【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと｜リアクション

【寝子祭】届け銀河の涯てまで！　輝きをキミと

　仙藤蒼にとっては、入学して初めて迎える寝子祭。
　中学３年の時、寝子中文化祭（通称「ちゅー祭」）の実行委員長として駆けずり回っていたことが懐かしく思える。
「でも、寝子祭で実行委員長やれって言われたら多分、私に務まるとは思えないな」
　蒼のクラス1年1組の出し物はストリートダンスだ。
（奇しくも去年、ちゅー祭でのクラスの出し物がそうだったのよね）
　さすがに去年とは別の曲だが、去年経験済みだから練習もすんなり入れた。

　そしていよいよ本番。
「緊張するね……」
　そう漏らすクラスメイトの気持ちはすごくわかるけれど、蒼はあえて元気に答える。
「練習通りにやれば大丈夫！　ちょっと間違ったって気にしないで続ければいいのよ」
　その言葉にクラスメイトはほっとした顔になった。
　蒼は今までゲームの大会で、緊張する局面を何度も乗り越えてきている。
（一つのミスが命取りになるゲームと比べたら、大会でもないステージなんて、なんてことはないじゃない）
　みんなと振りを揃える難しさはあるものの、いわば音ゲーと一緒でタイミングさえ合えばいい。
　集中力さえ途切れなければいける、と思う。

　いよいよ幕が開いた。
（１、２、３、ジャンプ！）
　軽快な音楽とともにジャンプし、ターンを決め、スポットライトを浴びながら、蒼は踊る。
　無我夢中で、とにかく全力投球しながら笑顔を客席に向けることは忘れない。
　幸いみんなも目立ったミスはなく、無事決めポーズ。
（ちゃんと踊れたかな？）
　その疑問に、盛大な拍手が応えた。

　２年生の愛猫萌々子は、生徒会での広報用に寝子祭の様子を写真に撮っていた。
　そして交際している万条幸次は、一風変わった姿で寝子祭に参加していた。

　風紀委員(現生徒会役員)の彼女が不純異性交遊してると誤解されないため学校では極力会わない、と決めている。
「だから寝子祭も我慢する……と思ったかニャ？　今日は寝子祭だから猫1匹混ざってたぐらいで問題にならないよ」
「え、まさか……」
「撮影の邪魔をしないようにするから。ということでろっこん猫チェンジ！」
　目を閉じて念じた幸次はみるみるうちに猫に変身した。