GOOD BYE YESTERDAY｜リアクション

GOOD BYE YESTERDAY

　あたたかいとはいえやっぱり十一月だ。ふわっとした空気に冷たいものが混じりはじめた。
　ラッセルは立ち上がって制服のズボンをはたいている。はたきながら考える。
　でも、向き合うこと、一緒にいたいと声を出すことも大事なことじゃなかったのか？
　反対に同じことを思ってたから今があるとも思う。遠慮や逃げで。
　ため息がこぼれた。
　不器用だなぁ……。青春らしいっつーか。
　不器用の主語は誰になるだろう。『俺』か。それとも『俺ら』か。
　後悔しない、んだろ。
　一生分の後悔はもうしたから後はやりきるだけだ。
　声がでない恐怖はもういらない。思いちがいが原因で悲しみに曇る顔はもう見たくねぇ。
　俺は言葉が出せるんだ。
　そう。
　言葉が出せるんだ。
　ラッセルは空を見上げた。やっぱり快晴だ。うんと青い好天だ。
　スケッチブックを開け、白紙のページを一枚破った。
　さっきみたいに緻密に時間をかけない。さらさらと晴月の絵を描き、「まってるぞ」の一言を添えた。
　晴月なら差出人は書かなくたって、きっとわかってくれるはずだ。
　スケッチブックを折って紙飛行機にした。翼の左右のバランスもいい感じだ。
　風の力を借りて遠くまで飛びそうだろ。

　
　ラッセルは紙飛行機を投げる。風を背にして。
　うまく気流に乗ったようだ。紙飛行機は飛んだ。すうっと滑るように。
　飛んだ。川を越えてまだ飛んだ。
　着陸する気配はない。追い風のせいかむしろ勢いを増していく。
　すげーな、いくらでも飛んでくぞ。
　風が強くなってきた。紙飛行機が小さくなっていく。
　風にまじって、懐かしい匂いがしたような気がした。

――『GOOD BYE YESTERDAY」　了

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございました。読んでくださりとても嬉しいです。
　マスターの桂木京介です。

　ほぼ時系列順で書いておりますが、構成の都合で入れ替わっている部分もあると思います。ご了承ください。

　リアクション本文中に登場する成小瑛美の物語はガイドから連続しているわけではありません。ガイドの数日後とお考えください。（どうやら彼女は、最初のコンビニバイト応募には不採用だったようです）

　ご意見ご感想は私の活動源です。いただいたFLは執筆中しんどくなるたびに読み返しています。本当に楽しみにお待ちしております。

　それではまた、次回シナリオで会いましょう！　きっと来てくださいね。待ってます。
　桂木京介でした。

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