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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
LIQUID -Star Chronicle- 月の民編
【コーヒーよりもアツいバカンス】
コーフィルを駆けめぐり、＜バリスタール教団＞の野望をことごとく阻んで見せたアオイ（プレイヤー：仙藤 蒼）、マーナ、シャローテの三人娘。
次なるクエストも教団の足取りをたどり、邪悪なる企みを打ち砕かんと駆け抜け……といったところで、移動中の馬車に揺られながらマーナが疲れた声を発した。
「ねー聞いてよアオイ。うちの会社、師走も仕事仕事、仕事よ！ 夏休みだってロクに取れなかったってのに、まったく……」
「社会人って大変ねー」
「まあそんなところばかりじゃないとは思うけどね。学生さんを脅かすつもりはないのよ？ それもこれも、あんのクソ課長のせいだわ。でもねえ聞いてアオイ、社会に出たらセクハラパワハラ野郎なんて、どんなところにもいるんだからね！ 強く生きるのよ……！！」
「はいはい。マーナは頑張ってるわよ、えらいえらい」
しょぼくれた相棒の頭を撫でてやりながら、アオイは考えたのだ。
確かにこのところ、一気にクエストを進めてきた。連続するサブクエストの中でも教団関連のものは規模が大きく数も多いから、やり応えもあり、ついつい気合を入れ過ぎてしまった。仕事でお疲れのマーナを労う意味でも、ここは一つ歩みを緩めて、ゆったりと過ごすのも良いかもしれない。
「そういえば聞きましたか？ コーフィルのワイコナ港と、南の小国パナーシェとの航路が結ばれたそうですわよ。パナーシェのビーチといえば、それはそれは美しいところなのだとか」
「南国のビーチ！ いいわね～」
情報通なシャローテの言葉に、ぐったりとうつぶせたマーナが遠い目で青空を眺めた。
なるほど、南国。いいではないか、とアオイもうなずいた。
パナーシェは砂漠の国コーフィルからさらに南下したところ、海にぽっかりと浮かぶ島国だ。
港へ降り立った瞬間から、鮮烈に青くサファイアのように輝く海と、ぎらぎら輝く強烈な太陽が三人の目を射る。揃って深呼吸。渇いた大地にばかり居座っていたから、爽快もひとしおだ。
「うわぁ。キレイ！」
アオイの瞳がきらめいた。純白の砂浜に、虹がかかっていた。
三人は用意してきた水着装備に着替え、さっそく砂へ足跡を刻む。と、
「ヘーイ、お嬢さんたち！ それアバターだよね？ 可愛いね～☆」
「俺らと南国アバンチュール、満喫しちゃわない？」
「ハメ外してさぁ、楽しもうじゃないの！ ね？ ね？」
群がるナンパ男たちは、マッチョ、マッチョ、細マッチョ。いずれもプレイヤーキャラクターだが、アバターではなく英雄キャラクターだ。
「あー、パス！ そういうの間に合ってマス」
眉をつり上げたマーナがすげなく断るも、男たちは食い下がる。
「ま、ま、ま。そんなこと言わずに、ちょっとだけ！ 少しだけ！」
「ぜってー楽しいから。めっちゃ盛り上げるよー俺ら、楽しませちゃうよー」
悲しいことに、どんなオンラインゲームにもこの手の輩は湧いて出るものだ。
しつこく付き纏う彼らが不躾にもマーナの腕を掴んだ時、アオイの拳が物言うよりも早く走り抜けた。
「＜龍突拳＞！ てんちゅーーーっ」
「どわーーーっ！」
常夏のビーチ、サファイアブルーの海にナンパ野郎はふさわしくない。
アオイは飛んでゆく男たちを尻目にぐっと拳を握りしめ、言った。
「さあ、バカンスの始まりよ！」
「「おーっ♪」」
浜辺に寝そべり、肌を焼いた。アバターは日焼けしないがまあ、そういう気分は味わうことができた。何しろＶＲの進化は偉大で、グラフィックも音響も極まれば脳を錯覚させるに至るのだ。
マーナはすっかり寝入っている。よほど私生活で疲労や鬱屈を溜めこんでいるのだろう。
「アオイ、アオイ！ 見てください、カジノですわ！ カジノがありますわ」
「ん？ うん、カジノだね。シャローテ、ギャンブル好きなの？」
「いいえ、わたくしやったことがありませんの。ですが以前から興味があったのですわ！」
ということでシャローテと二人、カジノでルーレットやらスロットマシーンやらポーカーやらに熱中した。アオイもいくらかあぶく銭を稼いだが、ビギナーズラックか、シャローテのバカヅキといったらなかった。じゃらじゃらと積み上がってゆくコインに、二人のテンションもうなぎ登りだ。
持ちきれないほどの金貨を得て、次に向かったのは酒場だ。多くの客が酒を楽しむ中、シャローテがアオイの手を引いて笑った。
「踊りましょう、アオイ！」
「いいわね！ うん、私もなんだか、そんな気分かも」
二人が手を取り踊り始めると、客の中から幾人かのマジカルパフォーマーが名乗り出て、それぞれに楽器を奏で始める。
本当に酒が入っているわけでもあるまいに、不思議な熱狂が彼らを包み込む。
「ちょっと、二人だけで楽しそうじゃない？」
振り向けば、ようやく目が覚めたらしいマーナが唇をとがらせている。
「マーナも踊ろう！」
「もー、しょうがないわね。つきあったげるわ」
「そうこなくっちゃ！」
三人娘を中心に据えて、ダンスの輪は酒場の外まで、どこまでも広がってゆく。
賑やかな喧噪は続く……邪教との戦いへと再び飛び込んでゆくその時まで。つかの間のバカンスを、彼女らは堪能した。
