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AFTER THE RAIN
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さゆるとじゅんは、床が濡れるまで愛を交わした。
そのままベッドに移動し、もつれあい、さらに何度かの絶頂を迎えた。
脳が痺れたような感覚だ。呼吸を整えると微睡につつまれる。さゆるは一糸まとわぬ姿で、ベッドに横たわっている。
ライターの灯る音がした。つづいてメンソールの香と、じゅんのささやくような声。
「さゆる。人が死ぬのを見届けるのって、どんな感じ?」
涸れ井戸の底から響いてくるような声色だった。さゆるは思わず身を起こした。
「じゅん、どういうこと?」直感を口走る。「まさか……まさか……あの女を……」
これには逆にじゅんのほうが驚いたようだ。じゅんは上着だけ羽織っているが、あとはさゆるとおなじ状態だ。ベッドの上にあぐらをかいている。
「ちがうよ、大丈夫。あいつはあれ以来一度も見かけてない。見かけてもそんなことしないよ。まあ、そんな気になったこともないとは言わないけどね」
くわえた煙草の先端がチリチリと音を立てた。じゅんはゆっくりと煙を吐き出す。
「そもそもあいつとは、カラダの関係抜きで一度ちゃんと話してみたい、って思ってるし」
そうじゃなくてさ、とじゅんは言った。
「あたしの同僚にちょっと変わった子がいてね……」
最悪の展開ではなかったようだ。ほっと息をつくとさゆるはたずねる。
「同僚って、店の?」
「うん、おかしな子。自分のことを戦国時代からタイムスリップしてきた姫君だって言い張ってる。どうも本気で思ってるらしい。だから源氏名も『
九鬼姫
(くきひめ)』ってわけ。本人によれば正式名称らしいけどね。まるっきりアニメじゃない? でも九鬼によれば本当のことさって。だからかずーっとお姫様口調なの、いわゆる『のじゃっ子』」
「のじゃっ子?」
「あー、ほらアニメとか漫画に出てくるでしょ? 『~なのじゃ』『近(ちこ)うよれ』とか、歴史ドラマみたいな口調で話す女の子。あれよ」
「なるほど、なんとなくわかった」
じゅんに付き合ってアニメを視聴する機会が増えているので、フィーリングはさゆるにも理解できた。
「あたしみたくキャバ嬢としてのキャラ作りでやってんじゃなくて、九鬼はプライベートでもずっとこの口調を崩さない。一貫してるよね」
ふふっとじゅんは笑った。
「態度も横柄でさ、客に『グラスを交換するのじゃ』とか命令すんのよ。信じられる? 前髪ぱっつんの姫カットで見た目ロリ系であたしとキャラかぶってるとこあるけど、方向性がちがうから棲み分けはできてる」
九鬼姫には
八幡 かなえ
という戸籍上の本名があるが、本人によれば『世を忍ぶ仮の名前』だそうだ。
「もしかして、じゅんが店で、たまに漫画を貸したりする子って」
「そう、九鬼姫のこと。九鬼はさ、『けものホスピタル』が好きなんだって」
意外な方向に話が転がってきたので、さゆるはベッドに座り直した。
九鬼姫はある日突然、店長が「今日は新人を紹介します」と連れてきた。どこから来たのか、それまで何をしていたのかはほとんどわかっていない。いや、わかってはいる。ただしそれは本人が語った『さる名家の姫君でのう。輿入れの途中、わらわの駕籠に落雷があってのう』と転生系ライトノベルのような話に終始しており。とてもではないが本当のできごととは思えない。
じゅんはしばらく九鬼姫の話をつづけた。同じ客についたテーブルで、『けもホス』のキャラ解釈について客そっちのけで論争したこと、九鬼姫が誘拐騒ぎに巻き込まれ一時期騒然となったこと、視力が落ちた九鬼姫のため、キャバ嬢集団と関係者、さらには有名弁護士の文梨みちるとで眼鏡店を占拠したこと、沖縄旅行の思い出――酌めども尽きぬエピソードの数々を。
じゅんが店のことを話すことはあまりない。それも、楽しそうに話すのは特に。たまに話してもたいてい、不快な客にあたったとか、連勤がだるいといったとか愚痴だったから。だからさゆるは邪魔をせず、たまに合いの手を入れるだけで主として耳をかたむけた。
だがじゅんの口調は一変した。次の一言がきっかけだった。
「その九鬼が、昨日の晩から意識が戻らないって」
九鬼姫は悪政脳腫瘍で余命幾許(いくばく)もなく、ずっと入院しているとじゅんは明かした。
「ちょっと前までは元気だったんだ。ハロウィンあたりまではあたしより元気なくらい。なのにみるみる容態が悪くなってとうとう……。そんなことある? あっていいの?」
じゅんは目頭を押さえる。さゆるは腕を伸ばしてじゅんの肩を抱いた。
「今日あたしたち、仕事中に交代で抜けて見舞いに行った。……もう、死んだみたいに九鬼、横たわってて。点滴とかつけられてるけど、腕なんかガリガリに痩せちゃって……」
見舞いに行って現実を思い知らされたこと、どうしてもその現実を受け入れられないことを語るうち、じゅんは嗚咽をはじめていた。
さゆるはじゅんを抱き寄せた。
ぬるい涙の雫が、さゆるの胸を濡らす。
こういうとき、あたしには気の利いた言葉が出てこない。
じゅんの髪に顔をうずめ、さゆるは思う。
損得を抜きにした交流って、これまで持ってこなかったから。
でもじゅん、あなたと愛し合うようになってあたしは変わった。
気が利いているかはわからない。けれど、素直に感じたことをさゆるは口にした。
「九鬼姫さんって幸せな人なのね。だって、自分のためにこんなにも想ってくれて、泣いてくれる人がいるのだから」
強くじゅんを抱きしめる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月28日
参加申し込みの期限
2023年08月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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