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どんなことがあっても
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事務所に引き返すと真遠は例の議員について調べた。かつてなら週刊誌のバックナンバーをあさる必要があっただろうが、いまはネットというツールがある。玉石混交ながらすぐに情報は集まった。
奴は神奈川の有力県議だ。複数回の当選を重ねており、次回衆院選で国会への進出を狙っている。もちろん本人が公言したわけじゃないが、まちがいなさそうだ。
出馬すれば当選は確実だろう。政権与党ということもある。選挙区は無理にしても、比例代表の名簿では上位にランクされるはずだからだ。
――ただ、つぎの衆院選で確実に赤絨毯を踏めるかといえばそうでもないんだな。
ここにつけいる隙があると真遠は考える。
奴のボスは国会議員の某で党内派閥『渓流会』に属しているが、渓流会は別の有力派閥『土手派』と対立している。いまのところ渓流会が優位だから奴も国会進出が確実されているのだ。だが土手派だってこの選挙区に自前の議員を送り出そうと狙っているはずだ。
これを利用してあのスケベオヤジを潰すまで行かないしても、瑛美に手出しできないようにはできないか?
真遠はデスクの引き出しを開け、しばらくごそごそとやっていたが、
「あった」
ペンダントトップをとりだした。ビニール袋からだしてデザインを確認する。
以前文梨みちるが商用でこの事務所を訪れたとき、うっかり落としていったものだ。「安物だし」とみちるも特に固執はしなかったが真遠は返すと話していた。けれどうっかり渡しそびれること数度、それっきり忘れかけていたものである。
菱形の硬質なデザインだ。鉄製のパーツもあってどことなく近未来的というかサイバーなイメージもあった。真遠の求める条件にぴったりだろう。
こいつに役立ってもらうとしようか。
真遠は上着を手にした。
まずは瑠住の勤め先に行って許可を取ろう。次に訪ねるのは沙央莉だ。
時間がない。開店時間までにたどり着かねば。
◆ ◆ ◆
その晩、予告通り議員は昨夜と同じ秘書を連れ『プロムナード』を訪れた。
実際にNACCHI(瑛美)を指名することはなくやはり沙央莉を呼んだが、これは議員なりの見栄ないし虚勢だろう。瑛美がヘルプに入るのを見越していたからかもしれない。
ところが今夜は沙央莉しか来ない。ヘルプが入っても揚羽(烏魚子一紗)だった。
揚羽が抜け沙央莉ひとりになったところで、
「おい」
太鼓腹に手を置いて議員は言った。
「昨日のあの娘……たしかNACCHIとか言ったのは来ないのか」
「あら? あの子のことお気に召して?」
「まさか。ただ、どうしとるかなと思ってね」
腹はもちろん顔も、信楽焼の狸にそっくりな老人だ。ただ、狸といっても置物がせいぜいだろう。『古狸』のあだ名をいただくには貫禄が足りない。しょせんは小物である。そして沙央莉は、小物の扱いには慣れている。
薄笑みとともに沙央莉は言ったのである。
「気に入ってらっしゃるのに、おとぼけを」
「とぼけてなぞおらん」
狸の口調に不機嫌さが見え隠れしている。女に反論されるのに慣れていないのだ。だが沙央莉はつきあわず、
「秘書さん」
と呼びかけて胸元のペンダントをひっぱりあげた。
「見覚えあります? このペンダント。昨日瑠住――ああ、NACCHIと秘書さんだけになった席にヘルプで入った子です――その子がしてたんですけど」
嘘である。しかし秘書はつられて、
「……していた気がする」
と自信なさげに述べた。瑠住のことなど秘書はほとんど見ていなかったという読みは的中したわけだ。
沙央莉は艶然と微笑み、ペンダントトップをもてあそびながら言った。
「これね、小型録音機なんですよ実は。ツメのとこ押したら録音開始、けっこうクリアに録れるんです」飾りの突起をわざとらしく指の腹でなでる。「昨日の会話、ばっちり録れてますよ。秘書さんがうちのNACCHIに売春もちかけたところも」
全部はったりだった。そもそもペンダントが小型録音機というところからして偽りだ。言われてみればそういうデザインに見えるだけのことである。
「この場で再生してあげましょうか? スピーカー音、最大にして」
鳶(トビ)のごとく秘書が手を伸ばしたが沙央莉のほうが速い。逃れてペンダントを高く掲げた。
「取り上げても無駄よ。バックアップくらい作ってるから。私や店になんかあったら、速攻でしかるべき筋に送るよう手はずもしてる」
「……わ、わしは知らん。秘書が勝手に」
「そうですこれは私の独断で」
語るに落ちた。
沙央莉は賭けに勝ったのだ。ちなみに今夜のやりとりは、本当にICレコーダーで録音している。
「秘書が勝手に? 数十年前から繰り返されてきた茶番ね。ま、どうでもいいけど」
青ざめる男ふたりを沙央莉は冷ややかな目で見つめている。
「いくら欲しい……?」
「先生それは」
「
てめえら!
