- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
銀河は続くよどこまでも
◆楡宮 遠海
列車はゆるやかに速度を落として、すべり込むように星のステーションへ入っていきました。
白い湯気を吐き出す車両が完全に停止するのを待って、遠海は真っ白な停車場へ降り立ちます。
「さて、どこ行こっかな」
改札口を抜けて、遠海は考えます。
もとから聞いたことのない星なので、どんな場所かも知りません。
ただ、猫車掌が
「次はグルメの星～、停車時間は乗員の休憩も兼ねて３時間ですにゃ～」
と言ったので、降りることを決めたのでした。
（グルメの星……！ なんて心躍るすてきな名前なのかしら！
きっとおいしくてめずらしい物がいっぱいあふれているに違いないわ！）
そんなすてきな場所に、たった２時間しかいられないのです。１分１秒無駄にはできません。
とにかく手がかりになる物、周辺の地図の看板とか、チラシの貼られた掲示板とか、グルメ雑誌とかはないだろうかと道に沿って歩いていると、どこからともなくいい香りが漂ってきました。
いい香りというか、いい匂いというべきそれをたどっていきます。
大通りから離れ、細い路地を１本２本と道をまたいだ奥に、その屋台村はありました。
まるでお祭りのように、小さな屋台がずらりと道の両側に並んでいます。
その光景に見入っていますと、遠海に気付いた様子で道の中央に並んだ長いテーブルの端に座っていた１匹の猫が立ち上がりました。
「お客さま。初めてでここへたどり着かれるとは、大したご慧眼ですにゃ～」
それは猫車掌でした。
遠海は猫車掌の隣の席に腰掛けます。
猫車掌いわく、表の通りにはいろいろと人の目を引くお店がいっぱいあって、大抵の旅人はそちらへ向かうのだそうです。つまりここは、この星の住人や常連たちがやって来る場所ということでしょう。
どこをどう通ってきたか覚えておらず、方向音痴でもある遠海は列車まで戻れるか少し心配でしたが、乗員がいるなら帰り道も安心です。
「それで、何を食べられますかにゃ？」
質問に遠海はきょろきょろと屋台にかかった料理の写真を見たのですが、何がどういった物かよくわからず、「同じ物をください」と猫車掌のお皿に乗った半月状の物を指しました。
猫車掌はうなずいて、「あちらですにゃ」と屋台まで一緒に行ってくれます。
屋台の物は満月の形をしていて、赤、青、黄色の３色がありました。怪しい混ぜ物を疑わせるような色ではなく、クレヨンで画用紙に描いたようなふわふわぽわんとした物です。
猫車掌が通訳をしてくれて、遠海はふよんふよんとしたそれを買うことができました。
サッカーボール大のそれが乗った皿を両手で持って、席に戻ります。ほかほかの湯気が鼻をくすぐり、ああこれがあのおいしそうな匂いのもとだったのだと遠海はうれしく思いました。
（でもこれ、どうやって食べるの？）
隣の席で食事を再開した猫車掌の手元をちらりと見ると、猫車掌の物は破れて半分になっています。
遠海は、「……いただきます」と、思い切ってふわふわの頂点部分にかぶりついてみました。すると、サクッとした歯ごたえと、ふわふわの触感と、香ばしくて甘い味が口の中に広がります。そしてかみちぎった穴から見える中身は、水色のスープに丸くて小さなふわふわが幾つも浮かんでいて、その合間に星形をした赤い物や緑の物があって、やはりほかほかと湯気をたてておいしそうな匂いをさせているのでした。
「おいしい」
考える前に声が出ていました。
遠海の素直な反応に、猫車掌だけでなく、屋台の店主もにっこり。ぱくぱくと気持ちよく食べる遠海の姿を見て、自分の屋台の料理を持ち寄ってきます。そのどれもが全て１食分ずつあって、とても普通の少女が食べきれる量ではありませんでしたが、遠海は顔色一つ変えず、それどころかどれもとてもおいしそうにぱくぱくと食べていきます。
口元へ運ぶ速度は衰えず、止まらず、常に一定で、最後の一口まできれいに平らげたとき、周りからわあっと声が上がりました。
食事を楽しむのに夢中で、いつの間に注目を浴びていたのかと驚く遠海に、猫車掌が周囲の者たちの言葉を通訳をします。そのどれもが「すごい」「その細い体のどこにあれだけの量が入るの」と、感心する言葉ばかりで……遠海は料理をくださったお店の人たちに向かい「ごちそうさまでした」と両手を合わせて感謝のお礼をしました。
猫車掌たちと一緒に列車へ戻る道すがらも、話題は遠海の大食いについてでした。
彼らに遠海が「まだ八分目といったところです」と話すと、また、わあっと声が上がります。
だって、まだ銀河を巡る旅は途中で、まだまだたくさんの星のおいしい料理が遠海を待っているのですから。
「めざせ、宇宙最高のグルメ料理制覇！」
遠海はおなかに手をあてて、夜空を見上げました。
列車はゆるやかに速度を落として、すべり込むように星のステーションへ入っていきました。
