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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
銀河は続くよどこまでも
◆万条 幸次
気付けば幸次は、ごとごとと揺れる列車の窓枠に肘をついて、腰掛けに座っていました。
不思議と怖さはなく、むしろわくわくとした気持ちで胸が弾んでいます。
隣に花遊がいるからかもしれません。花遊も落ち着いて座っていて、巨大猫の車掌さんが通りかかったとき、誇らしげに首を伸ばして肉球型のチャームを見せました。
幸次の切符も、やはり肉球型のペンダント。花遊とおそろいであることに、とてもうれしくなります。花遊と目を合わせてにこっと笑い合う姿に、猫の車掌も笑顔で２人の切符を拝見し、会釈をして去って行きました。
「次は月の星～、停車時間は30分ですにゃ～」
「月の星？ どんな星なんだろうねえ」
幸次の膝に乗って窓枠に両手をかけて、窓の外を見つめる花遊に話しかけます。
こうかもしれない、ああかもしれないと想像を働かせている間も列車はごとごと走り続け、やがて、ぽうっと白く光る小さな星へと到着しました。
「行こ、花遊」
席から立ち上がって出口へ向かう人たちにならって、幸次も列車の外へ向かいます。
外から見ても小さく見えた星は、到着してみてもやっぱり小さくて、きれいな建物もなさそうで、とても殺風景に見えました。
そんな小さな星なので、見る所もそんなになさそう、と思いつつ列車の外に一歩踏み出した幸次の体は、足を地面につけた途端ふわりと浮かび上がります。
「わわわっ」
幸次はびっくりして両手をぐるぐる回しました。すると、もっと浮かんだ気がします。
だんだん地面が遠くなって、このまま宇宙に飛び出していってしまうのでは、と慌てた幸次は、何か助けになる物はないかと辺りを見回します。そして目に入ったものに、またもやびっくりしてしまいました。
暗い宇宙にぽっかりと、白く光る青い星が見えます。
「でっか……地球だ……」
それが地球であることを、幸次は昔から見てきたテレビや本や写真などで知っていました。
それでも、実際にこうして自分の目で見るのとでは大違いです。
胸から湧き上がってきた熱いものを感じながら大きな青い星を見つめていた幸次は、次の瞬間背中を駆け上がった花遊に頭を蹴られていました。
「ぐえっ」
驚きから、思わず声に出していましたが、そんなに痛くはありません。
それよりも、ふわんと宇宙を背景に浮かんだ花遊の姿の不思議さ、初めて見る光景に目を奪われていました。
花遊は上機嫌で、足場がないことに慌てている様子もなく、ぐるんぐるん回転しながら飛んでいきます。
「待ってー、花遊ー！」
あのままどこまでも飛んでいってしまうのではと不安に駆られた幸次は急いであとを追おうとしますが、勢いのついた花遊との距離はなかなか縮まりません。それどころかますます離れるばかり。
「待ってってばー！」
幸次の伸ばした手の先で花遊はどんどん小さくなって、見えなくなってしまいました。
捜して捜して、ようやく見つけたとき、花遊は中学生くらいの女の子に赤ちゃん抱っこされていました。
花遊は楽しそうに、にゃにゃっ♪ と女の子に話しかけています。
真っ白い髪をふわふわとなびかせたその女の子は近づく幸次に気付いて、赤い目で見上げてきました。
幸次は、うさぎみたいな子だな、と思います。
それは、ここが月だからそう思ったのかもしれません。
でこぼこした殺風景な風景にその女の子はよくなじんで見えて、旅人という感じはしませんでした。
「えっと、きみはここの人？」
女の子は答えません。
言葉が通じないのでしょうか。
「俺は地球から来たんだけど、その子、返してもらえないかな……？」
幸次は地球を指し、花遊を指さして、身振りをまじえて伝えます。
女の子は幸次のほうへ身を乗り出す花遊を見て、花遊を差し出しました。
花遊を受け取った幸次は女の子にお礼を言おうとしたのですが。
発車の５分前を告げる汽笛の音が大きくぼーっと聞こえてきました。
列車に戻らなくちゃ、と幸次はあせって考えます。
「花遊を助けてくれて、ありがとう！」
急いでお礼を言って、停車場へ向かって駆け出しました。
列車に無事戻ることができてほっと一息ついた幸次は、そのときのことを思い出します。
別れる一瞬、女の子の口元が笑って応えてくれたような気がするのですが、気のせいでしょうか？
「どう思う？ 花遊」
花遊を見ると、花遊が何か小さな物を咥えているのが見えました。
きらっと光ったそれは、何か、白い石のような物でした。
「あ！ おまえ、もしかしてそれ、あの子からもらったの？」
花遊に訊いても、当然ながら花遊は答えません。
腰掛けの上でくるくる回して遊んでいる花遊に、ふっと息を吐き、まあいいか、と思いました。
気付けば幸次は、ごとごとと揺れる列車の窓枠に肘をついて、腰掛けに座っていました。
