【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

「ついに高校最後の寝子祭だね！」
　恵御納夏朝は、金色の星飾りを使ったドレス姿で恵御納夏夜と一緒に星型のキラキラ光るうちわを受け取った。
「綺麗だね」
　うちわを見て顔を輝かせる夏朝。
　その隣で銀色の星飾りを使ったドレス姿の夏夜は、キラキラ光るうちわを手に、
「……大切にしよう」
　とつぶやく。
　去年は夏朝の計らいで夏夜も一部参加できていたけれど、分離後夏朝と並んで楽しむ初めての寝子祭だった。

　普段は寝子高生として普通に過ごしている夢宮瑠奈は、アイドルグループ『CitrusCat's』の末明（ほのか）せれねとしての顔を持っている。
　アイドル衣装を身にまとい、瑠奈はステージに立った。
　アップテンポの、宇宙船が飛び立つようなイメージの曲が流れる中、スポットライトに照らされて瑠奈は歌う。
　これからのみんなを押し上げていくような、力強い歌。
（あたしは今年で終わりだけれど、寝子祭はずっとずっと続いてほしいね）
　そんな瑠奈の思いは伸びのある歌声となって、お祭りを盛り上げていく。
（もりあげて、もりあがって）
　そんな風に、お祭りは熱気に包まれていった。

「夢宮さんだ！　すごいステージ！　盛り上がってるね」
　こんなに賑やかで猫さんたちはびっくりしないかな、と夏朝はちょっと心配になるけれど。
「でも毎年のことだし、寝子祭の間だけ勘弁してもらおうかな」
　うきうきしている自分を感じる夏朝。
「夏夜ちゃん、楽しい？」
　クールな表情の夏夜に声をかける。
「ああ。夏朝は？」
「僕も、とっても楽しいよ」
　少し口元を上げて頷く夏夜。
「立食パーティも行ってみようよ」
「うん」

　いつも夏朝と夏夜と一緒にいる、橙布製猫パペットの付喪神えみなハルくん。
　だが今日は、愛らしい人間の少年の姿で前夜祭に参加すべく別行動していた。
（宇宙にちなんだ服装って、こんなんでいいかにゃ？）
　考えた結果、星がついたマントを羽織っている。
「うちわもキラキラ素敵なのにゃー！」
　目を輝かせたハルくんは、見とがめられることなく生徒たちの中に潜り込んだ。
（立食パーティ、おいしいもの色々食べたいにゃ）
　おいしそうなサンドイッチやケーキの乗ったパーティのテーブルへと近づいていく。
（食べられるって最高だにゃ）

「あっ、ハルくんだ」
　その猫耳に、夏朝が気づいて声を上げる。
「ハルくんも参加してるね」
　夏夜が頷き、
「ハルくんも楽しんでる？　なら僕も嬉しい！」
　声を上げる夏朝と共に、夏夜も思っていた。
（君や夏朝が楽しんでるなら、僕も嬉しい）
「このサンドイッチ、とってもおいしいにゃ。かーさとかやも楽しんでるかにゃ？」
　ハルくんも二人の姿に気づいて尋ねる。
「うん、とっても楽しいよ。僕もそのサンドイッチいただこうかな」
　夏朝は笑顔でサンドイッチの皿に手を伸ばすのだった。
「みんなで食べると、もっとおいしいにゃ！」
　嬉しそうなハルくんに、夏夜も笑みを浮かべた。

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