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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
LIQUID -Star Chronicle-
【サイドクエスト『未知なる探求』】
ワインツの国土は険しく起伏に富んだ地形を多く擁する。帝都ソーヴィニオンの周辺こそ平坦な盆地だが、見回せば切り立った連峰に囲まれているし、そこかしこに亀裂のように走る崖の直下を覗けば激流のうねりが見て取れた。
そうした地形がワインツを軍事国家たらしめる要害ともなっているわけだが、道なき道を歩むのは容易ではない。そんな中を揚々と進むのは気勢に満ちた行商人とか、そうでなければ冒険者くらいのものだ。
「いっけー！！」
マシロ（プレイヤー：白 真白）が杖を振りかざすと、宙に生まれた氷のつぶてがキュクロプスの一つ目を貫く。杖の銘は＜ロータススフィア＞、蓮花を模った武器を振るうスペルブレイカーの姿は勇ましく、そして可憐だ。
キュクロプスの巨体が傾き、倒れ込む。
「やったね、撃破！ 強敵だったなぁ」
連峰の中腹、荒涼とした斜面にマシロは立っている。特段、何か目的がありやってきたわけではない。周りには冒険者の目を惹くようなものは見当たらないし、過酷な自然環境が連なるばかりだ。
しかし、確固とした目的はないが、目標があった。
「これで、この地方のマップ踏破率は５０％！ 折り返しだね。よーし、がんばろっと」
未踏破エリアの探索、それ自体がマシロの目的と言ってもいい。
未発見の遺跡。未発見の宝。見たことのない敵、見たことのない景色。それらの全てが素晴らしいプレイ体験となる。先の単眼巨人キュクロプスにしても、マシロがここへ来て初めて対峙した敵だ。山裾のちょっとした洞窟では、先達の冒険者とおぼしき薄汚れた白骨と、その脇に転がる２２００ボトルと珍しい宝石をあしらったネックレスが見つかり、嬉しい臨時収入となった。
王都帝都に主要な町村はもちろんのこと、メインストーリーとは絡まないような辺境の地、困難な地形や敵に満ちた暗黒地帯をも踏破し、地図の全てを埋めること。それこそがマシロの楽しみ方なのだ。
「あっ、祠をはっけん！ いいものあるかな？」
ウキウキと弾む足で、マシロは飛びこんでいく。
もちろん、その道なりは必ずしも平穏なものではない。
「わ、敵の群れだー！？」
うっかり窮地に突っ込んでしまうこともある、それも少なからず。
祠の中でマシロを待ち構えていたのは、クロウラー種……大芋虫の大群だ。この手の敵は方々で見かけるが、色や柄からしてこれらも初めて見るモンスターのようだ。
芋虫たちはマシロに気づくなり、口元の牙をかちかちと鳴らし、炎を噴きかけてくる。
「危なっ！ やったなー。よーし、反撃だ☆」
冒険者として目下成長中のマシロが怯むことはない。炎を身軽にかわすと杖を掲げ、
「＜吹き集う風＞！！」
暴風を巻き起こす。風は芋虫たちの身体を絡め取り、炎も巻き込み、祠内部の中央へと向けて吹き荒ぶ。
風圧に耐え切れず、芋虫が一か所に集まったところで、本命の一撃を放つ。
「これでどうだー、＜砕け落ちる氷柱＞っ！！」
惑う芋虫たちの頭上に、巨大な氷柱が形作られてゆく。やがてそれらは自重によって落下し、鋭い先端で固い表皮を貫き、砕けて飛び散る氷片の衝撃がさらなるダメージをもたらした。
「やった、一発でフィニッシュ！ 氷が弱点だったのかな？」
祠にめぼしいお宝は見つからなかったが、レベルアップによりスペルブレイカーの新たなスキルを獲得することができた。
山を登り、その頂へと到達したのは、日が傾き始めた頃だった。
「おおー、絶景。来てよかったなぁ……あれ、人がいる？」
恐ろしく切り立った岩場に、見慣れぬ人影があった。
「やあ。おどろいた。こんなところまで来る者がいるとはね」
丸眼鏡をかけた初老の男だが、背中には身の丈よりも大きなバックパックを担いでおり、らんらんと輝く瞳には外見の年齢に反して気迫が満ちていた。
「えーっと。こんにちは？」
「冒険者かね。私は、ハルコン。リキッド大陸の全てを地図に書き記すべく旅をしている」
マシロと同じようなことをしている者がいたらしい。それも見たところ、かなり旅慣れている。マシロの先達といったところか。
「誰も見たことのない景色。誰も見たことのない宝。それらを追い求めて、こんなところまで来てしまったよ」
「あー、わかるわかる。情報が無いところを、自分の目で確かめていくのがいいんだよねえ」
「うむ。話せるじゃあないか。大陸の全てを地図に収めた時、我らの目の前に広がるのは真理か、はたまた新たなる時代の夜明けだろうか」
男、ハルコンは丸眼鏡を夕暮れの輝きにきらめかせながら、マシロへ告げた。
「君が未知なる探求を続けるのなら、道なき道を進み頂を目指し続けるのなら、いずれまた我らの邂逅も叶おう。その時を楽しみにしているよ」
去っていくハルコンの背中に揺れる大きなバックパックを見送りながら、彼との出会いが新たなクエストの始まりであることに、マシロは今さらながら気づいたのだった。
