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寝子島・大正・町歩き。
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ほかほかのラヂヲ焼きが乗った舟を手に、
ゼロ・シーアールシー
は思う存分、食べ歩きを満喫していた。丸く焼いた生地と、その中に閉じ込められたスジ肉をはふはふしながら頬張って、口一杯に広がる甘じょっぱさに目を細める。
「おっ、あちらは一銭洋食の屋台ですね」
香ばしいソースの匂いに惹かれて視線を向ければ、平たい生地の上に申し訳程度に具の載った、ソースたっぷりの一銭洋食が今まさに美味しそうに焼き上げられている所。出店によって具材の違いがあって、此処はどうやらかまぼこを乗せて焼いているらしい。
店主と「もうちょっとかまぼこを乗せて下さいー」「これ以上は無理だよ!」と交渉し、カツオ節をおまけしてもらう事で手を打って、ゼロは一銭洋食も手に入れた。ラヂヲ焼きを全部お腹に収めてから、満を持して齧り付けば口一杯にソースの風味が広がる。
ふふー、と満足げに口を動かし、あっという間に食べ切ったゼロは、けれどもまだ物足りないとお腹を撫でる。ラヂヲ焼きも一銭洋食も、どちらかと言えばおやつの部類であって、お腹が膨れるというものではない。
とはいえゼロの食した量を鑑みれば多少の満足は覚えていてもおかしくないが、どうやら彼女の胃はそんなものでは満足しないようだ。そろそろしっかりとした食事もしたいですー、と道々にまた串焼きなどを食べつつ歩き回れば、立ち食い蕎麦の屋台に行き会う。
おっ、と瞳を輝かせて、ゼロは屋台に近付いた。
「鴨蕎麦をお願いするのですー」
「アイヨ!」
昼時を過ぎて客足が遠のき始めているとはいえ、立ち食い屋台は手軽さが売りだ。注文したゼロが屋台近くに設えられた卓に付いたと同時に、ホカホカと湯気を立てた鴨蕎麦がドン! と眼前に置かれる。
何でも出来立てが一番だと、早速蕎麦をすすってゼロは満足げな息を吐いた。
「美味しいのですー」
お世辞ではなく文句なしに、蕎麦は細めながらしっかりと香りが立ってコシがあり、のど越しのキレも良い。麺に纏わりつくつゆはカツオ節と昆布の旨味がしっかりと感じられ、それでいて鴨のつくねとの相性も抜群だ。
何より、鴨の脂に分厚くおおわれているのでつゆが熱々で、晴れているとはいえ冬将軍の到来も近いこの季節にはありがたい。はふ、はふ、とすすれば芯から暖まる心地がする。
(寝子島は帝都より美味しい店があるのですー)
これは他の屋台がますます楽しみだと、ゼロは更なる美味を求めて出店祭の食べ物屋台を次々と巡り歩く。一見して幼い少女の身体のどこにそれだけの料理が入っていくのか、それは誰にも解らない。
意気揚々と出店祭を練り歩く、楽しげな少女とすれ違って
綾辻 綾花
は、見るともなしにその姿を振り返った。――嗚呼、楽しそうだな、と思う。
腕を組みエスコートしてくれる、許嫁の顔を振り仰いだ。あの少女のように、綾花も彼と過ごすこの時間はとても楽しいのだけれど――果たして彼はどう思っているのだろう。
これまでにも幾度となく浮かんだ疑念を、聞いてみようと思ったのはもしかしたら、あの少女の楽しげな姿から勇気を貰ったのかも知れない。
「珪さん」
ふいに足を止めて名を呼んだ、綾花を
早川 珪
が不思議そうな顔で振り返り、綾花さん? と首を傾げる。いつも通りの優しげな表情――それは婚約した当初から変わらない。
いつもならそれに幸せを感じる綾花だけれど、今日は不安の方が強かった。実のところ、珪が綾花のことをどう思っているのかを、彼女はキチンと確かめた事が無い。
婚約した時は小娘だった綾花ももう17歳、立派に結婚できる歳だ。現に女学校の級友の中には、結婚する事になったから、と辞めて行く者が何人もいる。
いずれは綾花もそんな風に、珪と結婚するのだろう。許嫁とはそういうものだ――けれども。
「珪さん、私の事どう思ってますか?」
綾花が婚約者だからという理由ではなく珪を好いているように、珪にも同じ気持ちを抱いていて欲しかった。彼と綾花とは10歳以上歳の差がある、結婚するのにそれ位の年齢差は珍しくもないけれど、恋する相手として見られるにはどうだろう。
