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AFTER THE RAIN
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しかし花音の決意は杞憂に終わった。
「わたしはヘテロセクシュアルです。要は恋愛対象は男性、ってこと。でもね、わたしがうらやましいと思ったのは、彼女たちが自分の気持ちを堂々と世間に公表したところなんですよ。なんていうか私、内にためこむところがあるから……」
あっ、と声をあげて彼女は口に手を当てた。
「ごめんなさい、お花屋さんにこんな話、急にしてしまって。……あはは、忘れてくれていいですから。お花屋さんって話しやすいからつい」
「いや、いいんスよ。俺でよければなんだって話してくださいっス」
ほっとしたと同時に花音は、にやつきそうになる頬を懸命にこらえている。
お花屋さんって話しやすいから――。
話しやすいから。
話しやすいから。
何回だってリフレインしたい。値千金の一言ではなかろうか。
よかった。俺、怖がられてるわけじゃねぇんだ。
思えば、彼女の前では奇態な姿ばかりさらしてきたような気がしてならない。
雑貨店での会話をふくらませることができず、思い悩んだあまり内心の思いを唐突な独り言として口走ったことがある。
狂おしいほどのボディッタッチ欲に襲われ、悪いと知りつつ衝動的に彼女を抱きすくめたこともある。
謎の狭い箱に閉じこめられ、『お互いチューして下さい』なる難題をつきつけられたことすらあるのだ。
だけど彼女は全部認めてくれた。
前後の脈略もなく
「俺はお茶に誘いたいッスね」
と口にしたときはカフェに付き合ってくれた。
抱きついても受け入れてくれたし、そればかりかおまじないまで唱えて、花音の衝動を取り去ってくれた。
箱に詰められたときだって彼女は迷うことなく花音の頬に口づけ、「別に嫌じゃないですから」とにっこり笑って、頬へのキス返しを許してくれたではないか。
ぜんぶ彼女は嫌々だったけど、菩薩みたいに心が広くて、許してくれただけかと思ったこともある。
でもちがった。
恋愛感情ではないかもしれないけど、少なくとも彼女は、俺に対して好意的なんだ!
……満足だ。
頭がぼーっとする。
たとえここで突風が吹いて傘が吹っ飛んで、ヒット&ランならぬ狼&ランの結末となり、例によってまた名前を聞けないまま終わりであろうと俺は、今日という日を忘れないだろう。
だけど、欲張ったっていいはずだ。
花音は気合いを入れる。怒っているわけではないが目に力が入り、三白眼がさらに一段階進んだ。
いるのか知らないけど神様、ここで局地性風速四十メートルの疾風出現なんて意地悪しないであとひとつ、あとひとつだけ実現させてくれ。
せっかくふたりきりの空間だ。す、少しは仲良くしてもらってるとわかったんだ。そのはずだ。だから……だから少し踏みこんだ話ぐらいしてもいいだろう。っつか、してえ!
聞くんだ。彼女の名前を。
聞くか。聞いてしまうか。もちろんやめたっていいが……ええい弱気になるな、俺ッ!?
どうするッ!?
激しい葛藤に花音は唇を噛む。歯がきしむほどに。血がにじむほどに。
オーラが目に見えるものならば、きっと傘の内側は、青い炎の色になっていたことだろう。
ところがシュッと炎が消えた。彼女が言ったのだ。
「なんだって、ですか?」
「えっ?」
「ほらお花屋さん、さっき、『なんだって話して』って言ってくれましたよね?」
「は、はい、そうでしたっス」
「じゃあ、話しちゃっていいですよね」
照れくさげに彼女は言った。
「わたし、
暁月 静
(あかづき しずか)って言います。『払暁』って書くときの『暁』にmoonの月で『あかつき』、静は『静御前』の『しずか』です。名乗ってなかったですよね? いやぁ、こんなにたびたび会ってるのに、なんでわたし気づかなかったんだろ」
静(そう、『静』だ。もう『彼女』ではない!)は頭をかいた。
「よくお花屋で会いますし、チョコレート作り体験もつきあってもらったり、あの謎の箱部屋のこともあったりしたのに。やっぱわたし天然ですね。よく言われるんですよ。あっ、養殖と比較しての天然って意味じゃなくてですね、これは天然ボケという意味で……」
まさしく天然なコメントをつづける静である。このとき花音は稲妻に打たれたような気持ちになっている。
聞く前に、教えてもらった……!
その場にへたり込みそうになる。もちろんそんなことを膝に許せば即狼化だ。唇にまわしていた力を全部膝に持っていった。おかげで口は半開きになってしまったのだが花音自身は気づいていない。
これを見てどう誤解したのか、静は眉を下げて苦笑いした。
「あっ、もしかしてわたし、もうずっと前に名乗ってましたっけ? わたしがお花屋さんの名前知らないだけでしたか?」
「いえ! はじめてうかがったっス! いい名前だと思うっス! 本気で!」
静、静静静静静、暁月静。覚えた。暁月静という名を。
家に帰ったら何回も字の練習をしよう。メモ帳にも手帳にも、百回だって千回だって書こう。なんならこの美しい名前を美しく書くためだけの目的で、九十年の歴史があるペン習字に入会してもいいとすら花音は思った。
それで、と静は言ったのである。
「お花屋さん、あなたのお名前は?」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月28日
参加申し込みの期限
2023年08月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年08月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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