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- 00月00日生 00歳
- AAA000000
LIQUID -Star Chronicle- 月の民編
【パーフェクトセッション！】
聴覚はことのほか多くの情報を人間に伝えている。音源の距離や方角を把握し、存在を認識する。川のせせらぎには癒しを覚えて心緩ませ、窓の外を吹き荒ぶ豪風には不安を抱き警戒する。周囲や対象を深く傾聴することは、人の歓び、憂い、安堵、想起や想像……多様な感性を刺激し、感情を育んでくれる。
ＶＲの世界には今のところ味覚に嗅覚、触覚は存在しないがゆえに、視覚と聴覚の担う役割が体験の多くを占める。視覚はいわずもがな、スピーカーから届くあらゆる音の演出が、非現実世界の存在感を色濃く投影してくれるのだ。
「なるほど、すごいねえＶＲ！」
『LIQUID』の世界へ飛び込んだリン（プレイヤー：雨寺 凛）。耳をすませれば、樹々の枝葉がこすれ合う音。風の鳴き声。行き交う人々の喧噪……心躍るＢＧＭも！ 聴覚をつつくあらゆる音たちが、リンを昂揚させてくれた。
「う～ん、わくわくしてきた。さて、まずはどうしようかな？」
リンはマジカルパフォーマーを選択した。軽音楽部の部長を務め、ギターを奏で歌声響かせる、彼女にこれほど似合うクラスも無いだろう。
マジカルパフォーマーは音を操り、攻撃や特殊効果を及ぼすのを得意とするらしい。楽曲を自作し演奏することもできるそうで、遊び方は実に幅広い。まずは冒険に出てもいいし、演奏スキルを使ってパフォーマンスするのも楽しそうだ。
「広い世界を見て回って、いろんな場所を巡ってみるのもいいな！」
何をすべきかと考えていたら、後ろから声をかけられた。
「お姉さん、もしかして始めたばっか？ 冒険の仲間、探してる系？」
しばしの後、リンの姿はサイディア王国郊外、モネード平原にあった。
「いっくよーーー！ ＜バーニングシャウト＞っ！！」
赤く輝くオーラが広がり、死神のような黒いフードをかぶったアンデッド、リッチたちを吹き飛ばす。フードに着火した炎に浄化され、リッチは溶けるように消えてゆく。
「いいねー、リンちゃん！ あんた、いい音出すじゃん！」
パーティに、仲間が三人。リンを加えての即興ライブだ。
リンと同じくギターを持った、グラマラスな女性はジャッキーと名乗った。その後ろを固める長身でやせっぽちの男性は、ベースのフリオ。首から吊った簡易ドラムセットを叩く、ふとっちょのゴロー。彼らは私生活においてバンド仲間であるという。
クラスは全員がマジカルパフォーマー。リンのギターを目にして、思わず声をかけたのだとか。それぞれ手にした楽器を響かせ、敵を薙ぎ払う姿はまさしくセッション。オーディエンスに魂をぶつけ、衝撃の熱渦に巻き込むのだ。
「ジャッキーさん、すごいテク！ さすが、バンドやってる人は違うなぁ」
「なあに、まだまだかけだし系よウチら。それよりリンちゃんだって、イケてんじゃん？」
クエストはこの平原の一帯に出現したリッチを排除するという、いわば中級者向けのものであり、始めたばかりのリンには少々荷が重いかと思われたが、バンドの演奏スキルに助けられ、危なげなく立ち回ることができている。
「あっ、あぶない！ ＜メロディサンクチュアリ＞で、バリアを張るよ！」
リキッド大陸での相棒となった＜プリズムギター＞が聖なる音を奏でると、アンデッドの侵入を阻む領域を広げる。後ろから迫るリッチの攻撃を妨害し、救われたフリオとゴローが物言わぬまま、アイコンタクトで礼を伝えた。言葉はなくとも、音が伝えてくれた。
丘陵の向こうから、一回り二回りも大きな影が立ち上がる。ボス級のモンスター、リッチキングだ。
「よーし、盛り上がってきたよ！」
「思いっきりぶちかまそうぜ、リンちゃん！」
「おーっ！」
即興バンドの音が絡み合い、爆音が敵を打ち倒す衝撃となって響き渡った。
クエストを見事完了し、サイディア王都シードルへと凱旋。数千ボトルの報酬を山分けした後に、ジャッキーたちはおもむろに道端で演奏の準備を始めた。
「ウチらいつも、こうやって小遣い稼ぎしてんのよ。まあお金というより、趣味だけどね。リンちゃんも一緒にどお？」
「えっ、いいの！？ 私、混ざっても！？」
願ってもない言葉だ。フリオとゴローも親指を立ててくれた。彼らはプロでこそないが、ストリートやライブハウスなどで常から客を前に演奏し、演奏技術や胆力、パフォーマンスの研鑽に余念がない。彼らに一時的でも加わりセッションできるのなら、リンにも得るモノは大きいだろう。
「おーし、今日はリンちゃんがギターボーカル系で！ センター任せるよ！」
「おっけー、思いっきりやっちゃうよ！」
優雅にして壮麗な王都に響く、ロックな音色。リンの歌声とそれを支えるバンドの演奏は忙しなく歩く人々の足を止めさせ、熱狂へと巻き込んだ。
「このゲーム、最っ高！ めちゃくちゃハマっちゃいそうかも♪」