不思議と怖さはなく、むしろわくわくとした気持ちで胸が弾んでいます。
隣に花遊がいるからかもしれません。花遊も落ち着いて座っていて、巨大猫の車掌さんが通りかかったとき、誇らしげに首を伸ばして肉球型のチャームを見せました。
幸次の切符も、やはり肉球型のペンダント。花遊とおそろいであることに、とてもうれしくなります。花遊と目を合わせてにこっと笑い合う姿に、猫の車掌も笑顔で２人の切符を拝見し、会釈をして去って行きました。
「次は月の星～、停車時間は30分ですにゃ～」
「月の星？ どんな星なんだろうねえ」
幸次の膝に乗って窓枠に両手をかけて、窓の外を見つめる花遊に話しかけます。
こうかもしれない、ああかもしれないと想像を働かせている間も列車はごとごと走り続け、やがて、ぽうっと白く光る小さな星へと到着しました。
「行こ、花遊」
席から立ち上がって出口へ向かう人たちにならって、幸次も列車の外へ向かいます。
外から見ても小さく見えた星は、到着してみてもやっぱり小さくて、きれいな建物もなさそうで、とても殺風景に見えました。
そんな小さな星なので、見る所もそんなになさそう、と思いつつ列車の外に一歩踏み出した幸次の体は、足を地面につけた途端ふわりと浮かび上がります。
「わわわっ」
幸次はびっくりして両手をぐるぐる回しました。すると、もっと浮かんだ気がします。
だんだん地面が遠くなって、このまま宇宙に飛び出していってしまうのでは、と慌てた幸次は、何か助けになる物はないかと辺りを見回します。そして目に入ったものに、またもやびっくりしてしまいました。
暗い宇宙にぽっかりと、白く光る青い星が見えます。
「でっか……地球だ……」
それが地球であることを、幸次は昔から見てきたテレビや本や写真などで知っていました。
それでも、実際にこうして自分の目で見るのとでは大違いです。
胸から湧き上がってきた熱いものを感じながら大きな青い星を見つめていた幸次は、次の瞬間背中を駆け上がった花遊に頭を蹴られていました。
「ぐえっ」
驚きから、思わず声に出していましたが、そんなに痛くはありません。
それよりも、ふわんと宇宙を背景に浮かんだ花遊の姿の不思議さ、初めて見る光景に目を奪われていました。
花遊は上機嫌で、足場がないことに慌てている様子もなく、ぐるんぐるん回転しながら飛んでいきます。
「待ってー、花遊ー！」
あのままどこまでも飛んでいってしまうのではと不安に駆られた幸次は急いであとを追おうとしますが、勢いのついた花遊との距離はなかなか縮まりません。それどころかますます離れるばかり。
「待ってってばー！」
幸次の伸ばした手の先で花遊はどんどん小さくなって、見えなくなってしまいました。
捜して捜して、ようやく見つけたとき、花遊は中学生くらいの女の子に赤ちゃん抱っこされていました。
花遊は楽しそうに、にゃにゃっ♪ と女の子に話しかけています。
真っ白い髪をふわふわとなびかせたその女の子は近づく幸次に気付いて、赤い目で見上げてきました。
幸次は、うさぎみたいな子だな、と思います。
それは、ここが月だからそう思ったのかもしれません。
でこぼこした殺風景な風景にその女の子はよくなじんで見えて、旅人という感じはしませんでした。
「えっと、きみはここの人？」
女の子は答えません。
言葉が通じないのでしょうか。
「俺は地球から来たんだけど、その子、返してもらえないかな……？」
幸次は地球を指し、花遊を指さして、身振りをまじえて伝えます。
女の子は幸次のほうへ身を乗り出す花遊を見て、花遊を差し出しました。
花遊を受け取った幸次は女の子にお礼を言おうとしたのですが。
発車の５分前を告げる汽笛の音が大きくぼーっと聞こえてきました。
列車に戻らなくちゃ、と幸次はあせって考えます。
「花遊を助けてくれて、ありがとう！」
急いでお礼を言って、停車場へ向かって駆け出しました。
列車に無事戻ることができてほっと一息ついた幸次は、そのときのことを思い出します。
別れる一瞬、女の子の口元が笑って応えてくれたような気がするのですが、気のせいでしょうか？
「どう思う？ 花遊」
花遊を見ると、花遊が何か小さな物を咥えているのが見えました。
きらっと光ったそれは、何か、白い石のような物でした。
「あ！ おまえ、もしかしてそれ、あの子からもらったの？」
花遊に訊いても、当然ながら花遊は答えません。
腰掛けの上でくるくる回して遊んでいる花遊に、ふっと息を吐き、まあいいか、と思いました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年05月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年05月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年05月24日 11時00分
