【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

「昨年は生徒としてこの場におったのに、今年はもう違うんですよね。ちょっと不思議な気分です」
　卒業生の倉前七瀬はパンフレットを手に、にぎわう寝子高構内を見つめた。
（どんな出し物があるか楽しみですね。せっかくやけん、ウォルターさんにも会えると嬉しいんですけど……）
「ふむん、どこから見て回りましょうか」
　パンフレットをじっと見つめて考え……

「……ても仕方ないですね！　気の向くままにぶらぶらしてみましょう～」
　活字中毒の七瀬は文章が書いてある展示を見つけると、つい立ち寄って読んでしまう。
　速読とはいえ文芸部や生物部の展示を見てまわると結構時間が過ぎて、お腹が減ってきたので軽食を買った。
「音楽が聞こえてきますね」
　食事の後は、音楽につられて中庭のライブに行ってみたりして。
「ふむん、アイドル活動研究部ができたとですか」
　物販ブースにおかれた部の紹介ペーパーをもらってきたり。
「さすが寝子高です。あてもなく歩いてるだけで何かがある。計画を立てないことの、なんて楽しいことでしょうか！」

　歩いていると、見知った姿をみつけた。
　つい声が弾んでしまう。
「ウォルターさん、奇遇……ではないですね。先生なんやけん、おって当然でした。こんにちはー」
「やあ倉前、君はもう学生じゃないんだったねえ。なんか不思議な感じだ」
「今日は卒業生として遊びにきました」
（本当いうとウォルターさんに会いたいなとも思って来たんですけど……）
「ウォルターさんが受け持っとるクラスや部活は何かやってますか？　もしよかったら、案内してくれませんか？　一緒に見て回りたいです」
　思い切って口に出してから、
「なーんて、ウォルターさんはお仕事中なんやけん、そんなわがまま言ったらだめですよね」
　言い過ぎたかな、と冗談めかす。
（会えただけで嬉しいですけん）
　断られたら1人で散策を再開するつもりだった。
　だが、ウォルターは笑みを浮かべた。
「ちょっとならいいよお。遊びに来てくれた卒業生につれなくはできないからねえ」
「本当にいいんですか！？」
　驚きつつ、飛び上がりたい気分で七瀬は声を上げた。
「射撃部はレーザーガンの試射をやってるよぉ。行ってみようか」
「はい！」

「これがビームライフルだよぉ。銃の先についているフロントサイトと、手前のリアサイトを使って標的を捉える」　
　簡単にウォルターが説明してくれた。
「ふむん、これが重なったら撃つとよかですか」　
　七瀬は試しに銃を構え的を狙ってみる。
「ああ、そこはもうちょっとしっかり押さえて、ぶれないようにして狙うといいよお」
「はい！」
「あー、ちょっと力みすぎたかなあ」
　狙いはそれたが、七瀬は満足だった。