ワインツの国土は険しく起伏に富んだ地形を多く擁する。帝都ソーヴィニオンの周辺こそ平坦な盆地だが、見回せば切り立った連峰に囲まれているし、そこかしこに亀裂のように走る崖の直下を覗けば激流のうねりが見て取れた。
そうした地形がワインツを軍事国家たらしめる要害ともなっているわけだが、道なき道を歩むのは容易ではない。そんな中を揚々と進むのは気勢に満ちた行商人とか、そうでなければ冒険者くらいのものだ。
「いっけー！！」
マシロ（プレイヤー：白 真白）が杖を振りかざすと、宙に生まれた氷のつぶてがキュクロプスの一つ目を貫く。杖の銘は＜ロータススフィア＞、蓮花を模った武器を振るうスペルブレイカーの姿は勇ましく、そして可憐だ。
キュクロプスの巨体が傾き、倒れ込む。
「やったね、撃破！ 強敵だったなぁ」
連峰の中腹、荒涼とした斜面にマシロは立っている。特段、何か目的がありやってきたわけではない。周りには冒険者の目を惹くようなものは見当たらないし、過酷な自然環境が連なるばかりだ。
しかし、確固とした目的はないが、目標があった。
「これで、この地方のマップ踏破率は５０％！ 折り返しだね。よーし、がんばろっと」
未踏破エリアの探索、それ自体がマシロの目的と言ってもいい。
未発見の遺跡。未発見の宝。見たことのない敵、見たことのない景色。それらの全てが素晴らしいプレイ体験となる。先の単眼巨人キュクロプスにしても、マシロがここへ来て初めて対峙した敵だ。山裾のちょっとした洞窟では、先達の冒険者とおぼしき薄汚れた白骨と、その脇に転がる２２００ボトルと珍しい宝石をあしらったネックレスが見つかり、嬉しい臨時収入となった。
王都帝都に主要な町村はもちろんのこと、メインストーリーとは絡まないような辺境の地、困難な地形や敵に満ちた暗黒地帯をも踏破し、地図の全てを埋めること。それこそがマシロの楽しみ方なのだ。
「あっ、祠をはっけん！ いいものあるかな？」
ウキウキと弾む足で、マシロは飛びこんでいく。
もちろん、その道なりは必ずしも平穏なものではない。
「わ、敵の群れだー！？」
うっかり窮地に突っ込んでしまうこともある、それも少なからず。
祠の中でマシロを待ち構えていたのは、クロウラー種……大芋虫の大群だ。この手の敵は方々で見かけるが、色や柄からしてこれらも初めて見るモンスターのようだ。
芋虫たちはマシロに気づくなり、口元の牙をかちかちと鳴らし、炎を噴きかけてくる。
「危なっ！ やったなー。よーし、反撃だ☆」
冒険者として目下成長中のマシロが怯むことはない。炎を身軽にかわすと杖を掲げ、
「＜吹き集う風＞！！」
暴風を巻き起こす。風は芋虫たちの身体を絡め取り、炎も巻き込み、祠内部の中央へと向けて吹き荒ぶ。
風圧に耐え切れず、芋虫が一か所に集まったところで、本命の一撃を放つ。
惑う芋虫たちの頭上に、巨大な氷柱が形作られてゆく。やがてそれらは自重によって落下し、鋭い先端で固い表皮を貫き、砕けて飛び散る氷片の衝撃がさらなるダメージをもたらした。
「やった、一発でフィニッシュ！ 氷が弱点だったのかな？」
祠にめぼしいお宝は見つからなかったが、レベルアップによりスペルブレイカーの新たなスキルを獲得することができた。
山を登り、その頂へと到達したのは、日が傾き始めた頃だった。
「おおー、絶景。来てよかったなぁ……あれ、人がいる？」
恐ろしく切り立った岩場に、見慣れぬ人影があった。
「やあ。おどろいた。こんなところまで来る者がいるとはね」
丸眼鏡をかけた初老の男だが、背中には身の丈よりも大きなバックパックを担いでおり、らんらんと輝く瞳には外見の年齢に反して気迫が満ちていた。
「えーっと。こんにちは？」
「冒険者かね。私は、ハルコン。リキッド大陸の全てを地図に書き記すべく旅をしている」
マシロと同じようなことをしている者がいたらしい。それも見たところ、かなり旅慣れている。マシロの先達といったところか。
「誰も見たことのない景色。誰も見たことのない宝。それらを追い求めて、こんなところまで来てしまったよ」
「あー、わかるわかる。情報が無いところを、自分の目で確かめていくのがいいんだよねえ」
「うむ。話せるじゃあないか。大陸の全てを地図に収めた時、我らの目の前に広がるのは真理か、はたまた新たなる時代の夜明けだろうか」
男、ハルコンは丸眼鏡を夕暮れの輝きにきらめかせながら、マシロへ告げた。
「君が未知なる探求を続けるのなら、道なき道を進み頂を目指し続けるのなら、いずれまた我らの邂逅も叶おう。その時を楽しみにしているよ」
去っていくハルコンの背中に揺れる大きなバックパックを見送りながら、彼との出会いが新たなクエストの始まりであることに、マシロは今さらながら気づいたのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年01月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年01月24日 11時00分
