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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
LIQUID -Star Chronicle-
【ヤタガラスとヒヨコロボ】
「何もみなが世界を救う必要はないのだ」
タビガラス（プレイヤー：旅鴉 月詠）は誰ともなく言い、何事も無かったように作業へ戻る。
LSCには多岐に渡るゲームコンテンツがあるわけだが、その花形たるのはやはりストーリークエストだろう。サービス開始から間もない現時点では序盤のクエストが公開されているのみだが、これからのアップデートにより徐々に進展してゆくのだという。ストーリーを追い、強大な敵に立ち向かい、大いなる謎を解き明かすことこそ冒険者の本懐であろう。実際、多くのプレイヤーはまずストーリークエストのエピソードクリアを目標と定めているはずだ。
しかし楽しみ方は人それぞれ。クラストマスターのクラスを選択したタビガラスが注力するのは、文字どおりクラフト要素の追求だった。
「お、いたいた！ タビガラスさん、ちわ～」
「やあ。すっかりお得意様だね、君たちは」
リキッド大陸へ降り立って数日の間に、タビガラスが手ずからクラフトしたアイテムたちを譲ったり売却したりして経験値やお金を稼ぐうち、幾人かの顔見知りもできた。
そのうちの一組が、バレットチェイサーのアルターとスペルブレイカーのエリン。仲睦まじいカップル冒険者だ。
今日はサイディアの王都シードルの中心街に露店を開けている。クラフト作業を行いながら、こうして客が訪れれば応対する。
「さて、今日は何が入り用だね。定番の回復アイテムはもちろん、新作の服飾アイテムにハウジングアイテムもあるよ」
「回復アイテムちょうだい！ さっきのクエストでポーション使い切っちゃってさぁ」
緑色の三つ編みを揺らして言うエリンへ、タビガラスはおもむろにほかほか湯気の立つ皿を差し出す。
「＜タビガラスのロールキャベツ＞だ。傷を回復し、毒を解除し、自然治癒力を高めるが、非常に辛い」
「なにそれ！？」
「効果は折り紙付きだよ。めちゃくちゃ辛いけど」
「戦闘中に辛さで悶絶してたら死にそうだな……でも美味そうだ。それじゃ普通のポーションを１０個と、そのロールキャベツを２つくれよ」
毎度、と言って注文の品を揃えていたら、どしん、どしんと足音が響く。
「おっと、＜ヒヨコロボ＞が戻ってきたか。ちょっと待ってくれ、新しい売り物が届いた」
タビガラスの従者がヒヨコロボだ。戦闘では非力なクラフトマスターを守ってくれるほか、＜自動操縦＞のスキルによって簡単な作業やちょっとしたおつかいを任せることもできる。
「いつ見ても独創的なロボットだよな、タビガラスさんとこの……」
「そう？ 可愛いじゃ～ん」
筋骨隆々、ムキムキなヒヨコがのしのし歩くさまは嫌でも目立つ。おかげで彼女の商売の宣伝にもなっていたりする。
商品はいずれも原価とタビガラスの高いクラフトスキルの価値を加え割高にしているが、それでも売れ行きは良い。
二人は回復アイテムに加えて消耗品のロープや攻撃力アップのバフポーションをいくつか購入し、冒険に戻っていった。
「サービスの助言だ。戦闘中にあまりイチャつくのは控えたほうがいいよ、お二人さん」
温泉にでも浸かったように顔を真っ赤にする二人を見送り、タビガラスも作業へ戻った。
「よし、そこだ。ピヨピヨパーンチ」
気の抜けたかけ声に呼応して、ヒヨコロボが強力なパンチをオークスカウトへ叩き込む。
クラフト重視のタビガラスも時にフィールドへ出て、バトルする。探索によって新しい材料を発見すれば作成できる品物の幅が広がるし、経験値を稼いでレベルを上げればクラフトできるカテゴリも増えていく。
前衛はヒヨコロボにまかせ、タビガラス自身はアイテムの投擲やスキルを使っての援護に徹する。＜修理＞はロボの傷や故障を直すことができるし、回復アイテムはロボにも効果があるのだ。
「傷を負ったか。＜オイルラーメン＞を食べるといい」
見た目は完全に醤油ラーメンだが、ヒヨコロボの損傷は修復され、元気にオークの群れを薙ぎ払ってゆく。
「おっとオークリーダーか、強敵だな。この防御力を下げる青汁はサービスだからくらってほしい」
一回り大きいオークが鼻を摘まんでいるうちに、ヒヨコロボの口からビームが放たれ、致命打を与えた。
瞬間、レベルが上がり、タビガラスの頭に新たなアイテムのアイディアがピコン、と浮かぶ。未習得だった服飾とハウジングアイテムのレシピを覚えたようだ。
「おお、これは良い。帰ったらさっそく作成せねば」
服や家具アイテムには、厳密に言えばパラメータ的価値はない。しかしだからこそ価値が生まれるとタビガラスは思っているし、人は娯楽を求めるものだ。
バトルのさなかにも、タビガラスの脳裏には素晴らしいアイテムたちの完成予想図が次々と浮かび上がった。
