
そろそろ潮時かも、と考える飴村店主には後継者が居らず。
無理して商いを続けるよりは、店を畳んだほうが……店主の表情はますます曇っていく。
(「でも、甘慈さんの声がアタシに聞こえたってことは……お店を閉めたくないってのが本音のハズ!」)
――なにより
寝子島が寂れていくこと自体が、“寝子島の危機”でもある!!
壮大なイメージまで危機感を募らせた頼子としては、見過ごせる問題ではなかった。
「甘慈さん、ここはアタシに任せちゃくれませんか!」
バシッと胸を叩く頼子であるが、そこは小学四年生。
……大人が頼るには幼すぎた。
「頼子ちゃん、そう言ってくれるのは嬉しいけど」
「アタシが強力な助っ人を連れてきやす! ですから、閉めるのはちょいと待っちゃくれませんか? 甘慈さんの呼びたい世代のお客さんとか、イメージを教えてください!」
半信半疑な甘慈であるが……本当に呼んでくれるなら、悪い話でもない。
甘慈から情報を聞きだすと、頼子は助っ人探しに走りだした。
「――という訳で、
ナウなヤングにバカ受けなデザート作りのお手伝いをお願いしやす!」
頼子が声をかけたのは、三人の高校生。
呼びだされた者達は、頼子に連れられ、校舎が陰を落とす校舎裏に集まっていた。
「なんで俺が女子に混ざって……」
小柄な男子高校生――
折出 司は、嫌そうに顔をしかめた。
ただでさえ女子が苦手な司にしてみれば、この場に居ること自体、苦痛でしかなさそうだ。
が、頼子は気にせず。
「ニーズに応えるなら幅広いほうがいいですから!」
「ところで、飴村さんのご要望は?」
麗人の
白咲 菖蒲は、洗練された仕草で本題を促した。
「甘慈さんは
夏らしいデザートを考案中だそうです! ただ、
若者ウケを狙うには、アイデアが足りないと」
「で、俺らから意見が聞きたいってことか」
確かに、ターゲット層が異なれば、客受けしそうなデザートは変わってくる。
……お菓子作りを趣味とする司も納得できた。
「みどりん的には
スイーツのテーマとかほしーかも☆
かわいいとか、
涼しそうとかー☆」
八城 緑里の意見はごもっとも。
“夏らしい”だけでは、ちょっと曖昧かもしれない。
試作品をブラッシュアップすることで、作品は洗練されていくのだ!
「夏といえば、海、山、南国、花……確かに、これでは意見がまとまらないかも」
菖蒲も口元に手を置き、小さく唸り声をもらす。
相談が行き詰まり始めた頃に、司はポツリと呟いた。
「……だったら、
俺らで作ってみたらいいじゃん」
司の言葉に頼子はすぐに食いつき、
「ハッ! つまり、アタシらで
夏らしいデザートを考案するってことですね!?」
「あーもう近い近い近い! 離れろバカ!!」
押し退ける司と頼子のやりとりを見ながら、菖蒲と緑里も大きく頷く。
「百聞は一見にしかず、ですからね。イラストで渡しても、飴村さんなら上手く調整してくれそうですし」
「うきゃー☆ みどりんもスイーツのこと考えるのって、とってもはぴはぴしちゃう☆ 皆で作ってみよー☆」
緑里の掛け声に、頼子も拳を天に突き上げ、
「試作デザートなら、試食も必要ですよね! 甘慈さんならきっと
お店のキッチンも貸してくれると思いやす」
そうと決まれば善は急げ。――いざ喫茶Rainyへ!
木乃です! 寝子島タイムは夏真っ盛り!
という訳で、今回は旧市街にある喫茶店を助けにいきましょう!
●お助け概要
今回のテーマは『今どきの若者に受けそうなデザート』です。
ポイントは、
・夏らしさ
・若者ウケ
・デザート感
が重視されているようです。
(『若者ウケ』とありますが、動画サイトにあげるような、
派手さを重視して、食べられないモノにしてしまうと、
大幅な修正(マスタリング)の対象になるため、出番が減ってしまう可能性が極めて高いです!
食べ物は粗末にしないようお願いします☆)
●提案方法
提案の仕方は以下を想定しています。
1.実際に作ってみよう!
喫茶Rainyのキッチンを借りて、自分で作ったデザートを提案します。
一般的なスーパーや青果店で買える物を選んで、
実際に作ってみて、自分達で試食することになります。
2.イラストにしてみよう!
自分のイメージするデザートをイラストにして、甘慈に提案します。
この場合、すでにキッチンにある食材も使用できるので、
ちょっと珍しい食材も使えるかもしれません。>
甘慈がイラストを元に作った、試作デザートの試食もすることになります。
3.お店の雰囲気を感じて提案しよう!
喫茶Rainyは大正モダンな、落ち着いた雰囲気のレトロ喫茶です。
布フィルターを使うネルドリップのコーヒーと、飴村マスターのお手製オムライスが看板メニューです。
夏場はかき氷、クリームソーダ、バニラアイスのクリームあんみつを出しているようです。
既存のメニューに一手間加えるなど、新しい視点を提案して、それぞれ試食することになるでしょう。
●NPC
・飴村 甘慈(あめむら かんじ)
旧市街のレトロカフェ『喫茶Rainy』のマスター。50代一般人。
バリスタの資格を持つ、旧市街の隠れたコーヒー職人。
人の好い老紳士で、子供の悩みも真摯に聞いてくれるので、よく相談相手になっているようです。
・源 頼子(げん よりこ)
寝子小4年生で、自称・情報屋の源さん。実はもれいび。
『助けを求める声を察知できる』ろっこんの持ち主で、
今回も飴村マスターの声を察知しましたが、
一般の方々には『虫の知らせ』ということにしています。
以上です、それでは皆様のご参加をお待ちしております☆