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森小路 禮子
(もりしょうじ・れいこ)というのが彼女のフルネームだ。
婚約者、フィアンセ、許婚(いいなずけ)、呼び方は自由だが文也と彼女は、いずれ結婚するよう定められていた。
といっても定めたのは互いの家だ。五歳の誕生日前後、「いずれお前がお嫁にもらう子だよ」と祖母に禮子を紹介されたとき文也はいっこうにピンとこなかったし、その後何年たってもピンとくることはなかった。正直、一度たりとも。
それは禮子とて同じだっただろう。文也を見つめ返す同い年の彼女は、不思議な生き物でも見るかのようにきょとんとした表情だった。
上方(かみがた)にある名家の娘、先祖は公家だったとかなんとか。良縁といって文也の両親も祖父祖母もしきりと喜んだものだが、当時の文也には良縁なるものの意味が理解できなかったし、三十二歳になる現在だって十全に理解できているとは言いがたい。
ただ漠然と、どうやらこの子と仲良くしなければならないらしい、と思っただけだ。
幸い、文也と禮子は気が合った。初顔合わせ以来、定期的に会う機会がつくられたが友達として遊ぶ限りは嫌ではなかった。文也はもっぱらインドア派で読書を好むも禮子は野山を探索するのが好きで、彼を外の世界へ連れ回したものだった。木に登って昆虫を捕まえるのも、川に捕虫網をつっこんで魚を無理矢理捕まえるのもすべて禮子だったが、いちいち文也に成果を見せ、図鑑の知識を実際とつきあわせる助けになってくれた。
だが男女が親しくなればそこに、恋愛感情が生じるとは限らない。
鉄をいくら加工しても金にならないのと同じだ。錬金術はふたりの間に生じなかった。
あどけなき日々の友情とて、長じるにつれ方向性のちがいへと落着してしまった。互いに高校生になるころには文也と禮子は会っても話すことがなくなり、大学生ごろからは親があてがった映画鑑賞や観劇、会食なりをデートではなく単なるミッションとして淡々とこなすだけになった。
そうか、“Glad to see you again.”な場面はたしか、彼女と観た映画にもあったな。
懐かしい記憶ではあったが、それ以外の感慨ましてや感傷は文也にはない。
「私の店なんだ。古書店兼喫茶店、古書喫茶と名乗っているけどね」
と告げて彼女をカウンター席に案内する。
「飲んでいくだろう? 珈琲」
これでようやく金縛りが解けたかのように、ええ、と禮子は短く応じた。
AI操作のマシン製ではなく、手ずから淹れたとっておきを出す。
「どうぞ」
カップとソーサも、特別なときだけつかうものを棚から出していた。
禮子が一口するのを待って、
「久しぶり、元気にしてた?」
親しみをこめて文也は呼びかけた。たとえ恋愛感情が皆無だったとしても、元婚約者だったのは事実だし、友達として遊んだ時期だってあったのだから。
「そうね」
ぼちぼち、と上方アクセントで禮子は言った。間髪入れず「ここの珈琲、おいしい」とも。
「ありがとう」
「お世辞じゃなくてよ。本当にいい珈琲」
「ちがうよ、禮子さんが元気でいてくれたことに対する礼さ」
ふふっと声を出して禮子は笑った。わだかまりのようなものがあったとして、これでいくらか薄れたにちがいない。
「寝子島にはどうして?」
「観光。この島って観光イベント豊富でしょう? その合間を縫って」
たしかにこの島にはイベントが多い。たとえば先日のハロウィン☆デイズだって、国内外から記録的なまでの観光客を集めたと聞いている。もちろんイベント目当てで訪れるのもいいが、寝子島の美しさを楽しむには、何もない期間に来るほうが賢明かもしれない。
「でも私の店は観光客向きじゃないよ」
「そうかも」
また禮子が笑った。どこか冷めた印象のある麗人だが、笑うと少女時代の愛らしさが顔を出す。
充実しているからだろうな。
文也は結論づけている。
記憶のなかの彼女ならきっと、「そんなことないわ」ととりたてて感情をこめることなく返していたと思う。それきり会話はぷっつり絶えて、気まずい沈黙が生まれていたはずだ。
「でも好きよ、ここ。文也、いえ柏村さんらしくて」
「『文也』でいいよ、私だって『禮子さん』と呼んでいる」
「わかった。文也さん」
しばらく文也は、店の由来や寝子島の日々について禮子に話した。同じく寝子島在住の甥とは、もちつもたれつ楽しくやっているということ、店は基本暇だが、少ないながら常連がいて親しくしているということも語った。レトロな店内だがAIコーヒーメーカーをはじめ、いたるところにハイテク機器を導入していること、古書の管理もパソコンで行っていることなども。
「だとしたら、私からも『ありがとう』やね」
「どうして?」
「文也さん、元気そうだから」
「元気だよ」
文也は目を細めた。
「本当に元気だ。日々充実している」
そうか俺も……充実しているのか。
口にしてはじめて、文也は気がついたように思った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年03月30日
参加申し込みの期限
2023年04月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年04月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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