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今夜、なにする?
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●今夜、なにする?
東京は煌びやかな街だ。
残業中のビルの窓は星々よりも明るく瞬き、夜じゅうとは言わずとも深夜まで営業する店々も思い思いの灯りをつけて、まるで誘蛾灯のように人々を誘っている。
スタジオでの撮影を終えた
初瀬川 理緒
と
佐和崎 紗月
は、そんな東京の街を歩いていた。
街路時計が示す時刻は午後8時過ぎ。
紗月は上着の前を掻き抱く。
「さすがに肌寒いね」
「11月だしね。でも、プールでの撮影からの帰りに比べたらマシだと思わない?」
「ふふっ、それは思う」
理緒と紗月は大学生モデルで、グラビアの仕事などでは季節を問わず水着の仕事もある。
そういう日の帰りは体の芯がうんと冷えている。
今日の仕事はドレスだったからそこまでではない。
それに今夜はふたりで過ごすと決めているから――。
「今夜、なにする?」
理緒は紗月の耳元に囁いた。
とはいえ、これと言ってなにか思いつくわけでもなく。
ただこうして二人で寄り添いながら歩いていくだけで十分、という気すらする。
自然と腕を組む。
けれど誰も注目しない。それが心地いい。
煌びやかな夜の都心では、自分たちはただのモブだ。
寝子島ではやはり有名人とみられて騒がれてしまうだろうけど、東京には無関心という名の自由がある。
(ああ、)
理緒は街の灯りを見上げて感慨深く思う。
(……
あのハロウィン
から数週間……)
――『親友同士』でいることに、もう耐えられないの!
――言葉でもキスでもいいから、私のことを恋人として愛してるって言って!
ステージの上で、ウェディングドレスの衣装をまとった紗月はそう言った。
ステージを取り囲む数百人を証人にして、キスをしたあのハロウィンのステージ。
(あの日、あたしたちは「親友」から「恋人」になった)
そう、宣言した。
紗月の想いに応えたことを、理緒は後悔していない。
トップモデルへの道を登りつつあるふたりのカミングアウトに、SNSも報道も騒然となった。
思った以上に応援の声が多かったのはありがたいことだが、今の日本では、まだまだ女性同士のカップルは奇異の目で見られることもある。
1週間ほど賛否両論の大騒ぎが続き、けれど、すぐに別のネタに移って。
今では騒ぎはやや落ち着いた──そう思って油断していた。
「キモッ」
短くも鋭い棘ある言葉が、耳に飛び込んできた。
紗月がビクッと肩を震わせる。
すれ違いざま悪意を放ってきたのは、酔っているらしいスーツ姿の若い男性三人組のうちの一人だ。
理緒が視線を向けると、男はニヤと笑い、
「お前らアレだろ……」
と悪意を膨らませて何かを言いかけた。
続く言葉が紡がれる前に理緒は口の端を強く引いて微笑む。
「何かご用?」
相手の目を見つめるその微笑みには、凄みがあった。
理緒は圧を込めて畳みかける。
「ケンカなら上等だよ?」
「な……」
男はひるんだ。やめとけよ、と周りの男たちがも止めに入る。
ふん、と、ポニーテールを翻して、理緒は紗月の手を引いて足早にその場から立ち去る。
「り、理緒ちゃん……」
戸惑いがちに紗月がついてくる。
いいのかな、と振り返りかける紗月の手を、理緒は無理やり引いた。
「紗月、振り返らない。つまらない奴とつまらないトラブルを起こすヒマなんてないんだから」
理緒はパチンとウィンクする。
紗月は理緒を尊敬した。
心無い言葉に傷つきそうになったけれど、理緒はそれを跳ね返す力があるんだ。
それは場数なのかもしれなかったし、もともと持っている強さなのかもしれないけれど……。
人前に出るということはいろんなことを言われるということ。
それに理緒は自分より慣れているのかもしれない。
東京副都心と湾岸の有明とを結ぶ臨海線『ゆりかもめ』に乗る。
車窓から、東京の夜景が一望できる。
赤く輝く東京タワー。
虹色にライトアップされたレインボーブリッジ。
海に向かって並び立つ高層マンションたち。
お台場で降り、巨大観覧車のあるショッピングモールのテラスへと行く。
煌びやかな夜景は目に染みて、肩を寄せ合った瞬間に、紗月は理緒と一緒にいる安堵感に負けた。
「理緒ちゃん……」
ぽろりぽろり、涙が零れ落ちてくる。
「紗月?」
