【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

　鴻上彰尋は、星が好きだ。
　夜たまに海岸で眺めたりするくらいには好きなので、テーマが決まった時嬉しかった。
（今年で文化祭も最後か……寂しくもあるけど、悔いのないように思い出を作りたいな）
　去年の寝子祭では放送部員として忙しく裏方を務めていたが、今年は後輩に引き継いでいる。
　当日のアナウンスを（頑張ってるな）と安心し頼もしく聞いていた。
　美化委員としての仕事はあるが、それは終わってからの片づけなので今年はフリーに楽しめる。
「いや、クラスの出し物のシフトがあったな」
　胸が騒ぎだすのを感じた。

　シフトはあおいと一緒だった。
　客が途切れた受付の合間にあおいが言う。
「彰尋くん、今年はミスターコンテストに出ないの？」
　覚えてたのか、とちょっと焦る彰尋。
「いや、去年は成り行きで……今年はもういいかなって。……あの、あおいさん」
「何？」　
「この後寝子祭を一緒に回らない？」
　瞬きの後、あおいは笑顔で答えてくれた。　
「ちょっとならいいよ。彰尋くんはどこに行きたい？」
「よかった。……そうだな、プラネタリウムなんてどうだろう」
「いいね」
　　
　教室に入ると、部屋いっぱいにダンボール製のプラネタリムが作られていた。
「すごいね。どうやって作ったのかな」
「そうだね……ダンボールでこんなに綺麗な星空が映るんだ」
　楽しそうなあおはいの隣に座り、季節の星座の説明を一緒に聞く。
「……この4つの星は『ペガスス座』の胴体をつくる星であり、『秋の四辺形』と呼ばれています」

　あっという間にプラネタリウムは終わり、ダンボールから出るとあおいが言った。
「本物のプラネタリウムみたいだったね」
「本物のプラネタリウムはあんまり行ったことがなくて。今度行ってみたいなって思ってる」
　彰尋がそう言うと、
「そうだね、寝子島にはプラネタリウムないものね」
　答えたあおいに、彰尋は思い切って言葉をかけた。
「……今度良かったら一緒に行かない？」
（あおいさんと一緒に行きたいな）
　だめもとの誘いに、あおいは少し考えて答えた。
「いいよ。今度都合を教えてね」