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たとえ許嫁同士と言えどもこの時代、男女2人だけで出かけるというのは特殊な時でも無ければあまりない、と言って良い。否、庶民のレベルであればどうかは解らないが、少なくとも女学校に通い、親が許嫁を定めるような良家と呼ばれる家柄の子女ならば、そんな場面を不用意に見られたりすれば『お育ちが……』と眉を顰められる事だろう。
ならば、そんな『良家の子女』たる
綾辻 綾花
がなぜ許嫁の
早川 珪
と出かけることを許されているのかと言えば、今がその『特殊な時』だからに相違ない。
「お父さまもお母さまも、珪さんも心配性です」
ツン、と唇を尖らせ参道界隈を歩く綾花に、お目付け役兼ボディーガァドを仰せつかった珪が苦笑いをする。――が、なら御一人で行っていらっしゃい、とは言わない。
この頃は帝都の方から流れて来た良からぬ者が悪さをしているそうだからと、女学校への行き帰りは勿論、こうした休みの日の買い物すら誰かが付き添うようになって、しばらくが経つ。以前には女学校の帰りにお友達と寄り道をしても大目に見てもらえたのにと、思えば細いため息も出はするが。
どんな理由であれ珪と一緒に居られる時間が増えるのは嬉しいのだと、綾花はツンと唇を尖らせたまま、けれども嬉しそうにぎゅっと珪と腕を組む。西洋風の仕草も、この人込みの中ならば許されるに違いない。
頭の上で、珪が苦笑する気配がした。ちら、とそれを見上げながら「珪さん、何処に行きますか?」と尋ねれば、そうですね、と少し悩むそぶりになる。
2人の共通する趣味が本なので、デートをするとなれば本屋なり図書館なり、本に関連した場所は定番だ。だから尋ねたのは「どの本屋に行くか」という事。
「今日は古本市に行ってみようか」
その問いを過たず解している珪は、少ししてからそう応えを返してきた。良いですね、と頷き2人は連れ立って、まずは古書店の方へ。
その、古書店の前で開かれる古本市を目指しているのは、
万条 幸次
も同じであった。否、むしろそちらを目当てに参道界隈までやって来た分、思い入れは強いかもしれない。
この頃は随分と値も下がって来たが、それでも学生の身分で本を買うのはなかなか、気軽にとはいかないのが悲しい所だ。安価で閲覧出来る図書館も、貸本屋も有り難くはあるけれど、何度も借りれば結局それだけ費用もかさむ。
ゆえに参道界隈を一路、真っ直ぐに古本市を目指して歩く幸次の足元には、つかず離れずで歩く3匹の猫が居た。三毛と虎の成猫が1匹ずつに、仔猫が1匹――まだ餌が貰えるとでも思っているのか。
そもそもあまり人混みが好きではない幸次だ、早々で歩くという事もないのだけれど、それでも参道界隈に来た折にはいつも見かける猫達に、常備している鰹節をやるのが習慣だ。普段ならそれで、食べ終わればさっさと散っていくはずなのに、今日に限ってはなぜか、こうして着いて来るのである。
(まあ、邪魔しなければいいか)
ゆえにそう考えて、努めて足元は気にしないように、けれども踏んだり蹴ったりしないように最小限の注意を払いながら、真っ直ぐにやって来た古本市は、出店祭のおかげもあるのだろう、想像していた以上に大規模な様相だった。もしかしたら本土や帝都の方からも、出店しに来た向きがあるのかも知れない。
探す方としてはありがたい事だと、さっそく幸次は本の海を泳ぎ始めた。
(おっ、これは数年前に発表された小説じゃないか。国語の先生が仰ってた文壇の論考もある)
これはなかなかの掘り出し物だと、幸次はいそいそとそれらの本を確保した。欲しいと思っていた外国語の辞書も見つけたので確保する――内容が同じで元の値段より安くなるなら、古本でも構わない。
もちろん状態だけは確認して、買い求めた古本は5冊になった。定価の半値で手に入り、良い買い物が出来た、と深い満足を覚える。
もう一回り、念のために掘り出し物が無いかを見て回ったら、用事はお仕舞いになった。帰るか、と下駄を鳴らして来た道を歩き始めた幸次の足元を、またあの3匹の猫が駆けつまろびつ付いてくる。
