サロネコ1371番外編：和の甘露とちょこれぃとの夜｜リアクション

サロネコ1371番外編：和の甘露とちょこれぃとの夜

＞いつかは一緒に

「いい香りがするね。早く飲める年齢になりたくなるよ」
「わかるかも！」
　八神修は、会場内でばったりあった七夜あおいともに日本酒の試飲コーナーを見ていた。さすがに未成年であるため飲むことはできないが、様々な日本酒の香りだけでも興味深い。
「こっちだったら試飲できるみたいだよ」
　あおいに手を引かれて向かったのは、ノンアルコールの日本酒。試しに一口飲めば、フルーティーな香りが鼻孔を通り抜けた。
「美味しい……」
　思わず口にすれば、スタッフが「こちらもどうぞ」と甘酒をくれる。まろやかな味わいで、少し懐かしさも覚え……「これに生姜をいれても美味しいだろうな」と修は瞳を細めた。

「日本酒に詳しいのね。飲んだことあったりして？」
「家の人に聞いたんだ。ふふ、それは想像に任せるよ」
　なんて会話をあおいとしながら、修は麹ホットチョコレートを楽しむ。二人が向かっているのはステージ前。今回は創作落語が聞けると聞き、向かったのだが修にとってはお目当てのイベントだったりする。
　始まった落語を聞きながら、「聞いたことあるかも」と修の目がきらきらする。
（元は『時そば』？　いや、『饅頭怖い』……かな？　なかなかアレンジがいいな）
　ゆっくりホットチョコレートを飲みながら、自然な笑顔で楽しむ修とあおい。
「落語、好きなんだ？」
「まぁね。家の方針で色々学んだ結果だけど……、今思えば趣味が多いと生活に彩があるように思えるんだ」
　あおいが楽し気に問い、修は苦笑しながらも考える。興味深い事、楽しい事は自分の生活に元気などをくれる、と。
　１つ目の演目が終わり、休憩時間。あおいは彼にこんなことを聞いてみる。
「おすすめの演目とか、ある？　ちょっと聞いてみようかな」
「そうだね。今日は日本酒のイベントだし、『芝浜』かな？　これもお酒が絡む噺なんだよ」
　修はちらり、と日本酒コーナーやそれらを楽しむ大人たちを見て頷いた。
　と、その時だ。
「こんばんは。二人も来ていたのね」
　と美和が俊介と共に笑いかけていた。挨拶もそこそこ、イベントの話で盛り上がる４人。その途中、美和はふふっ、と優しく微笑んで俊介になにか話す。と、彼は「それもそうだね」と頷いた。
　不思議そうに修とあおいが様子を伺っていると
「長話も何だし、また学校で。お酒は大人になってから楽しもう」
　と言って美和をエスコートし一礼した。
「もしかして、デートと思われたかな？」
「だったら、嬉しいな」
　あおいの言葉に、修は少し頬を赤くした。

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