おいでませ、霊界カフェ｜リアクション

おいでませ、霊界カフェ

【お疲れさまでした。】
　
「次、向こうの鬼さんたちにおばけカレーと封ステーキ！　あっちの幽霊さんのおばけコーヒーは、私がお持ちするわ」
「オッケー、まかせて！」
　本日のあやかしカフェは大盛況。あやかしもひともほしびとも入り乱れてご来店、ヴィーゼとありあもフル回転です。
　ありあはぴょんと飛び跳ね、あっちのテーブルこっちのテーブルと、小さな身体の本領発揮！
「お待たせしましたー、おばけカレーと封ステーキです！　ごゆっくりどうぞ♪　あっ、いらっしゃいませー、お席へどうぞ！」
「ご注文おうかがいします。オススメですか？　ではおばけサンドにおばけパフェ、タンコロリンのタルトタタンはいかがでしょうか。今日の人面柿はおしゃべりで楽しいですよ。お飲み物は、人間界の紅茶とコーヒーもオススメです。それらを全部？　かしこまりました、ありがとうございます♪　少々お待ちくださいませ」
　ヴィーゼは忙しさにも慌てることなく、あくまでクール。正確に注文を聞き分け、血液で形作った腕を巧みに操り、一度にいくつもの品物を運んでみせる大活躍。人間のお客さまにはあやかしメニューの魅力を説き、あやかしのお客さまには人間界メニューの良さを伝え、実に隙がありません。
　おまけに、
「おばけパフェ、おまちどうさま。あら、なんだかそわそわしちゃって、どうかしたの？　悩みがあるなら聞くわよ」
「実は私、好きなあやかしがいて……」
「ふむふむ」
　お客の悩み事まで聞いちゃいます。ヴィーゼもコーヒー飲みながら。決してサボりではなく、これもまた接客の一環というものです。
「ちょっとヴィーゼちゃん、こっち手伝ってよー！」
「ああ、ごめんね」
　なんてありあのヘルプが入るも、実のところ働いているのです。お客さまのお話を聞きながらも血液の腕でもってひょいひょい、ひょいっとな。
「気になるなら、気持ちを伝えたら？　頑張って勇気を出す前に、別のあやかしにさらわれちゃうかもしれないわよ。あとで後悔するよりは、ね？」
「そ、そうね。私、頑張ってみる……！　ありがとう、ウェイトレスさん！」
　あやかしの恋の悩みも、バッチリ解決！
「さて、今日はもうひと頑張りね、ありあちゃん」
「ううっ、しんどい……！」
　あやかしカフェの盛況はその後もしばし、続きました。

　そんなこんなで、閉店です。
「お、おわったーーー！」
　ありあはテーブルの上にこてんと倒れ込み、はふうと安堵の息をつきました。
　ヴィーゼがその隣に、ありあにぴったりサイズのカップをことり。湯気のたつおばけコーヒーです。
「お疲れさま。今日はいつもより忙しかったけど、おかげで助かったわ」
「そりゃもう、頑張ったもの。まあ、財布を忘れたあたしが悪いんだけど……」
「ふふっ。次も忘れてくれて構わないわよ？　君といっしょに働くの、けっこう楽しかったしね」
「う～ん……か、考えとくわ！」
　たまにはおいしいケーキやコーヒーをいただきにくるだけでなく、ウェイトレスさんの衣装に身を包み、アルバイトするのも悪くはないかもしれません。
「じゃ、頑張った君に。これはお礼よ」
「えっ、お給料……！？　いいの？　タルトタタンのお金、払ってないのに」
「それ以上の働きぶりだったもの。オーナーもありがとうって言ってたわ」
　思わぬご褒美もいただけて、ほくほくなありあでした。

　霊界カフェ、本日の営業はこれにて終了！
　あやかしのあなたは、いつもそばにある馴染みのお店。いつでもお越しくださいませ。
　ひとやもれいびのあなたには、物珍しい体験となったでしょうか？　おばけメニューも案外、イイものでしょう？
　お気に召しましたらぜひ、またのご来店を。

「お待ちしておりま～す♪」

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あとがき

担当マスター：墨谷幽
ファンレターはマスターページから！

　墨谷です。
　『霊界カフェ』のリアクションをばお届けいたします～。

　今回は霊界の食生活の一端に触れる、といったお話でした。
　おばけメニュー、しゅわっと消えてお腹にたまる、と文字では書いておりますけれど。わたあめみたいな？　う～ん気になる。実際食べてみたいものですね。
　今回登場したのはほんの一例で、霊界にはもっともっといろんな、不思議で楽しい食べもの飲みものがたくさんあると思います。また別の機会にでも、ご紹介できればいいなと思っております～。

　それでは、今回もご参加いただきましてありがとうございました！
　また次のシナリオでお目にかかれますのを、楽しみにお待ちしております。
　お疲れさまでしたー！

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