うちの1匹が、通りすがった店の軒先で揺れていた硝子の風鈴に気をやったのを見て、ヒヤリと慌てて抱き上げた。飼い主ではないにせよ、鰹節をやった責任はあるだろう――もしうっかりこの猫らが壊して弁償をなんて言われたら、到底賄い切れるものではない。
ゆえにしっかりと抱えて足早に去って行く、びいどろ屋の前に差し掛かった
稲積 柚春
は、その軒先に吊るされた風鈴の涼やかな音にふと心を奪われた。涼やかで繊細で、けれども出店祭の喧騒にも負けぬ存在感を示す、その音色。
つい、とやった眼差しの先を、また元のように少し先に立って歩いていた
ウォルター・B
も気が付いた。そんなウォルターの手を、立場も忘れてぐいと引きながら「見てみようよ」と歩き出した、柚春に苦笑いをしながらついて行く。
そこに在ったのは、びいどろ屋、硝子の品を扱う店だった。先ほど涼やかな音を響かせていたのは赤い絵の描かれたびいどろの風鈴で、参道での出店だからだろうか、魔除けになるのだという。
うわぁ、と柚春は目を輝かせた。
「きれいですねっ! びいどろって言うんですか……一輪挿しも風鈴も可愛い。ねぇワットは見たことあった?」
「欧州でもジャポニスムはまだまだ盛んだからねぇ。似たようなものは見た事あるかなぁ」
感動にますます『女中』のタガが外れていく柚春に、苦言を呈すでも無くウォルターはひょいと1つ無造作に手に取り、矯めつ眇めつ眺め始める。その、当たり前に告げられた『欧州』という言葉に、途方もない距離と憧憬を感じて柚春は目を細めた。
いつか、と思う。
(いつか、ずっとワットの隣に居られたら)
びいどろだけじゃない、他にもたくさんの綺麗なもの、美しい物を見に行けるのだろうか。それを、今の柚春はうまく想像することが出来ないけれども。
ウォルターは気に入った幾つかのびいどろを買い求め、それを持って柚春は先に帰されることになった。主の言いつけならば仕方ないと、きちんとお夕飯の主菜については確認して、それでは、と名残惜しく踵を返す。
そうして柚春が後にした、びいどろ屋とはまた別の硝子屋台で
八神 修
は、見てごらん、と
七夜 あおい
に指差していた。
「ランプだ。奇麗に発色している――これほどの品が屋台で手に入るなんて」
「そうなの? もう少し色の澄んだ洋燈の方が、読書しやすそうだけど」
そんな修の言葉に、こくり、とあおいが小首を傾げる。確かに一見して硝子のランプはくすんでおり、その疑問はある意味で当然だったから、そうだね、と修は相槌を打った。
けれども新しい品の知識豊富な修には、このランプが『逸品だ』と確信する理由があった。
「これはウランガラスだよ」
大日本帝国でも近年盛んに作られるようになったウランガラスは、光の輝度を高めるという事でランプシェードなどに使われている。国内でも汽車や電車の前照灯に使われているものがある位だ。
もちろんそれ以外にも、ガラスの食器などにも大いに使われているのだが。そう思って見れば同じ並びに、やはりウランガラス製と思われるグラスが置かれている。
これはいい、と幾つかを手に取って眺め、目立った瑕疵がない事を確認した修は、だが持ち歩くには些か大きさも重さむ不向きだったため、それらをまとめて屋敷に運んでもらう事にした。くれぐれも気を付けておくれよ、と言い添えて店を後にすると、さて、とあおいの方に向き直る。
「俺ばかり気になるものを見ちゃってたけど。あおいは何か、気になったものはあった?」
あわよくば銘仙の反物でも贈って、それが仕立上がった頃にまた「見たい」という口実で会えたらと、考えながらもおくびには出さず――否、何もないと言われたら提案する気ではいた――尋ねた修に、うーん、とあおいが髪を揺らした。
「ちょっと疲れちゃったから、どこか、お茶屋さんで休みたいかも……?」
「――ああ! それもそうか。うん、じゃあ先にどこか、休める場所を探そう」
「……失礼、小耳に挟んだもので。休息でしたらこの先の、カフェー・ネココという店がお勧めですよ」
そんな2人に横合いから、声を掛けてきたのはキリリとした軍服も凛々しい、女性将校である。これはこれは、と2人そろって頭を下げて、それから言われた言葉を反芻する――カフェー・ネココ?