「ううん、ううん……なんでもない」
何でもない、と言いながら、ボロボロと零れる涙を止められない。
『キモッ』
たった一言。
きっと本人にとってはなんてことない悪意の言葉が、ナイフとなって深く心に刺さってしまっている。
(……わかってる。そうだよね。キモいよね。そんな子のグラビア写真なんて、見たくもないよね)
自分の中から聞こえてくる声。
それは罪悪感という名前なのだろう。
秘密にしていたことを自分が明かしてしまった。
自分だけなら、それでもまだ良かったのかもしれない。
そこに理緒も巻き込んでしまった。
モデルとしてキャリアも才能も未来もある理緒を――。
「ごめんね、理緒ちゃん……」
そんな言葉しか出ない。
「わかりきっていたはずなのに。覚悟もできていたのに。でも全然ダメだよね……」
理緒みたいな強さが、自分にもあったらよかったのに。
全然だめ。
涙が止まらない。
泣きじゃくる紗月の震える肩へ、理緒の手がやさしく回された。
そうして紗月の涙が止まるまで、理緒は何も言わなかった。
「ここからの夜景って最高だよね」
紗月が落ち着くのを見計らって、理緒はぽつりと言った。
顔をあげると、星空に勝るとも劣らない都会の灯りたちが目に飛び込んできた。
紗月は頷く。ここからの夜景は、理緒の言う通り最高だ。
理緒はすうっと息を吸い、悪いものを全部吐き出すみたいに息を吐く。
そうすると、人の悪意が煌めく夜景に吸い込まれていくような感じがした。
「ね、こうすると、さっきみたいな嫌なこと忘れられるしさ」
「そうだね……」
紗月も理緒をまねて深呼吸をする。
「ここからの夜景は最高」
ようやく紗月の口元に笑みが戻って来たのを見て、理緒は続けた。
「でもね、紗月。あたしひとりでこの夜景を見てもつまらないよ」
紗月は夜景から視線を動かし理緒を見つめる。
理緒は夜景を見つめたまま、自分の心を整理するように訥々と続けた。
「あたしは紗月と一緒にいろんなものを見たいんだ。一緒に同じ場所にいて、同じ時間を過ごして──感じることはきっと一緒じゃないこともあるかもしれないし、時折考えが合わずにぶつかるかもしれない」
「うん……」
「それでも紗月とだったら、きっと大丈夫だと思う。……ううん、思うんじゃない、絶対大丈夫!」
理緒は、自分に言い聞かせるみたいに語尾を締めた。
それで気づいた。
理緒ちゃんだって怖いんだ。
大丈夫、って言葉にして、自分を奮い立たせているんだって。
強くて遠く見えていた理緒が、途端に近く感じられて、紗月の胸の中がじんわりと暖かくなる。
それから理緒は独り言のように言った。
「……紗月、あたしの『カノジョ』になってくれてありがとう」
それ以上、言葉はいらなかった。
恋人は、自然と顔を寄せ合い、キスをする。
――今夜、なにする?
何もしない。
ただただ、夜に、心寄せ合う――。
<了>
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あとがき
担当マスター:
笈地 行
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございます。笈地です。
3月上旬、久しぶりの海外旅行に行って来まして、休み明け一発目のガイドでした。
「アドリブ」コースが思いのほかご好評いただけて
7割くらいの方はアドリブで執筆させていただきました。
また機会があればやってみたいですね。
毎年、年の初めには初夢シナリオということで
イラストに合わせたアドリブのシナリオを様々なマスターさんが書く企画があって
私も参加させていただいたことがありますが、あちらは基本夢なのに対し、
今回は基本夢オチなしとなっております。
みなさまの日常の彩りとなる1話になっていれば幸いです。
それではまた別のシナリオでお会いしましょう。笈地でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年03月20日
参加申し込みの期限
2023年03月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年03月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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