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LIQUID -Star Chronicle- 月の民編
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【ストーリークエスト『月の民』(2)】
「お前さんは、武鳥 帯名(たけとりのおびな)だね。センチャ村および周辺一帯を領有する豪族の長だ」
「いかにも。もっとも、名乗るつもりもなかったが……おのれらはここで死ぬ、我が名を伝えることに何ら意味があろうか」
挑むようなマオメイの瞳を意にも介さぬように、大仰な髭を伸ばしたサムライがあごをしゃくると、取り囲む部下どもが冒険者へ切っ先を突きつける。兜の奥、そこにぎらつく瞳はいずれもが、白く輝いていた。
気合とともに斬り込むサムライとケイの一合の斬り結びを合図に、乱戦へと突入する。
「殺すのだ。一人とて逃してはならぬ」
「ぎゃああ、来た来た!」
「マオメイさん……僕のうしろに!」
カーサがマオメイを背にかばい、猫型の双銃を掃射しサムライの進行を遅滞させる。おはぎたちがマオメイを守るようにその肩へ飛び乗った。彼らに戦闘力はないが、いざという時に逃走をアシストする程度の能力は持ち合わせている。
「マオメイさんを、守ってね……!」
カーサは巧みだ。無謀な突撃、と装いトラップを設置しすぐに下がる。前線を構築して前衛を援護しつつ、隙を見せればヘッドショットで仕留めた。
(……月の水。月の民……)
決戦
の日の記憶は未だ褪せない。決着を経ての幸福は長く続いた。忘れ得ない日々。
その反動か、滴との別れが重く、苦く、その胸にわだかまる。ちくりとしたトゲが心の奥底、埋没しているように思えてならない。
(いや……今は、楽しもう)
頭を振るい、ネガティブを追い払う。VR世界の広がりが、その傷をいくらか癒してくれるだろうか、と期待して。
「うわ……!」
「ケイさん!」
前衛役を務めるケイとアオイは前後に分かれて敵を押し留めているが、状況は芳しくない。ケイが斬撃を受けよろめくと、アヤカは眉をつり上げて叫ぶ。
「ケイさんにケガをさせるなんて、許せません!」
杖の先の猫目石が輝く。複数のフレアピラーを同時に噴出させ、左右からの挟撃を阻む。
「あれ。思ったよりダメージが大きくないぞ」
ケイは健在で、アヤカはほっと息をついた。
「そうか、<Pプロテクト>の効果だね。アヤカ、代わりに君がダメージを」
「私は大丈夫です。ケイさんが無事なら……!」
攻撃を受けにくい後衛がダメージを肩代わりすれば、前衛が粘り強く戦える……というのが道理だが、アヤカにとっては二の次。彼が被る打撃を限りなく抑えることが第一だ。
「あのボスをやっつければ、なんとかなるかな。もう少し踏ん張ろう」
「はいっ、頑張りましょう!」
「ああ、一緒にね!」
アヤカの強力な援護を盾に、ケイが斬り進む。
サムライたちの猛攻は着実に冒険者らへも傷を積み重ねているが、しかし敵の数もまた徐々に削られつつある。
「お……帯名どの! 聞きたいことがあるのだがね!?」
剣戟の激しさにびくつきながら、マオメイが声を上げた。
「彼ら冒険者たちの報告に、私がこれまで調べ上げてきた遺跡の数々から得られた知見……それらから、私はひとつの結論を導き出しつつあるのだよ」
「わしに、答える義理があると思うのか?」
「ああ、まあいいさ。私は勝手に推理を述べるだけだよ。あとはあんたの顔色でもうかがいながら判断しようかね」
彼女が仰ぎ見るのは、並ぶ月の大杯だ。
「わが友ハルコンの報せによれば、各所で月の水が吸い上げられているのだという。涸れ果てたのだろうか? いいや、おそらく違う。月の水は、その多くが別所へ集約させられたのだ。ここはその一つだろう。壁を這う導管の中、今もって潤沢に満ちる碧緑がその証ではないかな」
「…………」
「そしてかの月の杯は、話によれば他者を支配するのだそうな。表面に月の水を湧き立たせ、それが人体へと侵入し乗っ取ってしまう。さて、ここからが私の仮説なのだが」
怯えから一転、もったいぶって、自らに酔うかのようにマオメイは諸手を掲げ笑う。その肩でおはぎたちがにゃあにゃあと気の抜けた鳴き声を上げた。
「このおぞましいプロセスは果たして一体、何のためか? 私は考える。月の水こそが、かつての昔にこの遺跡、いや施設を建造した、月の民……<ムーンウォーター>そのものに他ならないのではないだろうか?」
ソフィアとオサムははっとして、顔を見あわせた。二人もまた研究者であるから、思い至るところがあったのだろう。
月の民。ムーンウォーター。古代遺跡としてその痕跡をリキッド大陸の各地に残した、謎の民族。それらが壁を這うチューブの内部を流れるエメラルド色のほのかな輝きと同一とは、どういうことだろうか?
