怪事件勃発!?
寝子島駅から徒歩5分。旧市街の名物喫茶『喫茶Rainy』は本日、定休日。
大正レトロな雰囲気が地元民に愛され、最近はニャンスタグラムにアップされたスイーツを求めて若者もやってくるように。
初老の店主、飴村 甘慈も経営努力は怠らず、冬の新作デザート作りに励む。
「ブッシュドノエル、ジンジャーブレッド、お菓子の家……クリスマスカラーのマカロンもいいかもねぇ。ピスタチオとベリーのクリームを挟んで……」
慣れない手つきでスマホを弄りながら、情報収集するマスターは製菓材料を調理台に並べる。
一人で作るには効率も重要……オーブンに予熱をかけ、テンポ良く材料を混ぜては焼いていく。
マカロンに挟むクリームは、荒く潰したピスタチオと木苺の二色。粗熱をとったマカロンに挟み込む。
「ふぅ、試しにと思ったが……少し作り過ぎちゃったかな」
気合が入りすぎてか、作りすぎてしまった。またご近所さんに配ろうか考えていると、
「甘慈さん、居るー? 町内会のことでお話があるんだけどー!」
店先から呼ばれ、甘慈は「はいはい、ちょっと待ってね」と返しながらキッチンを離れる。
時間にして、10分足らず――だからこそ、戻ってきた甘慈は唖然とした。
「……お菓子が、ない!?」
――ただの一般人である甘慈には聞こえなかったのだろう。
「ふんふふ~ん♪ やっとお茶会ができるぞ~☆」
ねずみほど小さなドアノブを摘まむと、“誰か”は手の平に収まるほどに小さくなり、鼻歌交じりに扉を潜っていく。
「てな訳で、事件が起きちまってるんでさぁ! 協力しちゃあくれませんかね!?」
源 頼子が助けを求めたのは、同じくろっこんを身に宿すもれいび達だ。
月守 輝夜はまず、疑問に感じるだろう点を指摘する。
「普通、じゃないですよね……突然モノが消えるなんて有り得ませんから」
理由は、甘慈に聞き込みした状況が示している。
よって、
通常の出入り口から入ることは不可能な状況だ。
「……つまり、持っていった相手は”人間とは限らない”と」
仙藤 紫は呟く。
「あやかしなら、それぞれ特別な能力を持っているわよね。彼らの誰かなら……」
思案する紫は黙ってしまったが、
市橋 誉がふと「そういえば」と切りだす。
「甘慈さんの店、定休日なんだよな。頼子はなんで店に行こうとしてたんだ?」
誉の問いに、頼子は言いにくそうに「実は……」ともじもじする。
「困ってる人を助けるのがアタシの性分ですが……その、
甘慈さんの声じゃないんですよ」
「「!!?」」
つまり甘慈が助けを求める前に、頼子は『
第三者に助けを求められていた』ことになる。
紫の推測は、いよいよ信ぴょう性を帯びてきた。
しょんぼりしていた頼子だが、「でも、重要な情報はすでに掴んでやすよ!」と拳を握り。
「会話をしてた感じなので、きっと
2人組です! アタシはテレパシー会話もできやすが、一方的にお話を聞くこともできやして。それで、アタシの聞いた内容なんですが――」
『お茶を用意してくれたのに、僕はなにも用意してなかった~……せっかくプラムとお出かけできたのに!』
『うわぁ、人間ってこんなにお菓子を食べるの~? でも、これだけあれば! 大丈夫、忍び足なら得意だもんね~☆』
『た、沢山あるから、何度も往復しなきゃ……あっ、クッキーが割れちゃった……でも、プラムはきっと喜んでくれるぞ~!』
「ってな感じでさぁ。けっこう動き回ってた感じなんで、お店の中に色んな証拠が残ってるやもしれませんっ!
残った手がかりを集めていけば、持ち去った場所も解るかもしれやせんね。アタシは協力してくれる人をもっと集めてきやす!」
聞き込んだ情報もざっくり資料にまとめて、頼子はさらに協力者を探そうと奔走する。
謎のスイーツ消失事件――その真相や如何に!?
木乃です! らっかみタイムはウィンターシーズン。
そんな冬の一幕に事件の予感が?
※関連シナリオとして、前作のシナリオを表記させて頂いていますが、
NPCをご存じない方、前作に参加していない方でも大歓迎です!
シナリオ舞台が同じ場所、というイメージでお願いします。
【NPC】
・飴村 甘慈(あめむら かんじ)
旧市街のレトロカフェ『喫茶Rainy』のマスター。50代・一般人。
バリスタの資格を持つ、旧市街の隠れたコーヒー職人。
人の好い老紳士で、子供の悩みも真摯に聞いてくれるので、よく相談相手になっているようです。
・源 頼子(げん よりこ)
寝子小4年生で、自称・情報屋の源さん。実はもれいび。
『助けを求める声を察知できる』ろっこんの持ち主で、
一般人の方々には『虫の知らせ』ということにしています。
今回は飴村マスター以外の“誰か”に助けを求められたようですが……?
《こちらのシナリオは、シナリオ内で前後編に分けてお送りします》
どちらか前編のみ、後編のみ参加する形もOKです♪
第一幕:消えたスイーツの謎を追え!
▼事件の概要
10分ほど離れている間にお菓子が“消えた”。
使用していた道具もあり、オーブンも熱いままだが、状況的に盗めないと断言。
試食していないまままでは、お店に出せない。
見つからなければ店頭に出ることはないだろう
飴村マスターのコーヒー&ホットココアもついてきます♪
▼甘慈の証言
なので、誰かが店に入る方法はなかった。(ただし人間に限る)
あるいは、もっと前から店内に居た? ……誰も居なかったと思うけどねぇ。
製菓材料、調理器具は全て残っている。
【補足】飴村マスターは一般人につき、あやかしが入ってきた場合は姿が見えなかった可能性アリ。
▼頼子の証言
その念は『お菓子消失事件』の前に聞こえてきた。
テレパシーが途切れた後、甘慈のテレパシーが届くように。
謎の困り主の問題が解決したことで、甘慈にトラブルが発生したようだ。
タイミングからして、相手はまだ店内から出ていない。
もれいびなら、あやかしの声や痕跡が見えるかも?
第二幕:ちょっと早めのパーティーを★
お菓子を見つけられたら、甘慈は「試食会を行いたい」ようです。
シンプルにお菓子を楽しむもよし。感想を甘慈に伝えるもよし。
急造の試食会ではありますが、豪勢なおやつタイムとなるでしょう。
店内はテーブルや内装も樫製で、温かみのあるくつろぎ空間になっております。
喫茶Rainyの大正ロマン溢れるお店で、ゆっくりおくつろぎください。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております♪