「ゲームでスローライフ。いいよね」
「何もみなが世界を救う必要はないのだ」
タビガラス（プレイヤー：旅鴉 月詠）は誰ともなく言い、何事も無かったように作業へ戻る。
LSCには多岐に渡るゲームコンテンツがあるわけだが、その花形たるのはやはりストーリークエストだろう。サービス開始から間もない現時点では序盤のクエストが公開されているのみだが、これからのアップデートにより徐々に進展してゆくのだという。ストーリーを追い、強大な敵に立ち向かい、大いなる謎を解き明かすことこそ冒険者の本懐であろう。実際、多くのプレイヤーはまずストーリークエストのエピソードクリアを目標と定めているはずだ。
しかし楽しみ方は人それぞれ。クラストマスターのクラスを選択したタビガラスが注力するのは、文字どおりクラフト要素の追求だった。
「お、いたいた！ タビガラスさん、ちわ～」
「やあ。すっかりお得意様だね、君たちは」
リキッド大陸へ降り立って数日の間に、タビガラスが手ずからクラフトしたアイテムたちを譲ったり売却したりして経験値やお金を稼ぐうち、幾人かの顔見知りもできた。
そのうちの一組が、バレットチェイサーのアルターとスペルブレイカーのエリン。仲睦まじいカップル冒険者だ。
今日はサイディアの王都シードルの中心街に露店を開けている。クラフト作業を行いながら、こうして客が訪れれば応対する。
「さて、今日は何が入り用だね。定番の回復アイテムはもちろん、新作の服飾アイテムにハウジングアイテムもあるよ」
「回復アイテムちょうだい！ さっきのクエストでポーション使い切っちゃってさぁ」
緑色の三つ編みを揺らして言うエリンへ、タビガラスはおもむろにほかほか湯気の立つ皿を差し出す。
「＜タビガラスのロールキャベツ＞だ。傷を回復し、毒を解除し、自然治癒力を高めるが、非常に辛い」
「なにそれ！？」
「効果は折り紙付きだよ。めちゃくちゃ辛いけど」
「戦闘中に辛さで悶絶してたら死にそうだな……でも美味そうだ。それじゃ普通のポーションを１０個と、そのロールキャベツを２つくれよ」
毎度、と言って注文の品を揃えていたら、どしん、どしんと足音が響く。
「おっと、＜ヒヨコロボ＞が戻ってきたか。ちょっと待ってくれ、新しい売り物が届いた」
タビガラスの従者がヒヨコロボだ。戦闘では非力なクラフトマスターを守ってくれるほか、＜自動操縦＞のスキルによって簡単な作業やちょっとしたおつかいを任せることもできる。
「いつ見ても独創的なロボットだよな、タビガラスさんとこの……」
「そう？ 可愛いじゃ～ん」
筋骨隆々、ムキムキなヒヨコがのしのし歩くさまは嫌でも目立つ。おかげで彼女の商売の宣伝にもなっていたりする。
商品はいずれも原価とタビガラスの高いクラフトスキルの価値を加え割高にしているが、それでも売れ行きは良い。
二人は回復アイテムに加えて消耗品のロープや攻撃力アップのバフポーションをいくつか購入し、冒険に戻っていった。
「サービスの助言だ。戦闘中にあまりイチャつくのは控えたほうがいいよ、お二人さん」
温泉にでも浸かったように顔を真っ赤にする二人を見送り、タビガラスも作業へ戻った。
「よし、そこだ。ピヨピヨパーンチ」
気の抜けたかけ声に呼応して、ヒヨコロボが強力なパンチをオークスカウトへ叩き込む。
クラフト重視のタビガラスも時にフィールドへ出て、バトルする。探索によって新しい材料を発見すれば作成できる品物の幅が広がるし、経験値を稼いでレベルを上げればクラフトできるカテゴリも増えていく。
前衛はヒヨコロボにまかせ、タビガラス自身はアイテムの投擲やスキルを使っての援護に徹する。＜修理＞はロボの傷や故障を直すことができるし、回復アイテムはロボにも効果があるのだ。
「傷を負ったか。＜オイルラーメン＞を食べるといい」
見た目は完全に醤油ラーメンだが、ヒヨコロボの損傷は修復され、元気にオークの群れを薙ぎ払ってゆく。
「おっとオークリーダーか、強敵だな。この防御力を下げる青汁はサービスだからくらってほしい」
一回り大きいオークが鼻を摘まんでいるうちに、ヒヨコロボの口からビームが放たれ、致命打を与えた。
瞬間、レベルが上がり、タビガラスの頭に新たなアイテムのアイディアがピコン、と浮かぶ。未習得だった服飾とハウジングアイテムのレシピを覚えたようだ。
「おお、これは良い。帰ったらさっそく作成せねば」
服や家具アイテムには、厳密に言えばパラメータ的価値はない。しかしだからこそ価値が生まれるとタビガラスは思っているし、人は娯楽を求めるものだ。
バトルのさなかにも、タビガラスの脳裏には素晴らしいアイテムたちの完成予想図が次々と浮かび上がった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年01月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年01月24日 11時00分
