喫茶Rainyの危機～謎のスイーツ消失編～｜リアクション

喫茶Rainyの危機～謎のスイーツ消失編～

　話題は頼子の聞いた手がかりへ。紫の所感は、
「犯人は“プラム”という相手に、お菓子をごちそうしたい――二人はどう思う？」
「同感。あやかし以外の、ほしびと、もれいびの可能性もあるけど……ま、特殊な力がある奴だよな」
　紫の推理に、ラッセルも賛同する。

　龍樹も、もれいびになってから、色んな異種族や異世界を知ってきた。
　そして、少年探偵が気になったのは、
「『クッキーが割れた』って言ってたんだろ？　じゃあ、お菓子のカケラとか落ちてねーかな」
「おお！？　なんだか急いでた雰囲気でしたし、有り得ますよ。少年探偵の名推理が光りやすね！」
　頼子は目から鱗が落ちていたが、同じように感じた紫は視線を鋭くさせる。
「持ち出せた以上、店外へ逃げる機会を探っている可能性もあるわ。早く見つけないと」
　となれば、実況見分は必須。――ラッセルは頼子に頼んで“一計”を試みる。

　頼子が厨房からの出入りを警戒している間に、ラッセルはカウンター内に隠れてろっこんを発動。
　――フクロウに変身し、頼子の肩へ飛び乗った直後。
　労いにきた甘慈が、ジュースを乗せたトレイを持ってくる。
「おや、その鳥は？」
「“フクロウ探偵”でさぁ！　頭が良くて目もいい。調査に役立つと思いましてお連れしやした！」
「うーん、次からは籠に入れようね。脱走したら飼い主さんが悲しむよ」
　そちらに気をとられたおかげか、ラッセルの不在には気付かなかったようだ。
　甘慈も厨房に戻り、店内に“変身したまま”滞在する名分はできた。本格的に調査を始めよう。

　手掛かりは頼子の聞いた念話のみ。
　甘慈に気取られないよう、龍樹も声を抑え、
「菓子を持ち出したのが厨房なら……あった！」
　推理通り、細かいクッキーの破片を見つけた。カケラは細道のように続いている。
　フクロウ姿のラッセルなら、視点が低いので、痕跡を追いやすい。
　ピョンと床に降りると、カケラを追ってトコトコ歩き。紫も隠れやすい場所がないか、丁寧に物陰を覗きこんでいく。
（「抜け穴を作れるなら、すぐに脱出するハズ。なら、目立たないところに隠れ場所を作ったんじゃ――」）
　すると、紫はラッセルと同じ場所に辿り着いた――電気式暖炉の側面だった。

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