まだまだ子どもだと思われているのではないか。――親が決めた婚約だとしても、そこに珪の意思は含まれているのか。
「私は珪さんだから好きなんです。――珪さんはどうですか?」
そう、胸の内を吐き出して、その勢いのまま抱き付いた。普段ならはしたない行いだと眉を顰められるけれど、ここには両親も先生も級友も居ないし、珪の顔も見えはしない。
ゆえに裁きを待つような気分で珪の言葉を待つ、綾花達の姿を見かけてしまった七瀬は、うわぁ、と目を見開いた。驚きの「うわぁ」であり、凄いなの「うわぁ」であり、後は自分でもよく解らない「うわぁ」である。
傍らを歩いていた
ウォルター・B
が、倉前? とその様子に気付いて首を傾げた。それから視線の先を追って、ああ、と当たり前の顔で受け流す。
さすが欧州のお人です、と何が『さすが』なのか自分でもよく解らないことを思いながら、邪魔をしないよう道を変えた。――ウォルターにお団子を奢ろうと、七瀬お勧めの茶屋まで移動している最中なのだ。
今度は『アクシデント』に会いませんようにと祈りながら、七瀬はウォルターを振り返った。
「ふふー、本当に助かりました。大事にしますねぇ」
「いえいえー。お役に立てて良かったよぉ」
上機嫌な七瀬の言葉に、ウォルターが大したことはないとばかりに肩を竦める。実際、事実だけを告げるならば、本を選びあぐねた七瀬に頼まれて面白そうだと思う本を選んだ、というだけなのだから、大したことはないのだろう。
それでも、七瀬にとっては天上の宝を得たような心地である。こんな賑やかな祭りのただなかで、偶然にもウォルターに出会えて、ウォルターに本を選んでもらって……これが嬉しくないわけがあろうか。
件の本は絶対に無くさないようにしっかりと風呂敷に包み、七瀬の左手に大事に下げられている。その重みを感じるたび、ふふり、と満足げな笑みが浮かぶのは、もう仕方のない事だ。
ゆえに上機嫌で歩くうち、目的の茶屋が見えてきた。あそこです、と指させばウォルターが「ここは知らないねぇ」と興味深げな様子になったので、ますます嬉しい気分になる。
そこから少し離れた所にあるカフェー・ネココでは、すっかり元の静けさを取り戻し、客足も戻りつつあった。その片隅の席に腰を落ち着けて、
万条 幸次
は気付けば黙々と本のペェジをめくり続けていて。
チェアーの空いたスペースでは、相変わらず幸次についてきた猫達が、思い思いに過ごしている。いつの間にか虎猫と子猫が学生帽を玩具にしているし、三毛猫は膝の上に乗ってきてるし――幾ら猫達も入って良いと言われたからって、これはちょっと、大丈夫なのか。
たまにヒヤリとしてカウンターの中の主人を見るが、あちらはあちらで学生相手に何やら論議に花を咲かせていた。ならば良いのだろうとまた視線を戻し、左手で膝の上の猫を撫でてやりながら、右手に持った本を一心不乱に読み進める。
時折左手でコォヒィを持ち、こくりと口に含めば常よりも旨いような気がした。これが7銭だというのだから、屋台祭さまさまだ。
そうして時間を過ごすうちに、気付けばテェブルの上のカップは2杯目になっていた。さすがにそろそろ帰らねばと、おもちゃにされてた学生帽を取り返して被り立ち上がると、ぴょん、と猫達が床に飛び降りついて来る。
こいつらはどこまで来るのだろうな、と思いながら支払いを済ませて店を出ようとすると、軍服を着た人とすれ違った。おや、と軽く目を見開いて視線をやれば、一つに結わえた黒髪をなびかせた女性将校だ。
このカフェーは将校さんも立ち寄るのかと、客層の幅広さに驚きながら失礼のないよう頭を下げ、外に居た女給にも馳走を言って今度こそ帰路に就く。もうそろそろ参道界隈の端だという所まで歩いたところで、ここまでずっと足元にくっついて歩いてきた猫達が、ピタリと止まって座り込んだ。
「お前達も帰るのか?」
――にゃぉーん
「そうか。――ありがとう、また今度」
返事をするように1つ鳴いて、くるりと背を向け去って行く猫達に、幸次はそう声を掛けた。そうして自身も家に帰ろうと、猫達に背を向け歩き出したのだった。
◆
「今日はありがとうございました、将校さま」
「いいえ。お役に立てて何よりです。皆さんもお疲れ様でした」
深々と店主としづに頭を下げられて、
愛猫 萌々子
