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どんなことがあっても
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コンサート翌日つまり今日、真瞭は丸一日オフを入れている。
自堕落に昼まで寝ようかと思ったのに、目がさめて枕元の時計を見ると短針は六を少しすぎたところだ。
それでも多少はごろごろしたが、朝六時半になるころには頭は森の泉のように冴えていた。
仕方がない。体が目覚めたがっているのだ。脳というより細胞のレベルで。
こうなってはさからう理由もないだろう。さっとカーテンを引き、半熟卵のような日差しに真瞭は目を細めた。
どうしても決まった時間に起きてしまう。
習性ね。
タイム・イズ・マネー。
いい悪いはともかくとして、貧乏性と言いかえたほうがいいのかも。
だったら今日一日をじっくり楽しもうと決め、真瞭は床からすべりおりるとシャワールームに向かったのである。ビッフェの朝食が楽しみだ。
やはり習性、朝食を終えると、もう指はトレーニングの動きをはじめている。防音室を取っているから遠慮はいるまい。はやる気持ちを抑えるように、真瞭はモーニングルーティンたる柔軟体操を丹念に開始した。スポーツ選手とおなじだ。いきなり本格的な運動には入らない。まずはじっくり筋肉をほぐしてからである。
ただ体操しているのも退屈なので、リモコンを取ってテレビをつけた。
朝のニュース番組が流れている。テレビないしスマホでニュースをチェックしつつ腱を伸ばすのも真瞭のルーティンのひとつといえた。
北米の山火事のニュース、政治家のスキャンダルなどといった報道の次に、
「訃報が入りました」
静かな女性キャスターのトーンが耳を打った。
このとき真瞭は画面を見ておらず、深く息を吐きながら屈伸していた。だからニュースに向かっていたのは耳だけだ。それも、サバンナで水を飲むインパラのごとく神経を研ぎ澄ませた状態とは隔たること遠く、こたつに丸まった猫のようにくつろいで、漫然とBGMとして聞きながすような状態でしかなかった。
キャスターの言葉より早くメロディーが流れ出した。
時間にしてせいぜい五秒ほどの短い旋律、しかし瞬時にして真瞭は『知っている音』に身を固くする。
In the Mood――。
いわずとしれたジャズのスタンダードナンバー、だがその音色は他の誰でもない。彼のものだ。
情感をかきたてるテナーサックス、彼にしか吹けない調べである。
スイングする楽曲なのに、胸をしめつけるような哀しみが底流にある。
同時に、太陽のようなあたたかさも伝わってくる。
たとえるならば気まぐれに真冬を訪ねた好天、やわらかな太陽がなげかけてくる光のように愛おしく、またすぐ厚い雲に隠れそうなはかなさもある。
それでいてずっと靱(つよ)いのだ。どんな頑丈な鉄の門だって、たちまち吹き飛ばしてしまいそうなほどに。
そんな彼が、死んだ。
テレビには彼の横顔がうつっていた。真瞭が知らない若き日のモノクロ写真だ。彼に師事したころの真瞭と同じか、せいぜい一二歳ちがいの時代だろう。トレードマークたる口ひげはまだなく、髪も長くて笑顔はあどけない。けれど凜然たる瞳にはすでに、のち世界に羽ばたく才能の片鱗を伝えていた。
まもなくよく知っている――真瞭が恋い焦がれた時代の彼の姿へと写真は切り替わった。
彼はかつて、真瞭の芸大の講師だった。
クラシック専攻の真瞭からすれば畑ちがいのミュージシャンではあったが、すぐれた音楽がつねにそうであるように、彼の奏でる鮮烈な音はどんな人をも夢中にさせた。もちろん真瞭も例外ではない。烈しい音楽性とはうらはらに人格者で、けっして偉ぶらず人の心の機微によく気のつくところ、おだやかで優しい性格も魅力だった。
いわば自分に厳しく他人に優しい。生き方という意味でも真瞭は見習いたいと思っている。
真瞭が彼を慕い、やがて恋と自覚するようになるまでさほどの時間はかからなかった。
苦しい恋だった。堰(せ)き止められた感情は渦を巻いてうねった。どんなに想っても焦がれても絶対に叶わない、想えば想うほどに無残に自分が傷つくような恋だと知っていたからだ。
脳が焼き切れるように暑かったあの夏の日、彼と交わした短い会話を真瞭はいまでもありありと思い出せる。
「ありがとう、気持ちはうれしいよ。……でも、ごめんね。君の想いには、応えられない」
ただの言葉なのに、それも否定の言葉なのに、悔しいくらい彼の言葉は音楽だった。たとえるならマイナー7のアルペジオの後のブルールスケール、あえてノートを強調することはせず、さらっと吹いている風でありながらも忘れ得ぬ哀愁を帯びている。
なんて残酷なのだろう。たとえサックスを手にしていなくても、彼は神がかっているほどのプレイヤーなのだった。
翌年、真瞭がウィーンへの留学を決めたのは傷の痛みから少しでも逃れたかったからだ。
結果として才能を開花させたけれど――真瞭は思う。それは副次的なものでしかないと。
一夜限りの恋は何度か重ねた。でも、本当に恋をしたのはあの人だけだった。
近年の彼は大病を患っていたという話は聞いていた。
それでも彼は、地上にみずからの存在を刻みつけるかのように演奏活動をつづけていた。最後のライブは半年前、真瞭は舞台から遠い席で彼の演奏に酔った。烈火の熱さはなく、その日の雨午後から降り出した雨のように、静かで染み入るようなステージだった。最後の一音、音が消えてもずっと余韻は残った。
彼は、別れの挨拶のつもりで吹いていたのだと思う。
最後まで音楽家だったのね。どんなことがあっても。
そして今日、真瞭は彼の死を知ったのである。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年05月07日
参加申し込みの期限
2023年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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