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AFTER THE RAIN
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紺色の傘をひらき、七瀬は星ヶ丘に足を向けた。
雨粒は細かい。斜めに吹き付ける雨に、頭よりむしろトートバッグをかばうようにして歩く。バッグには途中まで読んだエッセイ集と、他に数冊の書籍を入れていた。雨でページが貼りつくのは避けたい。
晴耕雨読という言葉がある。七瀬の場合晴れでも雨でも読書するのが通常なのだけど、気分次第で読む場所を変えるのは好みとするところだ。たとえ雨の日であっても。
上り坂にさしかかると、周囲の様子は変わっていった。浮造(うづく)りのモルタル壁が目立ち、街灯にはランプシェードがついた。音もなく走る鮮紅色のスポーツカーが、冷たい飛沫を跳ね上げて横切る。雨水は煉瓦道の間隙をいきおいよく流れ、絹のようになめらかな小川となって七瀬と反対の方角へ滑り落ちていく。
瀟洒なヘアサロンを通り過ぎ、パリの街角にありそうなカフェを見つける。
テラス席は無人だ。窓から見える店内も、一組しか客の姿はなかった。
ここらでよかですかね。
ガラス戸を引くと、一組きりのカップル客が出て行くところだった。
「ひとり、いえ、あとで連れが来ますのでふたりです」
奥へ案内された。やはり他に客はないようだ。ゆったりした革張りのシートに腰をおろす。優雅な丸みをもつテーブルはアンティーク調、そういえば店内も琥珀色が多く、曲線がかった優美な調度で統一されている。アールヌーボー期のいちばんいいところ、世紀末ウィーンのカフェをモチーフにしているといった具合か。
ほっそりとした中年女性の店主が、手ずからメニューを持ってきた。
メニューは手書きだ。珈琲はサイフォン式、ケーキは手焼きらしい。
やっぱり、と七瀬は思った。
はじめて訪れた店、有閑マダムが趣味でやっているという雰囲気だ。こういう店は得てして採算度外視なので、飲み物もケーキもおいしいことが多い。当てずっぽうで入ったが、期待していいだろう。
なんとなく興がのってウィンナーコーヒーを頼んだ。
メールを打ち終わったころに運ばれてきた。円筒形で背の高いカップ、こんもりと贅沢にクリームが盛ってある。サービスでアプリコットサンドのクッキーつきだ。これでこの価格はお得だろう。
本来の楽しみ方とはちがうかもですが。
あえて混ぜずに飲むことにした。
まず唇にふれるのは、ひんやり冷たいクリームだ。カップを傾けると今度は、熱く濃い珈琲が口に入る。クリームの冷たさで中和され、いいバランスになるという寸法だった。
うん、いい感じ。
常連の古書喫茶の珈琲と比べると苦さが強め、舌に粒子がざらつく感じもある。でもウインナーコーヒーにはちょうどいい。アプリコットサンドが甘さ控えめなのもバランスを考慮してのことだろうか。
店内BGMも流れてはいるが音はごく少量、読書の邪魔にはならないだろう。エッセイ集のつづきを読んで時間をつぶした。
二十分も経ったころだろうか、
「待ったかい?」
ビニールの傘袋をガサガサと鳴らしつつ、ウォルター・Bがカフェに入ってきた。緑色のセーターに濃いネイビーのジャケット、ポケットから出ているチーフもあざやかな緑、セーターの下は開襟にしたワイシャツだ。ややもすると『休日着る服を持っていないサラリーマンの休日』という野暮ったいイメージになりそうなところだが、きちっとアイロンのきいたストレートパンツ、派手すぎず遊び心のある色の組み合わせもあって、くつろぎとよそ行きを兼ねたセミフォーマルの洒脱さに仕上がっていた。なお傘は、緑地のタータンチェック柄である。
「来てくれてありがとうございます」七瀬は立ち上がった。「急にお呼びだてしてしまって」
「いや、僕も暇だったから。ちょうどいいタイミングでメールが来たと思ったよ」
いつもはウォルターとの出逢いを偶然に期待する七瀬だったが、そうそう幸運がつづくものでもないだろう。それにこの雨だ。ウォルターも部屋にこもっていたとしてもおかしくはない。だから七瀬は彼にメールを送ったのである。
『喫茶店にいるので、会ってお話できませんか?』
シンプルで要点ずばりのメッセージ、店の位置情報も添付した。まもなく彼から『近くだね。すぐ行くよ』と返事が来て、言葉にたがわずウォルターは、魔法のように姿を見せたのである。
「でもこんな雨です。もしかしてメアリさん、いい顔しなかったんじゃ」
ブラックウッド家の老メイド、メアリのことにも言及する。
「それなら問題ないよ」
ウォルターは七瀬に着席をうながして自分も座った。
「メアリはむしろ喜んでる。掃除の最中だったから、僕を追い出す口実ができたってわけさ」
それに、とウォルターはいたずらっぽい笑みを見せたのである。
「ほかならぬ倉前のお誘いだもの。断れるはずないじゃないか」
「え、あの、それって……」
「ジョークは言わないよ、雨の日はね」
さらりと解釈に困ることを言い、ウォルターは手書きのメニューをめくるのである。
「へえ、この店のキーマカレー、黒ビールで肉と野菜を煮込んで作ってるのかぁ。面白そうだ。頼んでいいかな? ランチがまだなんでねぇ」
「ウォルターさん、さっき言ったこと」
「黒ビールで煮込んでるって話?」
「そうじゃなくて、『雨の日はジョークを言わない』って、ウォルターさんのルールなんですか」
「ああそれか。いま作った」
ウォルターの口調たるや、外の天気とは正反対さのあっさり具合だ。
「いまですか?」
「ダメかい? 気に入ったんでしばらくこのルール徹底しようかな」
やはり天才肌というか、突拍子もないことを思いつく彼なのである。からからと笑って言う。
「倉前も昼、まだだったら試そうよ、キーマカレー。大丈夫、払いは僕がもつからさぁ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月28日
参加申し込みの期限
2023年08月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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