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テレビを消し練習に入ったがそこそこにして切り上げ、真瞭は外に出た。
とくに目指したわけではななかったが、気がつけば寝子ヶ浜海岸に立っていた。
休日のまだ早い時間帯だ。サーフィンの季節でもないため海岸は無人で、冷たい海風が真瞭の頬を撫でた。
ケースからヴァイオリンを取り出す。
目を閉じて奏ではじめる。海に向かって。レクイエムを。
はじめじっくりとボウを引いたが、最初の一音からして高い緊張感があった。感情の昂ぶりをそのまま音色(おんしょく)に溶かしこむと、剣舞のように音は尖り血を流す。
真瞭は演奏に没頭した。もう波音は聞こえない。風も忘れた。自分とそのヴァイオリン以外のすべては消え失せたのだ。空気を震わせる振動は音楽の魔法であり、時間すら止めてしまった。
これは鎮魂歌だ。とはいえベースこそたしかにフォーレのものだが、とうに滑走路から離陸しジャズ的な即興の世界へと羽ばたいている。
でも真瞭にはどうしても奏でる必要があったのだ。十年越しの片想いの恋を終わらせるために。涙をこぼすかわりに、ヴァイオリンに語らせる必要があったのだから。
これをフォーレの鎮魂歌だと主張しても、芸大時代の技能試験だったら赤点をつけられてしまうことだろう。
だけど審査席に彼がいたらきっと、
『僕は好きだな』
そう言って目を細めてくれただろう。本当に優しい人だったから。
詠唱のような響きとともに独奏は終わった。
冬の大気を胸に息を溜め、吐き出す。
充実した気分だ。もちろん、心に生じた欠落を埋めきるものではなかったが、少なくとも傷痕に薬を塗ったような効果はあったと思う。
小さな拍手を背後に聞き、真瞭は驚いて振り返った。
「ご、ごめんなさい。勝手に聞き惚れてしまって……」
女性だ。二十代後半くらいだろうか。ややぽっちゃりとした体型、目をウルウルさせている。
彼女の『勝手に聞き惚れ』るとは不思議な表現だが意味は真瞭にもわかった。通りがかりに聞いてしまったということだろう。
「名演でした。すっごい名演! 震えちゃうくらい」
本当に彼女はわなわな震えているのである。観客があるとは思っていなかったので、真瞭としては面はゆい。
「ありがとうございます。手すさびみたいなものでしたけど」
「手すさびなんてとんでもない! 魂のこもったヴァイオリンでした。悲痛な調べに聞こえましたが、主題は?」
ある程度音楽的素養のある聞き手らしい、真瞭はてらわずこたえた。
「……昔の片想いを終わらせたんです」
「だからですか」
感銘を受けた様子でしばらく彼女は黙っていたが、「それと」と大慌てでつづけた。
「深林真瞭さん、ですよね!? 私、大ファンなんです!」
だとすればますます面はゆいではないか。真瞭は頬を染めたが、ファンを名乗る彼女はそれどころではなく真っ赤だった。
「昨夜のコンサート、来てくれたんですか?」
「それがー」
ぽろぽろと彼女の目から涙がこぼれた。
「チケット抽選に落ちちゃって、行けなかったんですぅう! 私、寝子島公演はこれまで全部、本土も関東圏もおっかけるくらい観てきたのにー」
とファンの彼女はくやしがったのであった。つまり『ブラスキ』以前からのファンということだ。アニメが起爆剤となった真瞭の人気急上昇は、彼女からすれば痛し痒しといったところらしい。そういえば真瞭のほうにも彼女を、何度か客席で見かけた覚えがある。
昨夜の公演は行けなくて本当に落ち込んだが、こうして偶然会うことができて気絶しそうなくらい嬉しいと彼女は言った。そうしてさらに、
「よければサインしてくださいっ」
とCDのパッケージを差し出したのだった。ライブ会場限定で売っていた自主制作のCD-Rである。外で聴こうと持ち歩いていたものだという。彼女にはあいにくボールペンしか持ち合わせがなかったが、立っている真瞭を撮影したジャケット写真の背景が白だったので(※制作費がなかったので背景には凝れなかった)、「喜んで」と真瞭はその背景部分にサインをしたためた。
訃報がニュース番組で流れる彼と比べたら、まだまだだけど。
私も、音楽家として歩みをつづけてる。
これを知ったら彼も、喜んでくれるだろうと真瞭は思う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年05月07日
参加申し込みの期限
2023年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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