はキリッとした表情を崩さぬまま、しっかりとそう返事をした。巡回中に甘味に心揺らされていたことなど、つゆほども感じさせぬ完璧な『帝国軍人』である。
もちろん帝国軍人たるもの、自分から報酬を要求するなど恥だ。そう信じながらも内心では「で、甘味は……?」と言いたい気持ちをぐっとこらえる、萌々子の前にしづが「こちらを」と先日も見せたメニュウを差し出す。
「お約束致しました甘味を。この中から、何でもお好きな物を仰ってくださいまし」
「ええ、ええ。おかげさまで、今日は平穏に終われました」
「――平穏に?」
「ええ。周りの店も、今日は大きな騒ぎも無くて良かったと」
萌々子も、カフェー・ネココに暴漢(?)が押し入った事は伝え聞いており、なんなら件の男を捕まえて官憲に引き渡すくらいのことはしたのだが。それでいてなお『平穏に終われた』というのであれば、別の問題がありはしないか。
もう少し帝都から流れてくる民への警戒を官憲や軍に進言するべきか、あとでしっかりと考えようと心に決めて、萌々子はひとまず目の前のメニュウに集中することにした。
(――とはいえ私も、集るような真似は致しません)
幾らあちらからの申し出とはいえ、無辜の民に軍人が集るなど、恥ずべき行為であろう。もちろん、そういう行為を行う嘆かわしい軍人も居はするが、少なくとも萌々子はそんな真似はしないし、亡き兄だってしなかったはずだ。
ゆえに、
「とりあえずクリィムあんみつとクリィムソォダァとシベリヤ、1つずつお願いします」
「はぁい、只今」
キリッとした表情で注文した、萌々子にしづが愛想良く頷いて奥に居るのだろう夫人へと伝えに行った。それからしばらく店主と、今日の祭の様子などについて話していると、程なくして如何にも美味しそうなシベリヤが運ばれてくる。
ことん、とシベリヤの皿を置きながら、しづがにっこりした。
「クリィムあんみつとクリィムソォダァも、今ご用意してますからすこぅしお待ちくださいまし」
「ありがとうございます。まずはシベリヤを頂きましょう。……美味しい……!」
そこまではキリッとした表情を保ち続けていた萌々子だったが、シベリヤを口に運んだ瞬間、思わず顔を緩めてそう絶賛した。生地と餡のバランスも良く、しっかり甘いのに後味がすっきりしていて、口に運ぶ手が止まらない。
(やはり甘味は良いですね……!)
ゆえに思う存分に味わいながら、萌々子は幸せなひと時を過ごしたのだった。
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あとがき
担当マスター:
蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから!
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月と申します。
この度はご参加頂きまして、本当にありがとうございました。
なんちゃって大正時代で過ごす皆様のご様子を綴らせて頂いた物語、いかがでしたでしょうか。
言葉遣いなども少しばかり大正ロマンな雰囲気を醸しつつ、頑張って執筆させて頂きました。
皆さまの中の大正ロマンと、お届けさせて頂きましたリアクションのイメージが、もし合致出来ていたのなら幸いです。
これ以上真面目に時代考証などを始めると、ちょっと大変ですしね……今はまだ水無月の頭の中も大正です、一銭洋食食べたい……
(京都の方に食べられるお店はあるそうですが)
お届けさせて頂きましたリアクションが、皆様に僅かなりとも楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします(深々と
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蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年02月11日
参加申し込みの期限
2023年02月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年02月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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