【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

「銀河パーティー、楽しそうだねぇ！」
　寝子小5年生の曖浜瑠樹は、寝子祭のポスターを見て参加してみたくなった。
「前夜祭は寝子高生のみ……寝子高生じゃないけど、参加したいなぁ」
　迷った瑠樹は、ついに決断した。
「こうなったら、こっそりこそこそ紛れ込むよぉ」
　寝子高の校内には猫さんがたくさん迷い込んでいる、という話を聞いたことがある。
　子供が一人くらい入り込んでもわからないかもしれない。
「銀河に関係した服を着ていけばいいんだねぇ。星の着ぐるみとかなら正体を隠せるかも……」
　と思ったけれど、残念ながらそんなものは持っていない。

　そして当日。
「星柄の上着を着てきたよぉ、これで大丈夫かなぁ？」
　どきどきしながら前の人に続いて入ろうとする。
（あ、星型のうちわ……ほしいけど、気づかれたくないしねぇ）
　葛藤した瑠樹だが、そっと手を出してみた。
　受付のお姉さんは、とがめることなく星型のキラキラ光るうちわを渡してくれた。
（やったぁ）
　無事中に入れた瑠樹は、講堂の天井を見あげて息を呑んだ。
「星がキラキラしてて……星空の中でパーティーしてるみたいだよぉ！」
　
　瑠樹は、食べ物や飲み物が並んでいる立食パーティーのコーナーを見つけた。
　並んでいるジュースを取り、美味しそうなマカロンやスティックケーキを手に取るとその場を離れた。
（長居するとみつかっちゃうかもしれないからねぇ）
　２階の座席に移動して、のんびり座って休憩しながら１階を眺める。
「あれ？　瑠奈お姉さん？　歌じょうずだねぇ！」
　思いがけずステージに知り合いのお姉さんの姿を見つけ、喜ぶ瑠樹だった。

「ウォルターさん」
　２階でようやくウォルターの姿を見つけ、柚春は声をかける。
（今日の僕は生徒だ。お祭りで浮かれた生徒なら、少し甘えてみてもいいかな？　『今は』生徒だけど……いつかは、ね）

「やあ、楽しんでるかなぁ？」
　上着の胸に星をつけたウォルターはそれ以外は普段と変わらぬ姿だったが、柚春にとっては誰よりもまばゆかった。
「ウォルターさん、今年は景品になってるんですか？」
　そう尋ねる柚春に、ウォルターは目を丸くする。
「ああ、去年そんなイベントもあったけど、今年はないよぉ」
　その答えにほっとしながら、聞いてみる。
「明日は忙しいですよね？　華道部の展示や射撃部でゲームとか、風紀委員会とか」
「まあ、年に一度のお祭りだしねえ。体が二つ欲しいけど、できる範囲で動いてみるよぉ」
　そう言ったウォルターは、周囲に視線を向ける。
「ああ、射撃部ではビームライフルの試射ができるから、興味があったらやってみるといいよぉ」

（ドレスコードが“「銀河の果て」を感じるナニカ”ってことだし、こんな感じでいいかな？）
　佐藤英二は制服に星形のバッジを複数つけて、親しい友人であり気になる女の子である野々ののこを探した。
　

「野々さん」
　ののこは星の模様がついたTシャツを着ていた。
「えっと、その、一緒に銀河パーティーに行かない？」
（決してデートとかじゃないけど……）
　なぜか自分に言い訳してしまう。　
「うん、行こう！」
　ちょっとドキドキしている英二の思いに気づいた様子はなく、ののこは屈託ない笑顔で首を縦に振り、歩き出す。
「あっ、待ってよ野々さん」
　キラキラに装飾された銀河パーティーの会場を、ののこを見失わないように英二は懸命について行った。
「英二くん、何食べたい？　このサンドイッチおいしそうだよ～」
「うん、じゃあ僕もそれ食べようかな」　
「英二くんは今年の寝子祭、どうしたい？」
「そうだな……３年生で高校生活最後の寝子祭だし、じっくり、のんびり楽しもうって思うよ！」」　