コーフィルを駆けめぐり、＜バリスタール教団＞の野望をことごとく阻んで見せたアオイ（プレイヤー：仙藤 蒼）、マーナ、シャローテの三人娘。
次なるクエストも教団の足取りをたどり、邪悪なる企みを打ち砕かんと駆け抜け……といったところで、移動中の馬車に揺られながらマーナが疲れた声を発した。
「ねー聞いてよアオイ。うちの会社、師走も仕事仕事、仕事よ！ 夏休みだってロクに取れなかったってのに、まったく……」
「社会人って大変ねー」
「まあそんなところばかりじゃないとは思うけどね。学生さんを脅かすつもりはないのよ？ それもこれも、あんのクソ課長のせいだわ。でもねえ聞いてアオイ、社会に出たらセクハラパワハラ野郎なんて、どんなところにもいるんだからね！ 強く生きるのよ……！！」
「はいはい。マーナは頑張ってるわよ、えらいえらい」
しょぼくれた相棒の頭を撫でてやりながら、アオイは考えたのだ。
確かにこのところ、一気にクエストを進めてきた。連続するサブクエストの中でも教団関連のものは規模が大きく数も多いから、やり応えもあり、ついつい気合を入れ過ぎてしまった。仕事でお疲れのマーナを労う意味でも、ここは一つ歩みを緩めて、ゆったりと過ごすのも良いかもしれない。
「そういえば聞きましたか？ コーフィルのワイコナ港と、南の小国パナーシェとの航路が結ばれたそうですわよ。パナーシェのビーチといえば、それはそれは美しいところなのだとか」
「南国のビーチ！ いいわね～」
情報通なシャローテの言葉に、ぐったりとうつぶせたマーナが遠い目で青空を眺めた。
なるほど、南国。いいではないか、とアオイもうなずいた。
パナーシェは砂漠の国コーフィルからさらに南下したところ、海にぽっかりと浮かぶ島国だ。
港へ降り立った瞬間から、鮮烈に青くサファイアのように輝く海と、ぎらぎら輝く強烈な太陽が三人の目を射る。揃って深呼吸。渇いた大地にばかり居座っていたから、爽快もひとしおだ。
「うわぁ。キレイ！」
アオイの瞳がきらめいた。純白の砂浜に、虹がかかっていた。
三人は用意してきた水着装備に着替え、さっそく砂へ足跡を刻む。と、
「ヘーイ、お嬢さんたち！ それアバターだよね？ 可愛いね～☆」
「俺らと南国アバンチュール、満喫しちゃわない？」
「ハメ外してさぁ、楽しもうじゃないの！ ね？ ね？」
群がるナンパ男たちは、マッチョ、マッチョ、細マッチョ。いずれもプレイヤーキャラクターだが、アバターではなく英雄キャラクターだ。
「あー、パス！ そういうの間に合ってマス」
眉をつり上げたマーナがすげなく断るも、男たちは食い下がる。
「ま、ま、ま。そんなこと言わずに、ちょっとだけ！ 少しだけ！」
「ぜってー楽しいから。めっちゃ盛り上げるよー俺ら、楽しませちゃうよー」
悲しいことに、どんなオンラインゲームにもこの手の輩は湧いて出るものだ。
しつこく付き纏う彼らが不躾にもマーナの腕を掴んだ時、アオイの拳が物言うよりも早く走り抜けた。
「＜龍突拳＞！ てんちゅーーーっ」
「どわーーーっ！」
常夏のビーチ、サファイアブルーの海にナンパ野郎はふさわしくない。
アオイは飛んでゆく男たちを尻目にぐっと拳を握りしめ、言った。
「さあ、バカンスの始まりよ！」
「「おーっ♪」」
浜辺に寝そべり、肌を焼いた。アバターは日焼けしないがまあ、そういう気分は味わうことができた。何しろＶＲの進化は偉大で、グラフィックも音響も極まれば脳を錯覚させるに至るのだ。
マーナはすっかり寝入っている。よほど私生活で疲労や鬱屈を溜めこんでいるのだろう。
「アオイ、アオイ！ 見てください、カジノですわ！ カジノがありますわ」
「ん？ うん、カジノだね。シャローテ、ギャンブル好きなの？」
「いいえ、わたくしやったことがありませんの。ですが以前から興味があったのですわ！」
ということでシャローテと二人、カジノでルーレットやらスロットマシーンやらポーカーやらに熱中した。アオイもいくらかあぶく銭を稼いだが、ビギナーズラックか、シャローテのバカヅキといったらなかった。じゃらじゃらと積み上がってゆくコインに、二人のテンションもうなぎ登りだ。
持ちきれないほどの金貨を得て、次に向かったのは酒場だ。多くの客が酒を楽しむ中、シャローテがアオイの手を引いて笑った。
「踊りましょう、アオイ！」
「いいわね！ うん、私もなんだか、そんな気分かも」
二人が手を取り踊り始めると、客の中から幾人かのマジカルパフォーマーが名乗り出て、それぞれに楽器を奏で始める。
本当に酒が入っているわけでもあるまいに、不思議な熱狂が彼らを包み込む。
「ちょっと、二人だけで楽しそうじゃない？」
振り向けば、ようやく目が覚めたらしいマーナが唇をとがらせている。
「マーナも踊ろう！」
「もー、しょうがないわね。つきあったげるわ」
「そうこなくっちゃ！」
三人娘を中心に据えて、ダンスの輪は酒場の外まで、どこまでも広がってゆく。
賑やかな喧噪は続く……邪教との戦いへと再び飛び込んでゆくその時まで。つかの間のバカンスを、彼女らは堪能した。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年05月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年06月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年06月06日 11時00分
