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どんなことがあっても
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到着を告げる鐘の音。エレベーターが到着したのだ。
空気を震わせゆっくりと扉が左右にひらく。いつもこの速度がもどかしい。すぐにでも飛び出したいくらいなのに、伸びたカセットテープで聴くワグナーのように仰々しいひらきかたをするからだ。もちろん病院という環境には、このほうがいいのだろうけども。
隙間をこじあけるようにしてエレベーターを降り、薄いクリーム色のリノリウム床を歩く。段ボール製のヴィーナス像――島在住の段ボール芸術家が寄贈したという――の前を通りすぎ、最初の四つ辻を右に曲がったところが目指す病室だ。
木野 星太郎
はバッグから手鏡を取り出すと、前髪を直して肌つやを確認した。
まあ、いい感じよね。
入るわよと一声かけて、スライド式のドアに手をかけた。
緩和ケア病棟その一室、少々値は張るが個室を指定した。バストイレを含め八畳ほどの広い部屋だ。
こちらに背を向けて
八幡 かなえ
が座っている。クラブ『プロムナード』では
九鬼姫
と名乗っており、日常生活においても彼女はたいていその名を用いるが、星太郎にとっては『かなえ』であり『かなちゃん』だ。
「はぁいん、今日は起き上がれているのねン」
かなえが無言なのが気になったが、星太郎はなるだけ明るい声を出した。
「じゃ、髪の毛シャンプーとお肌のお手入れ、できるかしらン?」
いそいそとかなえの背に近づいていく。しかし、
「帰れ」
きっぱりとかなえは言ったのである。
「そちの顔など見とうない。帰れ!」
「でもォン……」
「
帰れと言っとろうがっ!
」
振り返ったかなえは文字通り目をつり上げていた。手近にあったものを星太郎に投げつける。
とっさに星太郎は手で身を守った。ひらいた手のひらに硬いものが飛び込んできた。無意識のうちにキャッチしている。
ヘアブラシ。
星太郎は唇を噛んでいた。ブラシには、抜けた黒髪がごっそりとからみついていたのだった。もともと黒いブラシということもあって、ブラシ全体が痩せたウニのように見えた。
「何故(なにゆえ)じゃ」
かなえの両眼から涙があふれていた。
「何故わらわだけこんな目に遭う!」
一時回復しつつあったのが嘘のようだ。にわかには信じがたいが腫瘍が小さくなっていたという。だがあれは短期間の奇跡だったのかもしれない。治療の甲斐なくかなえの脳腫瘍はふたたび成長の一途をたどり、日に一度は強烈な痛みをもたらすようになった。すでにかなえは居候先にはいられなくなり入院している。急に嘔吐することがある。頭を抱え悲鳴をあげてもがき苦しむこともある。いずれも星太郎の心を痛めるには十分すぎるほどの光景だった。
それでも、星太郎にとってもっとも苦しいのは、かなえの人格が豹変し周囲に激しい怒りをぶつけるのを見ることだった。
「わらわが何をしたというのじゃ」
青白くも歪んだ表情から、九鬼姫は赤い怒気にたちまち染まった。
「何の咎(とが)あってわらわのみ斯様(かよう)に苦しみ死なねばならぬ……答えてみよ星太郎、
答えてみよっ!
」
星太郎は視線を床に落とした。唇を噛みしめる。
ごめんなさいと泣いてこの場から姿をくらませることができたらどれだけよかっただろう。
でもそれは彼女が本当に望んでいることなのか。
しっかりしなさい、星太郎。受け止めるのよ。できるでしょ?
甘い時間をともにすることだけが恋人関係なのではない。むしろつらいとき、どん底のときをわかちあうのが恋人というものではなないのか。
星太郎には、その覚悟があった。
「いいわよ、かなちゃん」
まるで崩落寸前でもちこたえた堤防、顔を上げたとき星太郎は笑顔だった。
「誰かを傷つけずにはいられない気分なのね? アタシなら大丈夫、いくら罵られたって、キツい言葉をぶつけられたって平気だから。だからアタシにだけはね、かなちゃん。かなちゃんの憎しみも恨みもぜんぶ吐き出して頂戴」
「のうのうと健康体でいられるそちに何がわかるか……」
「うん。『わかる』なんて言えない。言えないけど、わかるように努力する」
だって、と星太郎は言った。
「かなちゃんはアタシの、愛するひとなんだもの!」
鏡の前、星太郎はかなえの隣に腰を下ろした。
かなえに動く気配があった。
星太郎は息を吸い込む。どんなことがあってもここを動くまい。罵倒されても押しのけられても。
かなえは黙ったまま、星太郎の肩に頭を寄せた。
そうして目を閉じ、しばらくのあいだじっとしていた。
どれくらいそうしていただろう。
「……頼むぞ」
ぽつりとかなえは言ったのである。
「えっ、何を」
肺腑にナイフを突き立てられたように星太郎は感じた。死んだ後のことを、かなえが頼もうとしているのかと疑ったのだ。
「何を、って粗忽者め、申したのはそちではないか」
この日はじめてかなえが笑った。
「わらわの髪と肌の手入れじゃろ? 美容師よ」
こみあげてくるものを懸命にこらえ、星太郎はかなえに倍するような笑顔になったのである。
「んふふ、アタシにお任せってやつよ、今日も可愛くしてあげるわン!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年05月07日
参加申し込みの期限
2023年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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