白い湯気を吐き出す車両が完全に停止するのを待って、遠海は真っ白な停車場へ降り立ちます。
「さて、どこ行こっかな」
改札口を抜けて、遠海は考えます。
もとから聞いたことのない星なので、どんな場所かも知りません。
ただ、猫車掌が
「次はグルメの星～、停車時間は乗員の休憩も兼ねて３時間ですにゃ～」
と言ったので、降りることを決めたのでした。
（グルメの星……！ なんて心躍るすてきな名前なのかしら！
きっとおいしくてめずらしい物がいっぱいあふれているに違いないわ！）
そんなすてきな場所に、たった２時間しかいられないのです。１分１秒無駄にはできません。
とにかく手がかりになる物、周辺の地図の看板とか、チラシの貼られた掲示板とか、グルメ雑誌とかはないだろうかと道に沿って歩いていると、どこからともなくいい香りが漂ってきました。
いい香りというか、いい匂いというべきそれをたどっていきます。
大通りから離れ、細い路地を１本２本と道をまたいだ奥に、その屋台村はありました。
まるでお祭りのように、小さな屋台がずらりと道の両側に並んでいます。
その光景に見入っていますと、遠海に気付いた様子で道の中央に並んだ長いテーブルの端に座っていた１匹の猫が立ち上がりました。
「お客さま。初めてでここへたどり着かれるとは、大したご慧眼ですにゃ～」
それは猫車掌でした。
遠海は猫車掌の隣の席に腰掛けます。
猫車掌いわく、表の通りにはいろいろと人の目を引くお店がいっぱいあって、大抵の旅人はそちらへ向かうのだそうです。つまりここは、この星の住人や常連たちがやって来る場所ということでしょう。
どこをどう通ってきたか覚えておらず、方向音痴でもある遠海は列車まで戻れるか少し心配でしたが、乗員がいるなら帰り道も安心です。
「それで、何を食べられますかにゃ？」
質問に遠海はきょろきょろと屋台にかかった料理の写真を見たのですが、何がどういった物かよくわからず、「同じ物をください」と猫車掌のお皿に乗った半月状の物を指しました。
猫車掌はうなずいて、「あちらですにゃ」と屋台まで一緒に行ってくれます。
屋台の物は満月の形をしていて、赤、青、黄色の３色がありました。怪しい混ぜ物を疑わせるような色ではなく、クレヨンで画用紙に描いたようなふわふわぽわんとした物です。
猫車掌が通訳をしてくれて、遠海はふよんふよんとしたそれを買うことができました。
サッカーボール大のそれが乗った皿を両手で持って、席に戻ります。ほかほかの湯気が鼻をくすぐり、ああこれがあのおいしそうな匂いのもとだったのだと遠海はうれしく思いました。
（でもこれ、どうやって食べるの？）
隣の席で食事を再開した猫車掌の手元をちらりと見ると、猫車掌の物は破れて半分になっています。
遠海は、「……いただきます」と、思い切ってふわふわの頂点部分にかぶりついてみました。すると、サクッとした歯ごたえと、ふわふわの触感と、香ばしくて甘い味が口の中に広がります。そしてかみちぎった穴から見える中身は、水色のスープに丸くて小さなふわふわが幾つも浮かんでいて、その合間に星形をした赤い物や緑の物があって、やはりほかほかと湯気をたてておいしそうな匂いをさせているのでした。
「おいしい」
考える前に声が出ていました。
遠海の素直な反応に、猫車掌だけでなく、屋台の店主もにっこり。ぱくぱくと気持ちよく食べる遠海の姿を見て、自分の屋台の料理を持ち寄ってきます。そのどれもが全て１食分ずつあって、とても普通の少女が食べきれる量ではありませんでしたが、遠海は顔色一つ変えず、それどころかどれもとてもおいしそうにぱくぱくと食べていきます。
口元へ運ぶ速度は衰えず、止まらず、常に一定で、最後の一口まできれいに平らげたとき、周りからわあっと声が上がりました。
食事を楽しむのに夢中で、いつの間に注目を浴びていたのかと驚く遠海に、猫車掌が周囲の者たちの言葉を通訳をします。そのどれもが「すごい」「その細い体のどこにあれだけの量が入るの」と、感心する言葉ばかりで……遠海は料理をくださったお店の人たちに向かい「ごちそうさまでした」と両手を合わせて感謝のお礼をしました。
猫車掌たちと一緒に列車へ戻る道すがらも、話題は遠海の大食いについてでした。
彼らに遠海が「まだ八分目といったところです」と話すと、また、わあっと声が上がります。
だって、まだ銀河を巡る旅は途中で、まだまだたくさんの星のおいしい料理が遠海を待っているのですから。
「めざせ、宇宙最高のグルメ料理制覇！」
遠海はおなかに手をあてて、夜空を見上げました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2023年05月17日
- 参加申し込みの期限
-
- 2023年05月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2023年05月24日 11時00分