聴覚はことのほか多くの情報を人間に伝えている。音源の距離や方角を把握し、存在を認識する。川のせせらぎには癒しを覚えて心緩ませ、窓の外を吹き荒ぶ豪風には不安を抱き警戒する。周囲や対象を深く傾聴することは、人の歓び、憂い、安堵、想起や想像……多様な感性を刺激し、感情を育んでくれる。
ＶＲの世界には今のところ味覚に嗅覚、触覚は存在しないがゆえに、視覚と聴覚の担う役割が体験の多くを占める。視覚はいわずもがな、スピーカーから届くあらゆる音の演出が、非現実世界の存在感を色濃く投影してくれるのだ。
「なるほど、すごいねえＶＲ！」
『LIQUID』の世界へ飛び込んだリン（プレイヤー：雨寺 凛）。耳をすませれば、樹々の枝葉がこすれ合う音。風の鳴き声。行き交う人々の喧噪……心躍るＢＧＭも！ 聴覚をつつくあらゆる音たちが、リンを昂揚させてくれた。
「う～ん、わくわくしてきた。さて、まずはどうしようかな？」
リンはマジカルパフォーマーを選択した。軽音楽部の部長を務め、ギターを奏で歌声響かせる、彼女にこれほど似合うクラスも無いだろう。
マジカルパフォーマーは音を操り、攻撃や特殊効果を及ぼすのを得意とするらしい。楽曲を自作し演奏することもできるそうで、遊び方は実に幅広い。まずは冒険に出てもいいし、演奏スキルを使ってパフォーマンスするのも楽しそうだ。
「広い世界を見て回って、いろんな場所を巡ってみるのもいいな！」
何をすべきかと考えていたら、後ろから声をかけられた。
「お姉さん、もしかして始めたばっか？ 冒険の仲間、探してる系？」
しばしの後、リンの姿はサイディア王国郊外、モネード平原にあった。
「いっくよーーー！ ＜バーニングシャウト＞っ！！」
赤く輝くオーラが広がり、死神のような黒いフードをかぶったアンデッド、リッチたちを吹き飛ばす。フードに着火した炎に浄化され、リッチは溶けるように消えてゆく。
「いいねー、リンちゃん！ あんた、いい音出すじゃん！」
パーティに、仲間が三人。リンを加えての即興ライブだ。
リンと同じくギターを持った、グラマラスな女性はジャッキーと名乗った。その後ろを固める長身でやせっぽちの男性は、ベースのフリオ。首から吊った簡易ドラムセットを叩く、ふとっちょのゴロー。彼らは私生活においてバンド仲間であるという。
クラスは全員がマジカルパフォーマー。リンのギターを目にして、思わず声をかけたのだとか。それぞれ手にした楽器を響かせ、敵を薙ぎ払う姿はまさしくセッション。オーディエンスに魂をぶつけ、衝撃の熱渦に巻き込むのだ。
「ジャッキーさん、すごいテク！ さすが、バンドやってる人は違うなぁ」
「なあに、まだまだかけだし系よウチら。それよりリンちゃんだって、イケてんじゃん？」
クエストはこの平原の一帯に出現したリッチを排除するという、いわば中級者向けのものであり、始めたばかりのリンには少々荷が重いかと思われたが、バンドの演奏スキルに助けられ、危なげなく立ち回ることができている。
「あっ、あぶない！ ＜メロディサンクチュアリ＞で、バリアを張るよ！」
リキッド大陸での相棒となった＜プリズムギター＞が聖なる音を奏でると、アンデッドの侵入を阻む領域を広げる。後ろから迫るリッチの攻撃を妨害し、救われたフリオとゴローが物言わぬまま、アイコンタクトで礼を伝えた。言葉はなくとも、音が伝えてくれた。
丘陵の向こうから、一回り二回りも大きな影が立ち上がる。ボス級のモンスター、リッチキングだ。
「よーし、盛り上がってきたよ！」
「思いっきりぶちかまそうぜ、リンちゃん！」
「おーっ！」
即興バンドの音が絡み合い、爆音が敵を打ち倒す衝撃となって響き渡った。
クエストを見事完了し、サイディア王都シードルへと凱旋。数千ボトルの報酬を山分けした後に、ジャッキーたちはおもむろに道端で演奏の準備を始めた。
「ウチらいつも、こうやって小遣い稼ぎしてんのよ。まあお金というより、趣味だけどね。リンちゃんも一緒にどお？」
「えっ、いいの！？ 私、混ざっても！？」
願ってもない言葉だ。フリオとゴローも親指を立ててくれた。彼らはプロでこそないが、ストリートやライブハウスなどで常から客を前に演奏し、演奏技術や胆力、パフォーマンスの研鑽に余念がない。彼らに一時的でも加わりセッションできるのなら、リンにも得るモノは大きいだろう。
「おーし、今日はリンちゃんがギターボーカル系で！ センター任せるよ！」
「おっけー、思いっきりやっちゃうよ！」
優雅にして壮麗な王都に響く、ロックな音色。リンの歌声とそれを支えるバンドの演奏は忙しなく歩く人々の足を止めさせ、熱狂へと巻き込んだ。
「このゲーム、最っ高！ めちゃくちゃハマっちゃいそうかも♪」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年05月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年06月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年06月06日 11時00分