『知ってる?』
『知らない』
頭を下げたまま眼差しだけで会話をして、行ってみます、とお礼を言った。なぜ将校さんがお勧めのカフェーを教えてくれたのかは分からないが、女性がお勧めしてくれたのであればおかしな店などではないだろう。
そう考え、歩き出した修とその一歩後ろを歩くあおいを見送って、女性将校――
愛猫 萌々子
はふぅ、と息を吐いた。カフェー・ネココをお勧めしたのは今回の依頼の義理を果たす意味もあったが、参道界隈で甘味処のお勧めなら他にも、数え切れないほどある。
――現在の萌々子を形作っているのは、ある意味では亡き兄の存在がかなり大きいと言えた。萌々子が軍人になったこと自体も、亡き兄の意思を継いでの事だったし、彼女が甘味好きになったそもそもの原因を辿ればやっぱり、それは亡き兄へと辿り着く。
当時すでに軍人だった兄は、年の離れた妹である萌々子をたいそう可愛がってくれた。非番の日は勿論、時には仕事の合間にだって小さな萌々子を連れてこの参道界隈に来ては、甘味処や甘味茶屋、カフェーにつれて行ってくれたものだ。
必定、萌々子はかなりの甘いもの好きに育ち、今なお甘味巡りが欠かせないという、社長令嬢としては些か、否、かなり型破りに育ってしまったのだが。特に今の自分に公開していない、どころか日々をそれなりに楽しんでいるというのが、実際の所だった。
閑話休題。
軍靴を鳴らして歩きながら、それにしても、と萌々子は考える。
(美味しそうなものが並ぶ出店祭ですね)
萌々子がこよなく愛する甘味だけでも、ざっと見て回っただけでも両手の指では数え切れないほどの出店が並んでいて、たいそう眼福、否、目に毒だ。そこにさらに立ち食い蕎麦や立ち食い饂飩、一銭洋食に立ち食い寿司、焼き鳥の類と言った食事系屋台が加わるのだから、恐ろしく眼福、じゃなかった目に毒が過ぎる。
ふう、と知らずため息が漏れた。これは己が選んだ責務で、果たすべき役割である。そのことに疑問も異論もない、己で決めた道を迷うなど帝国軍人の風上にも置けぬ。
嗚呼、けれども出来ることなら私もシベリヤ片手に……そう考えかけて、萌々子はふるる、と首を振った。キリッ、と強く唇を引き締める。
(いいえ、そんな弛んだところを見られるなんて帝国軍人として恥ずべき行為!)
たとえ今日は非番と言えど、今の萌々子は軍服を身に纏った、誇り高き大日本帝国軍の将校である。しからば、シベリヤや甘味如きに道を迷ってはならぬのだ。
そう、甘味如きに……甘味……如きに……
「……ぐぬぬぬ」
カフェー・ネココのご厚意(甘味食べ放題)に甘えるのも、見るからに美味しそうに萌々子を誘ってくる出店の甘味達を堪能するのも、仕事が終わってからだ。終わってから――残ってたら良いなぁ。
そんな事を考えながらの恨めしげな眼光は、傍には険しく人々を見つめているようにも映り、皮肉にも不届き者を震え上がらせるのに一役買っていたという。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年02月11日
参加申し込みの期限
2023年02月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年02月18日 11時00分
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