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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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君と繋がる縁を紡いで
――いざ、出雲大社へ！
そんな気軽さで参拝をさせてくれなさそうな気がするのは、神々が集まると言われる大社だからだろうか。
ちょっと調べただけでも、二礼四拍手一礼という手順の違いや、まずは西方にある稲佐の浜に寄らねばならないだとか、気になることが山のように出てくる。
「鳥居は４つくぐって……あれ、そしたら浜辺にはどうやって行こう」
ちょうど、今居る駐車場の近くに祓社があるようだ。ここで日頃の穢れを清めてから浜辺へ向かえば、そう失礼でもないだろう。一の鳥居を先にくぐるか後にくぐるかは悩み所だが、鳥居をくぐるごとに神様へ近づくことと、浜辺と大社を結ぶ道が神迎の道と呼ばれていることから、やっぱり先にくぐっておくべきかもしれない。
「ひとつやふたつ手順を間違えたって、聞いてくれるんじゃない？」
緊張からか、柚春がぎゅうぎゅうと力強く手を握ってくるので、ウォルターはあやすように指先でその手を叩いてみる。どうしたって手順があるものは誤ってしまうと効果が薄れるのではと思うのだろう。
「ひとつやふたつで済んでいたらいいけど」
参拝にはフォーマルな服装が良いともされる。柚春であれば寝子高の制服だが、さすがにそれはウォルターと歩くのに向いていないと思い、ラフすぎない服装を選んだ。これはちょっぴり、大人な彼とのデート服として選んだ所もあるが、おかしくはないはず。
お賽銭も、二重や始終のご縁を願うという意味で25円や45円が良い……なんて言われているが、あれは語呂合わせで面白おかしく言い始めたのが広がっただけらしい。目安が無くなってしまったことは心許ないが、手順がひとつなくなったと思えばホッとする。
「そんなに心の狭い神様じゃないでしょ」
さも当たり前のようにウォルターが笑うから、柚春は少し困ったような顔をして「そうかも」とゆるゆる破顔した。
何よりも重要なのは、真摯な気持ちで祈り、それを忘れず日々を生きること。
それができれば、聞き届けてくれるはずだと信じて。
出雲大社より西へ徒歩20分、日本の渚百選である稲佐の浜へとやってきた。
神在月には全国の神様をお迎えする、言わば玄関の役割を担う浜。神話の舞台としても有名な場所だ。
寝子島が面している海とは趣が違って見えるのは、その神々しさからだろうか。それとも、吹きすさぶ日本海からの風が強いからだろうか。
「寒くない？」
観光もそこそこに引き返してしまいそうになる中で、柚春は弁天島の小さな祠に向けて祈りを捧げていた。
海を司る豊玉毘古命にご挨拶をして、ようやく本来の目的に取りかかることができる。
「さあワット、砂を取るよ！」
そんなに沢山の砂を掬うわけでもない。けれど素手で触れれば冷たい水でその手を洗わなければならない。
ただでさえ手水だなんだとお清めで水に触れるのだって寒いのに、意気揚々と砂遊びが出来るものか。
「僕はここで見てるから」
「だめ。あとでこの砂を奉納して、お守りになる砂をもらうんだから」
持ち歩いてもいいし、庭や畑に撒いてもいい。そんな清めの砂がウォルターを、ひいてはブラックウッド家を守ってくれるのなら、やらないという選択肢はない。
そんな柚春の押しに負けて、観念したように浜の砂を掬うウォルターは独りごちる。
「こうやって尻に敷かれていくのかねぇ」
「なに……わっ！」
転びそうになった柚春を、すんでのところで抱き止める。
そんなことぐらいでは照れるような齢でもないはずなのに、意表を突かれたからか昂揚してしまった。彼女から漂う香りが好きな物だったからだろうか。それとも、その香りを纏うのが好きな者であったからだろうか。
何にせよ、真っ昼間の身を隠すところも無い観光名所で長々と抱き合っているわけにもいくまい。
「ごめんなさい、砂に足でも取られたかな」
体勢を崩すほどの勢いで振り返ったつもりもないのに。不思議そうな顔をする柚春の背後で、スッと何かが煌めいた気がした。そういう影を、ウォルターは何度となく見てきた気がする。
「……何か落としたりしてない？」
言われて柚春が鞄を改めると、ворが今にも鞄から落ちそうな所に引っかかっていた。浜についてすぐ弁天島との写真は撮ったけれど、きちんと鞄の奥にしまったはずなのに。砂を入れる袋を取り出した際に引っかけたのだろうか。
「こんな所で落としちゃったら大変だったよ、ありがとう。それで、さっきはなんて言ったの？」
「ん～？ なんだったっけ、今ので忘れちゃった」
ハイスペックだなんだと言われたって、結局惚れた女には甘いと言うこと。
それはもう少し――彼女が大人になるまでは秘密にしておこうかと、ウォルターは苦笑した。