」
沙央莉はドレスの袖をまくった。
「見くびるんじゃない。
金なんかいるか!
うちの店には土手派の議員も来るのよ。いつだって録音は持ちこめる。それが嫌ならもうあの子に近づくな、それとジジイ、お前は今期限りで議員引退しろ!」
土手派うんぬんもはったりだが、もう騎虎の勢いというやつだ。彼らにも判断できる心的な余裕はないだろう。案の定、
「引退だなんて……」
まるで潮を浴びたナメクジだった。議員が縮こまっている。しかし、それで許すほど沙央莉は寛容ではない。
「自主的に引退しないなら、土手派とマスコミに引退させていただきましょうか」
返事なんて聞かない。沙央莉は立ち上がり明るい声で黒服を呼んだ。
「お客様お帰りでーす。お会計おねがいしまーす」
あたしはね、とソファに座り直すと沙央莉は言ったのである。
「この店と店の子を守るの、どんなことがあっても。だって私は、絶対不動のトップ嬢だからね」
真遠の席に沙央莉は移動した。
といってもすぐ隣の席だ。なにかあったときに備え真遠はここに控えていたのだ。もちろん一部始終は見ていた。
お疲れと言って真遠は沙央莉に酌をする。素直に受け沙央莉はグラスを一息で乾した。
「あいつら死にそうな顔で出てったぞ。名演だったな」
「何言ってんのよ若先生、ずっとヒヤヒヤしてたってば~」
「最後の啖呵が特によかった」
「やめてよ恥ずかしい。ていうかこの台本(ほん)書いたの若先生でしょ」
「『てめえら』とかそういうのは俺提案してないけど」
「あー、アドリブよアドリブ」
「……名優だよまったく」
それで、と手酌して真遠も自分のグラスに唇をつける。
「今夜のこと、本当に言わなくていいのか」
「NACCHIっていうか瑛美に? 詳細までは明かさなくていいと思うよ。『あのジジイは追っ払った。もう来ない』ってだけ私から言っとく」
あの子も色々抱えてるからね、と告げて沙央莉は腕を組み目を閉じた。ずるずると背もたれをすべって言う。
「あー今日は疲れたー。洗濯物たまってる部屋に帰りたくなーい。先生ん家(ち)泊めてよ、たしかひとり暮らしでしょ~?」
真遠はビールを吹き出しそうになった。冷たいビールで霧吹き芸、冬にやるものではない。
「いや、それ、まずくないか!?」
「なにマジになってんの冗談よ。でも、真剣に誘ってくれるんなら考えてあげてもいいけど?」
「……おっと、明日も早いんだった。そろそろ俺もお会計な」
「おい」
――『どんなことがあっても』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
桂木京介です。ご参加ありがとうございました!!
皆さんの強い心、くじけない気持ち、しっかりと受け止めました。
バラエティに富んだ内容で楽しく読み、かつ書かせていただいております。
リアクションの構成は、今回は時間軸通りではありません。それぞれの話は独立しているのであまり気にせずお読みいただけると幸いです。
それではまた次回シナリオで会いましょう!
ご意見ご感想お待ち申し上げております! 桂木京介でした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年05月07日
参加申し込みの期限
2023年05月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年05月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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