【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

「こっちではコンテストをやっていますね」
　生徒会の広報としてカメラを構え、なぜか頭に猫（万条幸次）を乗せて取材にやってきた愛猫萌々子。
「どんな人が出場するのか……」
　ところが、取材しようとスタッフに声をかけようとしたら逆に捕まってしまった。
「そこのあなた、ミスコンに出てください」
「え？　私ですか！？」
　耳を疑う萌々子。
「そう、ちょっとパフォーマンスしてくれればいいんです」
「そんな、何のコスプレもしていないしパフォーマンスと言われても……」
「今回は水着部門はないし、制服のままで全然大丈夫です」
　あれよあれよといううちに、カメラを預かられてステージに押し出されてしまった。
　猫になった幸次を頭に乗せたままで。

（ステージに上がっちゃった！？）
　降りるに降りられず戸惑う幸次。
　猫の出現に、瑠樹は目を輝かせる。
「猫さんだ！　可愛いねぇ、和むなぁ……頑張れー！」

　戸惑っているのは萌々子も同じことで。
　マイクを向けられ、何かしゃべらなければ、と焦る。
「えーっと、2年生の愛猫萌々子です……生徒会会計です。ここまで来てしまったのなら私の届けたい思いを、何か」
　そう言った萌々子は頭から幸次をおろして抱っこした。
「この人……あ、じゃなくて猫！　私は彼のことが大好きです！」
　伝わる体温の温かさに力をもらい。
　驚く幸次を抱きしめながら、萌々子は続けた。
「出会ってから、いつもの風景も一緒にいるだけでふわっと明るくなりました。過ごせる時間が楽しくて、これからもずっと２人でいたい」
（しかも愛の告白大会みたいになってるー！？）
「この思いはきっと地球を突き抜けて銀河まで……！」
　照れるけどここは精一杯返さなきゃ、と意を決して幸次は声を上げる。
「にゃあああん！！！」
(愛猫さん、俺も好きだよー！！！)
　猫語がわからない萌々子にも、気持ちはちゃんと伝わっていた。
（多分、熱いペット自慢だと思われましたよね？　それでいいですけど）
　アピールタイムが終わり、暖かい拍手が湧きおこる。
「猫さんはミスター寝子島になれないのかねぇ。オレが審査員なら投票するんだけど」
　拍手を送りながら瑠樹はつぶやいた。

　萌々子は司会のコメントを聞くこともなく、幸次を抱いたままステージをおりて、逃げるように走り去った。
「人がいない校舎裏まで来てしまいました……」
　抱っこしていた幸次を地面に下ろすと。
（ここならいいよね、ろっこん解除！）
　人の姿に戻った。
「さっきはありがとう、本当に銀河に届きそうな勢いだったよ」
　幸次の言葉に、萌々子は頬を染めた。
「さっきは勢いで言ってましたけど……思ってることは本当です」
「俺も、一緒にいる時はもちろんだけど、会ってない時は何してるんだろうなって考えてたりするのが楽しくて…… 愛猫さん、俺も好きだよ」
　萌々子を後ろから抱きしめる幸次。
「きゃっ！　こんなところで抱きしめて、人が来たらどうするんですか」
　慌てる萌々子だが。
「猫の時に抱っこしてくれてたから今度はぎゅっとする番」
　悪びれない幸次に、笑みを漏らす。
「ふふっ、でも嬉しいです。この後は一緒に回りましょうか」
「ああ……ずっとここでも良かったけどそろそろ戻らないとかな」
「猫じゃなくて人の姿で」
「うん、さすがに在校生最後の寝子祭がずっと猫のままなのも勿体ないからこのまま出ようかな。猫の撮影で慣れてるからカメラ係として手伝うよ」
「じゃあ……カメラ係をお願いしますね」
　渡したカメラを萌々子に向ける幸次に、萌々子は釘を刺す。
「私の写真ばっかり撮ったらダメですよ？」