そんな気軽さで参拝をさせてくれなさそうな気がするのは、神々が集まると言われる大社だからだろうか。
ちょっと調べただけでも、二礼四拍手一礼という手順の違いや、まずは西方にある稲佐の浜に寄らねばならないだとか、気になることが山のように出てくる。
「鳥居は４つくぐって……あれ、そしたら浜辺にはどうやって行こう」
ちょうど、今居る駐車場の近くに祓社があるようだ。ここで日頃の穢れを清めてから浜辺へ向かえば、そう失礼でもないだろう。一の鳥居を先にくぐるか後にくぐるかは悩み所だが、鳥居をくぐるごとに神様へ近づくことと、浜辺と大社を結ぶ道が神迎の道と呼ばれていることから、やっぱり先にくぐっておくべきかもしれない。
「ひとつやふたつ手順を間違えたって、聞いてくれるんじゃない？」
緊張からか、柚春がぎゅうぎゅうと力強く手を握ってくるので、ウォルターはあやすように指先でその手を叩いてみる。どうしたって手順があるものは誤ってしまうと効果が薄れるのではと思うのだろう。
「ひとつやふたつで済んでいたらいいけど」
参拝にはフォーマルな服装が良いともされる。柚春であれば寝子高の制服だが、さすがにそれはウォルターと歩くのに向いていないと思い、ラフすぎない服装を選んだ。これはちょっぴり、大人な彼とのデート服として選んだ所もあるが、おかしくはないはず。
お賽銭も、二重や始終のご縁を願うという意味で25円や45円が良い……なんて言われているが、あれは語呂合わせで面白おかしく言い始めたのが広がっただけらしい。目安が無くなってしまったことは心許ないが、手順がひとつなくなったと思えばホッとする。
「そんなに心の狭い神様じゃないでしょ」
さも当たり前のようにウォルターが笑うから、柚春は少し困ったような顔をして「そうかも」とゆるゆる破顔した。
何よりも重要なのは、真摯な気持ちで祈り、それを忘れず日々を生きること。
それができれば、聞き届けてくれるはずだと信じて。
出雲大社より西へ徒歩20分、日本の渚百選である稲佐の浜へとやってきた。
神在月には全国の神様をお迎えする、言わば玄関の役割を担う浜。神話の舞台としても有名な場所だ。
寝子島が面している海とは趣が違って見えるのは、その神々しさからだろうか。それとも、吹きすさぶ日本海からの風が強いからだろうか。
「寒くない？」
観光もそこそこに引き返してしまいそうになる中で、柚春は弁天島の小さな祠に向けて祈りを捧げていた。
海を司る豊玉毘古命にご挨拶をして、ようやく本来の目的に取りかかることができる。
「さあワット、砂を取るよ！」
そんなに沢山の砂を掬うわけでもない。けれど素手で触れれば冷たい水でその手を洗わなければならない。
ただでさえ手水だなんだとお清めで水に触れるのだって寒いのに、意気揚々と砂遊びが出来るものか。
「僕はここで見てるから」
「だめ。あとでこの砂を奉納して、お守りになる砂をもらうんだから」
持ち歩いてもいいし、庭や畑に撒いてもいい。そんな清めの砂がウォルターを、ひいてはブラックウッド家を守ってくれるのなら、やらないという選択肢はない。
そんな柚春の押しに負けて、観念したように浜の砂を掬うウォルターは独りごちる。
「こうやって尻に敷かれていくのかねぇ」
「なに……わっ！」
転びそうになった柚春を、すんでのところで抱き止める。
そんなことぐらいでは照れるような齢でもないはずなのに、意表を突かれたからか昂揚してしまった。彼女から漂う香りが好きな物だったからだろうか。それとも、その香りを纏うのが好きな者であったからだろうか。
何にせよ、真っ昼間の身を隠すところも無い観光名所で長々と抱き合っているわけにもいくまい。
「ごめんなさい、砂に足でも取られたかな」
体勢を崩すほどの勢いで振り返ったつもりもないのに。不思議そうな顔をする柚春の背後で、スッと何かが煌めいた気がした。そういう影を、ウォルターは何度となく見てきた気がする。
「……何か落としたりしてない？」
言われて柚春が鞄を改めると、ворが今にも鞄から落ちそうな所に引っかかっていた。浜についてすぐ弁天島との写真は撮ったけれど、きちんと鞄の奥にしまったはずなのに。砂を入れる袋を取り出した際に引っかけたのだろうか。
「こんな所で落としちゃったら大変だったよ、ありがとう。それで、さっきはなんて言ったの？」
「ん～？ なんだったっけ、今ので忘れちゃった」
ハイスペックだなんだと言われたって、結局惚れた女には甘いと言うこと。
それはもう少し――彼女が大人になるまでは秘密にしておこうかと、ウォルターは苦笑した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年08月28日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年09月04日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年09月04日 11時00分
