サロネコ1371番外編：和の甘露とちょこれぃとの夜｜リアクション

サロネコ1371番外編：和の甘露とちょこれぃとの夜

＞遠くのあなたへ

（こういうイベントは、一人でも楽しめると思うのだけど）
　と、現在遠距離恋愛中のマリエッタ・ラシュリエはあたりを見て思う。
　彼女は件のイベントに興味があったものの、多忙な為行くことが出来なかった。今回、街中でこの番外編をチラシで知り……現在に至る。
「チョコレートと日本酒の取り合わせ……。変わってるけど面白そうって思って来てみたけど正解だったわね」
　と言いながら、彼女はふふっ、と微笑んだ。手にしているのは、愛らしいチョコレート。口にすると、フルーティーな味わいとお米の香りが口いっぱいに広がった。日本酒のチョコレートボンボンは予想以上の美味しく、マリエッタは上機嫌なようだ。
「予想以上にチョコレートと日本酒って合うのね。だったら、こっちのおつまみもおいしいかしら？」
　といくつかお酒と一緒に楽しみつつ、ニコニコになるマリエッタ。
「あ、そうだ！」
　そこで何か思いついた彼女は、これが動画撮影ができるイベントという事を思い出し食レポ動画っぽいのを撮影してみる。彼氏はお酒が好きなのだ。
（こっちに帰ってきたら一緒に飲みたいお酒もあるし、名前をチェックしておこうかな）
　そんなことを考えていると、ちょっと本人に会いたくなってしまう。
「次に会えるのはいつかな……」
　ちょっぴり寂しくなったマリエッタは、彼の空いた時間にでも電話できないかメールで相談してみよう、とも考えた。

（生ハムの塩味がチョコの甘味を引き立たせて、そこへ冷酒をきゅっと……）
　ある程度動画を撮影したマリエッタは、再び日本酒とおつまみを堪能。チョコと生ハム、冷酒の織り成す味に口元を緩め、幸せそうに微笑む。
「ふふっ、『これぞ贅沢』よね～」
　ほかにもチョコを組み合わせたおつまみがあり、少しずつ頂いているうちに創作落語が始まった。それを聞きながら、冷酒をごくり。
（やはり生で聴くのは配信とかで聴くよりもライブ感があっていいわ）
　小粋な味わいと、楽しい落語。これはこれでまた贅沢かもしれない、と思いながらも脳裏に浮かんだのは浅草の風景。
「今度、久しぶりに行ってみようかな」
　なんて呟いていると、彼氏からメールがあった。なんでも、知り合いに日本酒を送りたいらしい。マリエッタは思わず目を見開く。
（！　だったら、さっきの日本酒とかどうかしら？　聞いてみよう）
　彼女は落語が終わったら早速行動することにした。