マオメイはサムライ大将を見据え、とうとうと語った。
「精神を溶かし込んだ情報媒体? あるいはそもそも、液体生命体なのだろうか? ともかく、月の水はそれ単体では活動できないのだ。人体へと浸透し、宿主の精神を掌握してしまうまでは。思えば君たちの瞳が白く染まるのは、浸潤した碧緑の輝きが純度を増すがためではないのかね? そして杯は、それを成すための触媒なのだろう……」
「……ちょっと待って。マオメイさん」
誘導魔弾を放ちサムライを薙ぎ倒し、ひと息つくと、ソフィアは口を開いた。
「それが確かならば……私、とても嫌な予感がするのだけれど」
「ああ。俺もだ」
オサムも同時にうなずく。
「私、武鳥家を調べたわ。彼らは記録されている限り、千年以上もの間この地に根差し、遺跡を守護してきた。周辺国の侵入を許さず、玉楼の都の介入さえ拒み、秘密を守り通してきた……この、月の大杯を」
「お前たちは、準備してきたのか? 時を待っていたのか? つまるところ、この施設は」
「ええ。多数の人間を、一度に効率よく月の水へ侵すための、大規模な洗脳施設。というわけね」
ソフィアは指を突きつける。
サムライの総大将、帯名は苦々しく奥歯を食い締め、憎々しげに告げた。
「……かの方々を再びこの地へと呼び戻すことこそ、我らが使命。そのために我が一族は身を捧げてきたのだ。我が挺身、我が尽力、なきものにせんとするか。忌まわしい肉袋ども……!」
白い瞳がぎらつき鋭い光を放つ。身の丈を超す大刀を背から抜き放ち、構えると放たれる威圧感は部下であるサムライたちの比ではなかった。
「彼らはもはやムーンウォーターの傀儡、いわば<ウォータードローン>! まことの己など塵ほどにしか残されてはいないだろう。諸君、遠慮なくぶちのめしてしまえ!」
興奮したマオメイの声へ呼応し、オサムが炎弾を雨と放つ。帯名を打ち据えている隙にアオイが接敵し、渾身の蹴りを叩き込む。駆け出すケイを援護し、アヤカは<キャットフレア>を放つ。猫型の猛火と同時に浴びせるのは、カーサのバレットランチャー。狙い違わず甲冑を貫いた。
「静かに研究させてもらえたら良かったけど。邪魔をされると、存外……癪に障るものね?」
ソフィアの魔弾が舞い飛び、帯名へ集中砲火を浴びせる。
地獄の底から響く、怨霊の叫びめいた声、そして立て続けに破裂する轟音が遺跡を震わせた。
陰鬱な地下から解放されたのは、それからしばしのことだ。
「はあ。ようやく出られた……」
「息苦しかったわね。お疲れさま」
「うん。そっちも」
ソフィアがカーサの肩をぽんと叩く。危急の時をどうにか切り抜け、笑い合う。
冒険者らの猛攻に、帯名は膝を折り地に伏した。同時に、碧緑が気化して霧散してゆく様も彼らは見届けた。
「マオメイ。遺跡をどうするんだ?」
アオイの外套にかぶった埃を払ってやりながら、オサムが尋ねる。
「このまま放っておくわけにもいかないだろう。施設は稼働しているんだ。それに武鳥家の生き残りだっていないとは限らない」
「と言って、我らに今できることは多くないだろうねえ。あらためて精査を行うまで、ここは封鎖し、立ち入りを禁ずることとしよう。なに、まあ、安心したまえよ。私が都へ出向いて、玉楼幕府へ約束を取り付けてやるから」
責任は取ると言ったろう? と、依頼人はにやり笑んだ。
「ま、そんなわけでひとまず、都へ行かねばね。帰り道の護衛もよろしく頼むよ、諸君」
「はい。任せてください!」
アヤカは快諾した。そうして歩き出す仲間たちを横目に、遺跡の入り口、その向こうへ連なる深淵を再び垣間見る。
マオメイの推論を、武鳥家の長は否定しなかった。とすれば……。
月の民。ムーンウォーター。彼らは今も、現代に蘇らんと画策しているのだろうか。あの碧緑の輝きをたたえ、今もどこかを流れているのだろうか。
「アヤカ? そろそろ行かないと、置いていかれてしまうよ」
「あ、はーい! 今行きますっ」
ぽっかりと開いた暗闇を背に、冒険者らは再び歩き出した。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『LSC』第五弾です。
おかげさまでこのシリーズ、ご好評をいただいているようでして。嬉しい……!
続けてご参加いただいている方も、新しくいらしてくださる方も、どちらも本当にありがたく思っております~。
途中参加の方はメインストーリーの流れが把握しづらいかもしれません……大変申し訳ないです。
お話は今のところ、折り返し地点を越えたところかな、と思っています。
この先もよろしければ、お楽しみいただければ嬉しく思います。墨谷も楽しんで執筆しておりますので!
それでは、今回もご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
またの機会にもお目にかかれますことを、心よりお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
ゲーム
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年05月30日
参加申し込みの期限
2023年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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