【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

（珪先生を誘いたかったけど忙しそうでしたから）
　綾辻綾花は、後夜祭だけはずっと早川珪先生と一緒に居れたらいいなと思っていた。

　少し離れてフォークダンスやキャンプファイヤーの炎を見ていると、珪先生がこちらに近づいてきた。
「珪先生、お疲れさまです」
「綾辻さん。楽しかったかい？」
　いつものように笑顔を見せてくれる珪先生からは疲れた様子はあまり感じられなかったけど。
「ええ、いろんなところを回って楽しかったです」
　綾花は、さっき買った温かい缶コーヒーを差し出す。
「忙しかったでしょう。今はゆっくりしてください。座りませんか？」
　ベンチを示す綾花。
「ありがとう。お金、払うよ」
「いいんです、そんなの」
「いや、受け取ってほしいな」
　缶を受け取って、珪先生は律儀に硬貨を差し出す。
「……それじゃ、いただいておきますね」
　缶の熱の代わりに、珪先生の握った小銭のぬくもりがほんのりと綾花の手に伝わった。
　二人でベンチに座り缶コーヒーに口をつける。
「準備から終わるまであっという間ですね」
「そうだね」
「なんだかそう思うと寂しいです」
　
　それから綾花は、鞄から本を取り出した。
「珪先生、星の本を持ってきたんですけど花火まで天体観測しませんか？」
「そうだね。確かに今日は星がよく見える」　
「冬のダイヤモンドって呼ばれる星もあるみたいです」
　綾花は膝の上で星空の本を開いた。
　珪先生が覗き込むと、自然と肩を寄せ合う形になる。

「冬のダイヤモンド……どれかな？」
　珪先生の言葉に夜空を見上げると、綾花の視界で星が動いた。
（あっ、流れ星！？）
「珪先生、今流れ星が！」
「ああ」
　指さすほうを、珪先生も見ていたらしい。
（一緒のタイミングで見れたの、なんだか嬉しいです）
「珪先生はお願い事しましたか？」
「えっ？　いや、間に合わなかったな」
「私も間に合わなかったけど……珪先生と一緒に見れたからもう叶ってるのかな」
　綾花はそうつぶやいた。

　ドーン！
　花火が始まった。
　光の花に見惚れた綾花の視線が下に向く。
　珪先生の端正な顔を様々な色の光が彩っている。
（花火に照らされる珪先生もカッコいいです）
　綾花は勇気を出して珪先生に近づき、傍に寄り添うように座った。
　珪先生は何も言わなかった。
（花火が終わるまではこのままでいたいです）
　ドーン！
　上がった花火を見て、綾花は思わず声を上げる。
「猫型の花火も！？」
「すごいね」
「ええ、星に負けないぐらいキラキラしてます」
　花火が開き終えた後消える寸前の火が、キラキラと胸に残った。

「……先生はこの後も忙しいんですか？」
「えっ？　まあ……」
「一緒に帰れたら良いなって思ってるんですけど。もし仕事が残ってるなら待っててもいいですか？」
　綾花は珪先生を見つめて言った。
「寝子祭でなかなか会えなかったから、少しでも一緒に居る時間を増やしたくて」
　珪先生は綾花を見つめた。
　そして、そっと綾花の頭に手を置いて、言った。
「僕の一番大事な仕事は、綾辻さんを安全に送り届けることだよ」
　猫鳴館のあたりは暗いからね、と付け加える。

　そして二人は、一緒に帰途についたのだった。

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あとがき

担当マスター：天村花海
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大変お待たせいたしました。ご参加ありがとうございました。

これだけの人数、量を書かせていただいたのは初めてかもしれません。
今までイベントシナリオを書かれていたマスターの皆様はすごいなと感心させられました。
最初は雲をつかむような気分でなかなか進みませんでしたが、少しずつ形ができてくるにつれ皆様の素敵なアクションにエネルギーをいただいて、楽しく書けるようになりました。

参加してくださったすべての皆さまに感謝を。
寝子高での思い出として心に残るものでありましたら幸いです。

またご縁がありましたら、皆様の今後を書かせていただくのを楽しみにしております。

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