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【失墜】
「あ、あれ? もう語ったよね? なんで止まらないの?」
空は赤くぎらついてロベルトの瞳を刺し、エレベーターの軋みはあえぐように増した。
止まらない。上昇してゆく。
「どうしてさ!? もう全部言ったよ! 心からの言葉だよ、隠す必要なんてないし! なんで止まらないの!?」
「そりゃ、お前。足りてねぇんだろ?」
あっけらかんとして、智也もどきはつまらなさそうに言った。
包み隠さず述べたつもりだが、条件を満たしたとはみなされていないようだ。
「お前は自分で思ってるより、見栄っ張りなんだよ。まだ繕ってるんだ、自分を。善良ぶってるのさ。普通じゃねぇ変態野郎のくせにな」
「なんだよ、全部言ったって! これ以上なにを言えってのさ!?」
「俺が知るかよ」
足もとの揺らぎが大きくなってゆく。赤光が目に痛い。ロープの悲鳴はもはや金切り声だ。
どうやら、終着点が近いようだ。
「死にたくない。死にたくない、死にたくない……」
「そら、もう少しだ。もう少しであれが切れる。切れりゃ……分かるよな?」
「な、何かないか。言ってないこと。まだ言ってないこと、心からの……」
そう繕ってもいないと自分では思う。親友と言いながら彼を疎ましく感じたのも確かだし、思いのほか完璧ではなかった彼を見限るか、それともろっこんを駆使して理想の美少年を体現させ続けるか。さもなくば、欲望のまま……あれこれと葛藤が巡ったのも本当のことだ。
しかしそれでいて、彼を親友と呼んだことも嘘ではない。疎遠となった時期もあったが、今では仲直りして元どおりだ。
ただまあ、ロベルトの趣味嗜好についてしつこく意見されるのは鼻持ちならない。本当に面倒だし不愉快だ。あれはやめてほしいなと思う。
「ああ。そうか!」
はっとして、ロベルトは顔を上げた。偽智也が怪訝そうに片目を細めている。
まだ口にしていない言葉があったではないか。そうだそうだ、こう言えば良かったのだ。それで全てに蹴りがつくのだ。心から言えば良かったのだ。
「……死ねばいいのに」
「はあ?」
ちりん、と間抜けたベルの音とともに、エレベーターは天上への運搬を止めた。
「ロベルト、お前……」
「や、やった! 止まったー!」
扉が開く。赤い輝きはいつの間にか失せていた。
「はー、助かった。まったくもう、冗談じゃないよ。なんで僕がこんな目に……ぶつぶつぶつ」
「おい……ロベルト。おい」
もはや用はないとばかり、ロベルトはエレベーターを出ると、寝子島の雑踏へ足早に消えていった。
ベルが間抜けな声を上げ、扉は閉じた。
「あの野郎。せめて振り返れよなぁ」
苦笑いにため息ひとつ。
「ひでぇよな。俺は親友だと思ってたんだぜ? なぁ、ロベルト」
ぴんと張りつめたロープは上昇に耐えかねカゴの自重をもって切断し、階下の虚空へと滑り落ちていった。
夜のさなかに、はだけた胸の上を這いずる軟体生物のようなあの感触。いまだ失せることはない。
「お前にとっちゃ、過去の失恋か? 勘違いしやがって……俺にはそうじゃねぇんだよ!」
熱を帯びていた。どす黒く禍々しい熱だ。ロベルトの指を唇を舌を動かしていたのは、彼の根本を成す、溶け落ちるような熱量だった。智也はその熱に肌を焼かれたのだ。
あえて禍々しきと智也は断ずる。同性愛嗜好こそが悪だなどと時代錯誤を言うつもりはない。ロベルトという個人の湛える不純を指しているだけだ。
事実あの夜に、智也の意思は反映されていなかった。
「眠れねぇんだよ。いまだに……眠ろうとするとな、思い出すんだ。お前の指が、舌が身体の上を這っているような気がして……」
「へーぇ? それは難儀だねぇ」
ロベルトの姿をして嘲るような彼を、壁で潰さんばかりに押し付ける。
「それだけじゃねぇ、誰かに触れられるたび、フラッシュバックするんだよ! お前のせいだ!」
意に介さず、ロベルトは涼しい顔で見上げるばかりだ。
智也は背を向け、肩を震わせた。もどかしく、苦々しく、やけに喉が渇いた。
「……なぁ、ロベルト。お前、病院でもなんでも行けよ。いや俺が付き添ったっていい。ちゃんと治せ。そうすりゃ元どおりだ、なにもかも。俺だって眠れるようになる。なあ、そうだろ?」
「はー? なに言ってるのさ。病院行くのはお前だろ、千種」
「ああ……?」
「心に傷、負っちゃったんでしょ? ボクちゃん可愛すぎて襲われちゃった、恥ずかし~い。もう夜も眠れな~いってね。まっ、加害者の僕が言うのもなんだけど、カウンセリングでも受けたら?」
「分かったよ。お前怖いんだろ? 医者にカミングアウトするのが。大丈夫だよ、怖いことなんてねぇって。な、いっしょに行こうな」
「だから病気じゃないっての。分からないやつだなぁ千種は」
震えは大きくなるエレベーターの揺れがためではないと、智也はようやくにして気づいた。
「いいから……行けよ。治せよ。そうすりゃまた、お前と……昔、みたいに……」
「しつこいなぁ。やっぱり馬鹿だろお前、これが僕なんだよ。治療だって? 精神疾患がなんだって? 思い込みで僕に勝手なレッテルを張るなよな。医者が必要なのはお前だよ。千種」
ひときわに揺れた。張力の限界を迎えつつあるロープがカゴを揺さぶったわけではない。
紫の髪を振り乱し、抵抗する彼を引き倒し馬乗りとなった智也の両手は細い首に絡まり、締め上げていた。気道がふさがり頬を紅潮させ、ロベルトは陸へ引き上げられたイルカのようにあえぐ。
「俺は違う。俺は違う、俺は普通だ俺は違う。俺は普通だ。俺はお前とは違う、俺は普通だ普通だ普通だ違う、俺はお前とは……違う!!」
「あ~あ」
目は赤く血走り、血を吐いた。そうして智也を見上げ、口元をねじ上げながら、
「時間切れ」
ぶつん。
「あ」
時が己を刻むのをやめたかのように、智也を取り巻くすべてがスローモーションとなり、
「ああ」
鉄格子の壁はレールを擦り上げ、断末魔のごとく軋みを叫び、歪みながら、
「ああ……」
赤子のように呆けた智也を乗せどこまでも、どこまでも落ちていった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年07月14日
参加申し込みの期限
2023年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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